人気ブログランキング |

相談援助の基盤と専門職 ソーシャルワークの歴史3 フレックスナー報告6つの属性、リッチモンド社会診断、ミルフォード会議とは  マサチューセッツ総合病院キャボット

精神保健福祉士、社会福祉士国家試験 受験対策講座>
相談援助の基盤と専門職など
 各科目共通・ソーシャルワークの歴史 重要ポイント3


<イギリス、米国等のソーシャルワークの歴史3
*ソーシャルワークの基礎確立期(~1930年代)
<ポイント>

 ソーシャルワーク、特に個別援助技術=ケースワークの基礎が確立された時期である。COS・慈善組織化運動による友愛訪問やセツルメントなどの民間機関の援助活動が母体となって、リッチモンドによってケースワーク理論が体系化され、また社会事業教育の端緒が開かれた。
 リッチモンドは、ボルチモアのCOS活動に携わるなかで,単に「友愛訪問」では貧困の解決にならず、貧困が道徳的欠陥ではなく,社会的・経済的・心理的要因であることを理解した。
 その後、リッチモンドは、ケースワークに諸科学の知見を導入して、専門技術としての体系化と発展を促進した。1917年『社会診断』を著し、ケースワークの体系と基本的枠組みを示した。 

<解説>
1 ケースワークの確立
*医療ソーシャルワークの萌芽、専門化のきざし テキストP50から

・経験主義的な援助技術の限界から、ソーシャルワークの専門化の必要性が必然的に生じた。
・専門化のきざしとは、①社会福祉組織・団体への有給専任職員の配置、②社会福祉専門教育のはじまり、③関係団体・連盟の全国組織化、④全国会議の開催 である。

<その経過>
*1898年、ソーシャルワーク夏期講習の開始 (ニューヨーク慈善組織協会)
*1903年、シカゴ 1904年、ニューヨーク 博愛事業学校開設
*1905年、マサチューセッツ総合病院に「ソーシャル・アシスタント」採用(MSW)
*1907年、同病院神経科に精神医学ソーシャルワーカー採用 (諸説あり)

イギリスでは1895年,生活困窮者への資源の効率的運用のために患者の生活の全体を把握し,援助する役割として,アルマナー(アルモナー、almoner)とよばれるソーシャルワーカーが王立施療病院(ロイヤル・フリー・ホスピタル)におかれた。

◎アメリカでは1905年,マサチューセッツ総合病院のキャボット(Cabot, R. C.)医師が,患者を理解するためには身体状況だけではなく,精神状況や環境的な背景を把握することが必要として,ソーシャルワーカー(「ソーシャル・アシスタント」)をおいた。
 1907年、同病院神経科に精神医学ソーシャルワーカーも採用。

*1911年、全米慈善組織協会 結成
*1912年、全米セツルメント連盟 結成
*1915年、全米慈善・矯正会議(1873年開始)

*A.フレックスナーの報告 「ソーシャルワークは専門職か」(=専門職とは独自の技術、専門教育、文献などが必要であるのだから、ソーシャルワークはいまだ専門職ではない)

・1921年、アメリカ・ソーシャルワーカー協会 結成

■用語解説: フレックスナー報告「ソーシャルワークは専門職か」(17回試験出題)
・1915年、アメリカ・ボルチモアでの全米慈善・矯正会議(National Conference of Charities and Correction)において、「ソーシャルワークは専門職か?」(Flexner[1915])が発表された。この報告は、エブラハム・フレックスナー(Flexner,A.)によってなされた。このフレックスナー講演では、専門職が成立するための「6つの属性」を明確に提示した。
 ① 基礎となる科学的研究(基礎科学)のあること
 ② 知は体系的で学習されうるものであること
 ③ 実用的であること
 ④ 教育的手段をこうじることよって伝達可能な技術があること
 ⑤ 専門職団体・組織を作ること
 ⑥ 利他主義的であること
 これらは医学を完成された専門職のモデルとして提示されたといわれるが、フレックスナーの主張にインパクトがあったのは、なによりもこのモデルに準拠してソーシャルワークは専門職ではないという結果を導いたことである。フレックスナーはこれら属性を掲げた後で、「現段階でソーシャルワークは専門職に該当しない」と結論づけた。

*リッチモンドと慈善組織協会(米国) テキストP48~
・アメリカの社会構造の変化とリッチモンドの登場 テキストP85下段から

 M.リッチモンド(M.E.Richmond)の生涯は,アメリカ合衆国で南北戦争が始まった1861年から大恐慌が勃発する前年にあたる1928年までであった。この期間はアメリカの急激な工業化による高度成長とともに,都市社会の発展に伴う都市間題の出現,貧富の格差の増大が社会問題を激化させていた。
 このような社会構造の変化が生み出す矛盾を克服するために広範な活動が多様に行われる中で,すでに台頭していた慈善・博愛の活動も,専門的活動へと転換する必要性が生じ,ソーシャルワークヘの転換が形成されるようになった。

 リッチモンドはこうした状況下で,1889年にアメリカ・ボルチモア慈善組織協会に就職し,才能を発揮した。
リッチモンドは全米慈善矯正会議の序で,友愛訪問員の慈善事業全般にわたる知識と訓練,および慈善事業の基礎となる知識の必要性を訴えた。
 1899年にはボルチモアの経験をもとに「貧困者への友愛訪問」を著し,友愛訪問を「貧困者の家庭の喜び,悲しみ,意見,感情,そして人生全体に対する共感をもって常に身近に知ること」と定義した。この書物によってリッチモンドはアメリカにおけるソーシャルワークの指導的人物とみなされるようになった。
 またリッチモンドは、サリバンから環境の力を利用して人格の発達を図る方法を学び、環境を重視すること、環境の力を利用することをケースワークに取り入れた。

*リッチモンドの「社会診断」「ソーシャルケースワーク」 
<ポイント>
 リッチモンドは社会診断を、「ある特定の利用者の社会的状況とパーソナリティをできる限り明確に理解していくための試み」と定義した。また、ソーシャル・ケースワークは人間と社会環境との間を,個別に意識的に調整することを通して,パーソナリティを発達させる諸過程から成っていると定義した。

<解説>
*社会診断
 リッチモンドは1917年に「社会診断(Social Diagnosis)」を著し,ケースワークの理論と方法を専門的水準に高め,「ソーシャルワークが単なる親切ではなく,専門職実践」として位置づけた。その基本的態度として,「個別の主体性をもった、環境の中の人として対象者をとらえる」ことを提示し,ソーシャルワークの原理を確立した。この書籍は多数のケース記録を当時の医学や法学など諸科学の知見から分析したものである。 
 「社会診断」は,貧困問題にあらわれる利用者の社会的困難と社会的要求を把握するために,利用者と社会環境の関係をできるだけ正確にとらえていく方法を指していた。その過程は,「社会的証拠の蒐集→比較・推論→社会的診断」と進められ,①利用者との最初の十分な面接,②利用者の家族との早期の接触,③家族以外の協力者の調査,が必要であるとしている。また、ソーシャルケースワークとは「さまざまな人のために、さまざまな人とともに、彼ら自身の福祉と社会の改善をとを同時に達成できるよう、彼らと協力して、さまざまなことを行なう技術」であると述べており、ケースワークは「社会改良の小売的方法」であると位置付けた

*ソーシャル・ケース・ワークとは何か
 また,1922年には「ソーシャル・ケース・ワークとは何か(WhatIs Social Case Work?)」を著し,「ソーシャル・ケースワークは人間と社会環境との間を,個別に意識的に調整することを通して,パーソナリティを発達させる諸過程から成っている」と定義した。またリッチモンドは、人を「社会的諸関係の総体」からなるものとして捉え、その「社会的諸関係」を調整することによってクライエントのパーソナリティの発達を図っていくところにケースワークの独自性を求めた。
 彼女の示したケースワークは「社会環境を通してなされる包括的,多面的なアプローチ」であり,しかも個別化の原則,面接の重視,生活史の解明と事例研究,実践記録の重視など,今日のケースワークの基本的方法がすでにリッチモンドによって体系化されていたことがよくわかる。それは,医学の診断に学びながらも,後にいう「医学モデル」そのものではなく,人と環境の間で起こる生活問題に焦点化されたソーシャル・ケースワークの方法であり,個人と社会環境への洞察をもとに人にはたらきかける直接的援助と環境にはたらきかける間接援助の両方の必要性を明確に示した。
 また、ケースワークの基本になるべき事柄を,①社会環境の中の人間としてとらえること,②ケースワークが専門職であること,③ソーシャルワーク実践が経験の蓄積を通して実証的に理論化されるべきものであること,④利用者の主体性を尊重すること,⑤諸科学の知識を基礎とした合理的判断と科学的方法の5点に集約し,「専門家は訓練と専門的経験を通じて成長していく存在であること」を指摘した。

*リッチモンドの貢献と限界
 M・リッチモンドは,医学,法学,歴史学,心理学,論理学,社会学など諸科学の影響を受けて,それまでの経験主義のケースワークを科学的なものにしたといわれている。
 リッチモンドの貢献は,このように対象者の問題解決を図るためには,個人と環境との関係に焦点を当て,個別的,意図的に援助することで,自力で問題の解決や緩和に向かえる人格の発達をめざそうとしたことにある。それはそれまでの個人的・道徳的・経験主義的対人援助を,他の諸科学を取り入れ,個別援助技術を合理的,科学的援助技術として確立させたことである。またリッチモンドは、「開かれた精神、開かれた心、そして事実が明らかに導くところへは、たとえ地の果てに達しようが、進んで従っていこうとする意志」-「経験的アプローチ」に基づき、ケースワークの体系化を図っていこうとした。
 ほか、「クライエント」という表現の下に、クライエントの主体性を尊重し、「参加」を基本にして進められる「民主的過程」としてケースワークを捉えた。
 またリッチモンドは、「ケースワークに関して最も明らかにすべきものは、すべてに共通しているものである」として、ケースワークの「基礎的な類似点」を明確にし、「共通基盤」を確立していく方針をとった。
 これらは今日のケースワークにおいても基本となるべき事柄であり,「ケースワークの母」といわれる所以である。その後も社会福祉援助技術はアメリカを中心に発展することとなる。

2 専門化するソーシャルワーク(1920年代) テキストP51~
*ミルフォード会議(1923年) ジェネリックとスペシフィック テキストP51から

<ポイント>
 1929年のミルフォード会議の報告書において、ケースワークにおける「ジェネリック」と「スペシフィック」の捉え方の重要性が提起され、ソーシャルケースワークの統合化が早くも試みられた

<解説>
 ジェネリック・ケースワークとは、実践の各分野に共通な概念、知識、方法、社会資源など、基本となる原理、過程、技術を示す基本的ケースワークをいう。
 スペシフィック・ケースワークとは、家庭、児童、障害者などのそれぞれの実践分野で行われるケースワークで、各分野に固有の特殊な知識や方法が求められる。
 また、援助技術の専門分化、つまりケースワーク、グループワーク、コミュニティワークといういわゆる、伝統的な3方法(援助技術)の分化が進んでいた。
 ミルフォード会議とは、ペンシルベニア州ミルフォード市で開かれた,ケースワークのあり方に関する会議。1923年,専門分化していた,アメリカ家族福祉協会,アメリカ児童福祉連盟,アメリカ精神医学ソーシャルワーカー協会,全国訪問教師協会,全国保護観察協会などの団体が集まり,「ケースワークに関する思考と実践の混乱,不確定性,正確性の低さ」に対応すべく開催。その後,1928年まで毎年継続され,29年『ソーシャルワーク――ジェネリックとスペシフィック』として,その成果が報告された。

ソーシャルワークの発展期
<ポイント>
 精神分析学や心理学を背景に、(社会的)環境から「人間の内面」に焦点が移行した1920年代には「診断主義ケースワーク(診断派)、1930年代には「機能主義ケースワーク(機能派)が登場した。


<解説>
1.診断主義学派と機能主義学派
*診断主義学派(診断主義ケースワーク)

1920年代からのケースワークは,リッチモンドの社会診断の流れを引きながらも,第一次世界大戦後の戦争神経症の治療に用いられたS.フロイトの精神分析学に接近した。とりわけそのパーソナリティ論にひかれ,環境との関係を次第に弱め,個人の心理的問題への関心に傾斜していった。
 このようなケースワークが,後に「診断主義ケースワーク」と呼ばれることになった。

・診断主義の流れは,ニューヨーク社会事業学校のG、ハミルトン(G.Hamilton)による『ケースワークの理論と実際』(1940年)に集約される。
 その後、診断主義のケースワークは,1960年代にはF.ホリス(F.Hollis)の「心理-社会的モデル」として発展し,現代のソーシャルワークの理論モデルの一つとなった。また,ヴインターらの「治療的モデル」グループワークにも受け継がれている。

・診断主義(診断派)ケースワークの特徴とは、
 ①利用者の問題の心理的側面の重視、
 ②パーソナリティの発達に焦点を当てた過去の生活史の重視、
 ③面接を中心とした長期的援助関係における援助者の主導性、
 ④調査→診断→治療の過程を重視する といった点が挙げられる。

 診断主義ケースワークは、リッチモンドと同様に面接を重視し,家族関係を中心とした環境を重視したが,関心は主として利用者の内面・心理的環境にあって,リッチモンドのように貧困,疾病,労働などを含めた社会的環境の全体が視野に入れられていなかった。

診断主義ケースワークは、S.フロイトの精神分析の理論と方法を取りいれた。利用者のもつ問題やその原因は、社会環境よりも個々の精神内界にあると捉え、ケースワークに「治療的意味」をもたせた。つまり、利用者の問題を病理・病的状態ととらえ、これらを治療するのは援助者であるという専門職中心の医学モデルである。

・診断主義ケースワークの援助の過程とは、専門職からの、利用者の内面の問題の原因の探求と解決の過程である。つまり「援助者が利用者に働きかける過程」であった。
 その目的は、自我の強化とそれによるパーソナリティの社会環境への適応を図ることにある。

*機能主義学派(機能主義ケースワーク)
<ポイント>
 1930年代になるとO.ランクの流れをくむ機能主義(機能派)ケースワークが登場する。機能主義におけるケースワークの役割は,クライエントの問題解決を援助するのではなく,クライエントの成長しようとする自由な意思を邪魔する障害を取り除くことであるとした。機能派の登場により、主流である診断派との論争が始まった。


<解説>
 大恐慌(1929年)後、ソーシャルワークが再び大量の貧困問題への対応を迫られる中で,それまでの診断主義のケースワークへの批判的立場として,新たに新フロイト派のO.ランク(0.Rank)の意志心理学を基礎とする、Ⅴ.ロビンソン(Ⅴ.Robinson)やJ.タフト(J.Taft)らの「機能主義のケースワーク」が登場した。初期の理論はロビンソンの『ケースワーク心理学の変遷』(1930年)に代表される。

・機能派の特徴とは、
 ①「疾病の心理学」より「成長の心理学」、
 ②「治療」よりも「援助」、
 ③機関の機能の枠に沿った援助、
 ④利用者中心、
 ⑤開始→中間→終結の時間的展開の重視 といった点が挙げられる。

・機能主義ケースワークとは,クライエントの自由な意志を尊重し,利用者による主体的な問題解決を援助者がそれぞれの「機関の機能」を代表して援助する点を明らかにした。それは、パーソナリティの健康的側面に焦点を当て、クライエントの持つ意志(will)の力の発揮を促進させようというものである。

・援助の過程については,診断主義のような専門職中心の調査→診断→治療の過程を廃し、「初期の局面→中間の局面→終結の局面」と時間的な経過の中での相互的なケースワーク関係によって展開していくものとみている。つまり機能派は、意志の力によって人は自分自身で問題を解決していけるという仮説に立って、利用者に潜在している力を引き出すために、援助者は側面から援助する役割を重視していた。問題の背景はクライエントの現在の生活状況にあり、援助者は自分の属する機関の機能をクライエントに提供するという考えであった。

 機能派は、ケースワークの構成される場面の現実的な枠組みを、援助者の属する横関に求めて、機関の機能を重視していた。

 また、診断派と機能派の論争の歴史的意義とは、「医学モデル」から「生活モデル」へと、社会福祉援助技術の視点の転換の発端であった点が挙げられる。

社会福祉士・精神保健福祉士受験対策
相談援助の基盤と専門職・各科目共通・ソーシャルワークの歴史 ポイント1 イギリスの救貧法体制とは : 社会福祉士受験支援講座・教員日記

相談援助の基盤と専門職・各科目共通・ソーシャルワークの歴史 ポイント2 セツルメントとは 受験直前対策 : 社会福祉士受験支援講座・教員日記

第25回社会福祉士国家試験解答速報(平成25年 2013年1月、24年度)案内 : 社会福祉士受験支援講座・教員日記


社会福祉士及び介護福祉士法

*続き・用語解説は下記をクリック
精神分析学 、フロイト、 自我、 イド、 超自我、
エディプス・コンプレックス、 防衛機制、
ハミルトン 、 スモーリー、 パーソナリティの形成、
新フロイト派 など
 




◎用語解説 ケースワーク
 ケースワークとは、クライエント(個人や家族)が抱えている社会生活上の困難やニーズに対して,その問題解決や課題遂行を援助するために用いられる専門的援助技術である。クライエントの自立を促進し,主体性の発達を支えると同時に,問題とかかわる社会関係に調整的に介入することによって,クライエントの社会生活機能を高めていこうとする,個別的な援助技術とその展開を意味する。したがって,クライエントとの個別的な援助関係の形成を軸にしながら,一方で,クライエントを取り巻く環境へ働きかけるという二つの側面の技術が統合されたものになる。
 ケースワークのルーツは,19世紀なかば以降のイギリスやアメリカの慈善組織協会(COS)の「友愛訪問」活動に求められる。この活動では,慈善事業の目的をたんなる施与でなく,個人の人格の向上,自助の促進を援助することとしたが,その道徳主義は生活問題の解決に限界をもっていた。20世紀に入り,客観的事実に依拠した専門的なアプローチの必要性が認識されるなか,友愛訪問員の活動をケースワークとして理論的に体系化したのがリッチモンドである。リッチモンドの定義は,現在においてもケースワークの本質を表すものとして評価される。その後,ケースワークは,精神分析,社会学,精神医学,心理学など多様な基礎理論を背景に,多くのアプローチや実践モデルが開発されてきた。

<用語解説・診断主義学派>
■用語解説:ハミルトンHamilton, Gordon  (1892-1967)

 アメリカにおける診断主義ケースワークの代表的な女性研究者の一人。1923年から57年までの約35年間,ニューヨーク社会事業学校(現・コロンビア大学大学院)で教鞭をとり,診断主義ケースワークの確立と発展に大きく貢献した。また,その代表的著書『ケースワークの理論と実際』(Theory and Practice of Social Case Work, 1940)は,アメリカのみならず,世界中で読まれ,各国のケースワーク研究や実践の発展にも貢献した。

■補足:精神分析学
 精神分析学は、ジクムント・フロイト(Sigmund Freud)によって創始された人間心理の理論と治療技法の体系である。広義には、フロイト以後に発展した分派を含めた理論体系全体を指す。1920年代に戦争神経症の治療などに用いられた。
◎精神分析とは「抑圧された心的なものを意識化すること」とフロイトは定義したうえで,精神分析の「分析」とは,化学者が合成物を分析して,その構成要素を見つけだすのと同じように,合成物としての患者の症状を分析して,症状を構成する衝動を見つけだし,その衝動について患者自身が意識化できるようにするための働きかけであると述べている。精神分析は20世紀前半の精神医学・心理学に大きな影響を及ぼした。

■用語解説:フロイトFreud, Sigmund (1856-1939)
 精神分析の創始者。臨床例から,抑圧理論および性的外因説によるヒステリー論を展開し,ここで用いた自由連想法による治療を「精神分析」と命名した。その後,人間の無意識とその意味の解読法の理論化を試み,エディプス・コンプレックスと小児性欲説,自我防衛機制による心的構造論と深層心理学を体系化した。
 エディプス・コンプレックスとは、S. フロイトによって提唱された幼児期(3歳から6歳程度)の男児が抱く「母親を独占したい」という衝動と父親への嫉妬心を示す。正常な発達過程では,父親に代わって母親を独占したいという衝動は,やがて父親への同一化から男性としての性的役割を形成するなかで解消へと向かっていく。
防衛機制とは、S. フロイトによって明らかにされ,その後A. フロイトらによって発展させられてきた,精神分析学で用いられる中心概念の一つ。イド(エス),超自我,外界の現実の対立する圧力によって,自我のなかで緊張,不安,葛藤が生じる場合,自我がそれを解決し,日常生活のなかで安定を図ろうとする無意識の働き。当面の問題を意識の外に追い出す「抑圧」,満たされない性的願望などを社会的に認められる代償行動で満たす「昇華」など,さまざまなものがあげられる。

■参考用語:自我
 自我は精神分析学上の概念で意識のある機能の中心である。
・自我
自我は意識層の中心の機能で、イドからの要求と超自我からの自己の規制を受け取り、感情を現実に適応させる機能である。
・イド(エス)
イドは無意識層の中心の機能で、感情、欲求、衝動をそのまま自我に伝える機能である。イドは視床下部のはたらきと関係があると思われる。
・超自我
 超自我は上の二つの層をまたいだ機能で、ルール、道徳観、倫理感、自己の規制を自我に伝える機能を持つ。この機能がイドや自我を強く押し付けているとき、自我がエスの要求を通すことができずに防衛機制を働かせることがある。超自我は前頭葉のはたらきと関係があると思われる。


<用語解説・機能主義学派>
■用語解説:スモーリー Smalley, Ruth Elizabeth (1903-79)

・ランク(Rank, O.)の影響を受け,タフト(Taft, J.),ロビンソン(Robinson, V.)らとともにペンシルベニア大学で機能主義学派を率いた。ソーシャルワークの伝統的な考え方にとらわれず,クライエントの潜在的に備わった創造力を重視し,クライエントが主体的にワーカーやワーカーの所属する機関の機能を活用できるよう支援することを実践家に説いた。CSWE(Council on Social Work Education)や NASWの設立に貢献したことでも知られる。[主著] Theory for Social Work Practice, 1967.

■用語解説:パーソナリティの形成
 人間のパーソナリティは社会生活の中で後天的に形成される。その構成要素としては、能力(技能、知能)、気質(感情)、性格(意志)の3つがあるとされる。

■参考用語 新フロイト派
 新フロイト派は、精神分析学において、フロイトの欲動論を批判し、文化的・社会的要因を重視した学派。フロイト左派とも呼ばれる。政治学や社会学に影響を与えた。 代表的な研究者に、サリヴァン、カレン・ホーナイ、エーリッヒ・フロム、クララ・トンプソンがいる。
by yrx04167 | 2013-01-20 18:44 | Comments(0)