相談援助の理論と方法 第30回講義レジュメ1 ナラティブアプローチとは 12/19 社会福祉士養成科夜間部

相談援助の理論と方法 第30回講義レジュメ1 12月19日 6・7時限
日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成科(夜間部トワイライトコース) 担当:当ブログ筆者

2節 ナラティブアプローチ
○概要:ナラティブ・アプローチ 

・ナラティブ(物語)モデルは、利用者の語る「物語」を通して援助を行なうものである。
 利用者の現実として存在し、支配している「物語」を、ソーシャルワーカーは、利用者とともに共同して見い出していく作業が、出発点として求められる。そして、利用者が新たな意味の世界を創り出すことにより、問題状況から決別させる。

*ナラティブ・アプローチは社会構成主義の視点をソーシャルワークに応用した援助方法である。
 M.ホワイトとD.エプストンは、家族を対象としたソーシャルワークに社会構成主義の考えを取り入れた。A.ハートマンとJ.レアードもこの考えをとっている。

1)社会構成主義の概要
*社会構成主義は、人は自分のもつ認識の枠組みや知識を使って世界を理解し、自分なりの意味を生成するとみなす(意味世界)。

*モダニズムは、究極的・客観的真理が存在するという考え方や、われわれの見る世界は隠された構造の結果であるという考え方に基づいている。
 社会構成主義とはこの考え方を否定し、乗り越えるポスト・モダニズムを基礎としている。

・ナラティブ・アプローチは、社会構成主義に基づくアプローチである。
 社会構成主義は,これまでの主観・客観の二分的見方をとらず「現実は人々の間で構成される」とする。理解は治療の場におけるクライエントとカウンセラーの間の対話そのものにあるとする。「無知のアプローチ」に基づく「いま,ここで」の対話とその解釈が重視され,「治療的対話」に主眼がおかれる。

*ナラティブ・アプローチとは、クライエントと援助者が共同的関係性のなかであらたなストーリーを生成し、問題状況からの決別を図る援助方法である。
 ナラティブ・アプローチはクライエントが「自己」について否定的なストーリーを抱き、それを変えることができないと信じ込んでいる場合に有効である。このようにクライエントのなかで確立しているストーリーをドミナント・ストーリーという。
 まず、クライエントは、援助者との対話を通して、ドミナント・ストーリーを解体する。(「自己」についての否定的なストーリーが自明のものでも変えられないものでもないことに気づく。)この作業を問題の外在化という。 そして、クライエント自身が新たに構成するストーリーをオルタナティブ・ ストーリーという。

*ナラティブ・アプローチはストレングス(強さ志向)・アプローチの一種ともいえる。

<テキスト解説>
1 起源と基盤理論

・理論基盤は、社会構成主義にあり、「現実は社会的に構成されたもの」「現実は、人と人との対話を通じてつくられるもの」という認識論であり、フーコーの影響を受けている。
・人は「現実」を常に「意味づけ」しながら生きており、それは過去からの流れのなかでの経験に対する解釈である。自分自身について、自らの意味世界を物語として編み出している。
・家族療法のホワイトやエプストンらの理論と実践を基盤にし、ソーシャルワーク、心理臨床等の領域に導入されてきた。

2 ナラティブアプローチを理解するためのキーワード
*ドミナント・ストーリー

 過去からの流れのなかでとらえてきたクライエントの「物語」であり、問題が染み込んだストーリーである。

*オルタナティブ・ストーリー
・「物語」を変容し、新たに描き出された物語である。

3 適用対象・適用課題
・家族ソーシャルワーク等の領域が考えられる。
しかし、重度の精神障害の場合など、医学的要因がある事例は、適用が難しいとされる。
 社会福祉士受験支援講座・教員日記。

4 支援焦点
・クライエントが、自身の生活や人生を、問題により否定的に支配されたと捉えるのではなく、肯定的に捉えることができるように支援する。
 自らの人生を構成するストーリーを理解し、新たなストーリーに書き換えていく=人生の再構築を図る。
 つまり、クライエントの語りを紡ぎだし、新たな物語を創る。これらの過程のなかで、クライエントは新しい生き方のもとに、再出発する。 

5 支援展開
・展開過程  テキストP170 図
・クライエントのストーリーの傾聴 ⇒ 反省的質問、問題の外在化 挑戦する問題の明確化、経験に新しい意味を付与、新しいストーリーを著述する。
・具体的には、クライエントとワーカー間で手紙のやり取りを実施する、面接過程に関与する専門支援者集団のフィードバックを取り入れるなどの方法が用いられる。

*ナラティプアブローチの展開過程
1 ドミナント・ストーリーを傾聴する
2 問題を外在化する
クライエントから問題を引き離す。問題のこれまでの影響について客観視する
3 反省的質問をする
 問題の維持に誰がかかわり、出来事、経験が関与しているか考察する。
4ユニークな結果を見出していく
(ドミナント・ストーリーとは異なる結果)
5 オルタナティブーストーリーを構築していく
 これまでの経験に新しい意味づけを行い、新たな物語を、共同で構築していく

<レジュメ2に続く


<当ブログ筆者の論文>
当ブログ筆者の論文 「福祉施設職員のストレスケア サポーティブ研修プログラムの開発」
日本福祉教育専門学校 研究紀要第23巻1号 37頁から55頁 平成27年4月
ISSN 0919-2034

 東京都による福祉施設職員の実践を支援する研修プログラムとして、開発し、実施を継続している。
 福祉施設職員のストレスケア、燃えつき予防を支援するために、この研修プログラムを開発した。職員のメンタルヘルスの不調等の課題は、実践に影響し、施設にとって支援の質の低下に繋がる。職員のストレス・マネジメントは、施設のリスク・マネジメントでもある。この研修は、離職を防ぐメンタルヘルス対策のみならず、サポーティブな職場づくり、質の高い実践の持続をも視野に入れ、開発した。各施設において実施し、現場からのフィードバックを活かし、プログラムの更なる改善を図った。




*前回の講義レジュメ等 下記をクリック
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助の理論と方法 第29回講義レジュメ2 行動療法、エンパワメントアプローチとは 社会福祉士養成科
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助の理論と方法 第29回講義レジュメ3 事例研究・事例分析とは 社会福祉士養成科夜間部
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助の理論と方法 第29回講義レジュメ4 参与観察、構造化面接とは 社会福祉士養成科夜間部


社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 日刊 社会福祉ニュース 児童虐待死・大阪府が全国最多、虐待連鎖・再生産、虐待電話相談、専業主婦羨望
児童の虐待死、大阪府が全国最多 3年半で15人。全国の虐待死は120人


日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科・養成科
*日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科は、4年制大学卒業(見込)等の方々が対象の、1年制の社会福祉士の養成コースの昼間部です
 社会福祉士養成科は、4年制大学卒業(見込)等の方々が対象の、1年制の社会福祉士の養成コースの夜間部(2コース)です

社会福祉士及び介護福祉士法


*用語解説は 社会構築主義/社会構成主義  下記をクリック



■社会構築主義/社会構成主義  social constructionism
・社会的相互作用から人々が世界を構成する枠組が生まれ,それは言語によって媒介されると考える理論。
 構築主義と構成主義とは互換的に使用されているが,両者を明確に区別する立場からは,異なった理論として捉えられる。両者の共通点は,客観的な世界が実在するという論理実証主義に対する批判にある。しかし,社会構築主義は神経系が世界を生み出すという捉え方の影響を受けているのに対して,社会構成主義は社会的相互作用を強調する。
 ソーシャルワークにおいては,ナラティブ・セラピー等が取り込んでいる。


*社会福祉士・精神保健福祉士受験対策
社会保障 受験対策重要ポイントレジュメ  各回をクリック
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社会保障 重要ポイント 2  ナショナル・ミニマム論、社会的排除、インクルージョン

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社会保障 重要ポイント8  医療保険制度の現状と課題

社会保障 重要ポイント9  介護保険制度の概要・制度の枠組み

社会保障 重要ポイント10  介護保険制度の概要・費用負担

社会保障 重要ポイント11  労災保険

社会保障 重要ポイント 12  雇用保険

社会保障 重要ポイント13 ―民間保険と社会保険

社会保障 重要ポイント14―社会保険の管理運営



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by yrx04167 | 2011-12-18 16:27 | Comments(0)