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相談援助の基盤と専門職 ソーシャルワークの歴史6 ソーシャルワークの統合化、システム理論、ジェネラリストとは ジャーメイン、ギッターマン

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相談援助の基盤と専門職など
 各科目共通・ソーシャルワークの歴史 重要ポイント6


イギリス等の社会福祉・ソーシャルワークの歴史6
第3節 ソーシャルワークの統合化とジェネラリスト・ソーシャルワーク P69
・ソーシャルワークの統合化の過程とその到達点を理解することは、現代のソーシャルワークを理解するために必要である。

1 ソーシャルワークの統合化とジェネラリストアプローチの成立 P69~
・ソーシャルワークの統合化とは、ソーシャルワークの共通基盤、とりわけその主要な三方法であるケースワーク、グループワーク、コミュニティワーク(オーガニゼーション)の共通基盤を明らかにして、一体化してとらえようとする一連の動向のことである。
・ソーシャルワークが専門職として成立していく過程において、主要な三方法は独自の発展、固有の理論の発達を遂げた。しかし、その「専門分化」を超えて、ソーシャルワーク実践を全体的にとらえ、共通基盤を明確にすることが課題であった。

・1929年のミルフォード会議報告書において、初めて「ジェネリック」という概念が登場し、統合化へのさきがけとなるものであった。
・アメリカにおいて、1955年に全米ソーシャルワーカー協会結成を直接的な契機として、統合化への動きが本格的となった。

*北米におけるソーシャルワークの統合化は、複雑化、深刻化する生活問題にソーシャルワーカーが対応できるのかという危機感を背景として、推進されてきた側面が強い。
 危機感とは、機関やサービスが細分化され、ソーシャルワーカーには、その分野特有の専門的知識と技能が求められ、ソーシャルワークの各方法が発達、専門分化により、ソーシャルワークとしての共通性が見いだしにくくなったという点があげられる。

・イギリスでは、1968年に発表された社会福祉制度の改革を目的とする「シーボーム報告」の影響による。この報告書によって、あらゆるクライエントを統合的に処遇できるソーシャルワーカーの養成が必要とされた。

・専門職として確立させ、ソーシャルワーカーのアイデンティティを高めていくことも統合化への重要な要因となった。NASW等のソーシャルワークの専門職団体を設立するに当たって、専門職として必要な条件となるソーシャルワークの共通基盤を明示する必要に迫られたのである。

・ソーシャルワーカーの専門職養成課程において、ソーシャルワークの共通基盤から導き出された統一したカリキュラムの作成が求められるようになった側面もある。

*カリキュラム研究と、米国の資格制度
・社会福祉援助者の教育訓練面での統合化に向けての研究は、1952年に設立されたソーシャルワーク教育協議会(Council on Social Work Education;CSWE)にて、W・ベームの指導のもとにカリキュラム研究が進められた。
・1959年,13巻に及ぶ『カリキュラム研究』として報告され、社会福祉援助技術教育における画期的な研究となった。また、その後のカリキュラム研究の基礎となるものである

・CSWEは、従来、ソーシャルワーク修士(Master of Social Work;MSW)の資格認定を行ない、CSWEの認可を受けた卒業生は専門のソーシャルワーカーと認められてきた。

・1960年代の社会福祉サービスの急速な拡大から人材の拡大が必要とされ、1969年にはNASWが学部卒のソーシャルワーカーを承認し、1974年からCSWEはソーシャルワーク学士(Bachelor of Social Work;BSW)の資格認定も行うこととなった。

*システム理論
*統合化に影響を与えた理論的動向として、ソーシャルワークにシステム理論が導入されたことがあげられる。
 その影響の一つは、ケースワーク、グループワーク、コミュニティワークがそれぞれ対象とする個人、グループ、コミュニティは本来分断されたものでなく、最小のシステムである個人を内包したシステムとしてとらえられたことである。
 そしてもう一つの影響は、ソーシャルワークにおいて重視されてきた「状況の中の人」を「システム」としてとらえ、そこへの介入という視点が明確化されたことであった。

*ソーシャルワークの統合化の段階 テキストP71
*統合化の三つの形態

 社会福祉援助技術の統合化には,段階的に三つの形態が含まれる。
① コンビネーションアプローチ
 伝統的な方法を前提として,状況に応じて適切な方法を組み合わせて用いる「方法の結合」である。
統合の初期的段階である。

② マルチメソッドアプローチ
 基本的には伝統的な方法の区別を残したうえで,それらに共通した価値・知識・介入のレパートリーを明らかにする。
また、社会福祉固有の焦点と視点を明らかにし,社会福祉実践の全体的枠組みのなかに援助技術を位置づけることによって,統合化を図る。
 「共通基盤」の明確化を図る―共通基盤の形成に向けて,アメリカでは1958年にNASWによって「ソーシャルワーク実践の作業定義」が出され,その検討をもとにH・バートレットの『社会福祉実践の共通基盤』(1970年)がまとめられた。

③ジェネラリストアプローチ
 伝統的な方法の区分が対象者の問題や対応を分断することになるという視点から,そのような区分を排除し,全く新しく,包括的でシステマテイツクな実践のための理論を一般システム論を用いて体系化しようというものである。
 「ジュネリック・ソーシャルワーク」の理論形成による統合―G・ハーンの論文"Theory Building for Social Work"(1958年)はジェネリック・ソーシャルワーク理論の初期の代表的なものとなった。

2 ジェネラリストアプローチからジェネラリスト・ソーシャルワークへ
 ソーシャルワークが専門職として社会的な認知を得る過程で,ある意味で,ソーシャルワークの理論は社会的要請に応えつつ進化し,多様化してきたといえる。こうした発展あるいは複雑化のプロセスにおいて,人と環境,そしてその交互作用を包括的に捉えることが,本来のソーシャルワークであることが再認識され始め,統合化の動きがでてきたといえる。

 バートレット(Bartlett, H.)は,ソーシャルワークの専門職性(プロフェッション)を全体として捉え,ソーシャルワーク実践に共通する拠り所を求めて理論的な整理を行い,「ソーシャルワーク実践の共通基盤(common base)」(1970)としてまとめている。

 ジャーメインとギッターマン(Gitterman, A.)のエコロジカル・パースペクティブやライフ・モデルは,ソーシャルワークの統合理論として広く受け入れられるようになっている。
 今日ではこうしたエコシステムの理論がソーシャルワーク統合化理論として不動の位置を占めているが,人と環境を一体とみなし,そのダイナミックな関係を包括的な視点で捉え,計画的に援助をしようとする姿勢はソーシャルワークの伝統的な視点をより明確,かつ具体化したものであるともいえ,ソーシャルワークの基本には一貫したものがあるといえよう。

*エコロジカル・パースペクティブとライフ・モデル
 今日の社会福祉援助活動は、エコシステム接近方法(生態学的視座とシステム思考の統合)を取り入れたライフモデルの枠組みによって得られる。
<解説>
1 エコシステム接近方法

・エコシステム接近方法とは、何らかの問題を抱える個人を、様々な環境(自然環境、社会環境、人間環境)と別々のものとして捉えるのではなく、一体的なシステムとして捉える方法である。また、そうした捉え方に基づく支援のありかたを具体化したのがライフモデル(生活モデル)である。

◎エコシステムとは、あるエリアのすべての生物と,そこに存在するすべての物理的条件の間に発生する,物質の循環,エネルギーフロー,情報伝達といった相互作用を機能の観点から捉えたシステムである。マイヤー(Meyer, C. H.)は,ソーシャルワークに多大な影響を与えてきた生態学理論とシステム理論の統合を試みるなかで,このエコシステムの概念をソーシャルワーク実践の文脈に則してエコシステム視点として体系化した。 
 エコシステム視点では,クライエントのみならず,クライエントを取り巻く環境(家族,友人・知人,関係社会機関,地域など)からの影響、クライエントと環境との間にある相互関連性をも含めて包括的に理解することが求められる。

2 ライフモデル
 ライフモデル(生活モデル)は、人々の成長と発達を最大限にし、環境を改善すれば相互に良好な適合状態が確保されるという観点で、人間の持つ不健全性だけではなく、健全性にも関心をもつ。またライフモデルにおいて、援助者は利用者の生活を指導するのではなく支援するのであり、利用者は受動的存在ではなく、能動的・応答的存在として援助者のパートナーとしてみられる。

◎ライフ・モデル
 1960年代以降アメリカで複雑で多様な生活問題への援助の要請が高まり,従来の個人のパーソナリティに治療の焦点をおいた伝統的なアプローチに対する批判が高まった。そのソーシャルワークの限界を打開するために,生態学や一般システム理論などの新たな理論的枠組を背景に登場したのがジャーメインらによって体系化されたライフ・モデル(生活モデル)である。
 このモデルでは,人,環境のどこに問題があるのかを問うのではなく,問題は生活空間における不適切な交互作用(transaction)にあると考え,人と環境の接触面(interface)に焦点をあてていく。ソーシャルワーカーの社会的目的は,人々の成長と発達を最大限にし,環境を改善する交互作用を生み出すように,人々の適応能力と環境の特性を結び合わせることとされる。そこでは,生活体の適応能力を高めると同時に環境を改善するという二つの実践の焦点があり,人も環境も等しく重要であって,この両者の互恵的適応関係のバランスがいかに獲得されるのかに最大の関心が払われる。
 したがって,ソーシャルワーカーが扱う対象は人と環境の「開かれた」連鎖的交互作用であり,「人と環境の適合性」である。


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*日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科は、4年制大学卒業(見込)等の方々が対象の、1年制の社会福祉士の養成コースの昼間部です
社会福祉士及び介護福祉士法


*続き・用語解説は下記をクリック 
一般システム理論、 ベルタランフィ、
開放システム、 ホメオスタシス、
ジェネラリスト・ソーシャルワーカー、 生態学、 ヘッケル など




■用語解説:一般システム理論 general systems theory
 1968年,生物学者ベルタランフィ(バータランフィ Bertalanffy, L. v.) によって発表され,有機体の全体性を包括的に説明した理論として位置づけられている。この理論は,ニュートン力学など,それまで主流だった還元主義に基づく近代科学に対して,有機体の構成要素を分断せず,構成要素間の関係性に注目した点に特色がある。具体的には,①有機体の各構成要素間の相互作用・相互制御に基づく全体性の存在,②開放システムによる外的諸条件との相互作用,③構成要素間あるいは外的条件との間で生じるフィードバック・メカニズムとシステム維持機能 (ホメオスタシス),といった三つの基本概念から有機体システムの特徴を説明している。生物学にとどまらず,物理学,心理学,あるいは社会科学で扱われるいかなるシステムにも適用できる一般的特性を示しており,多くの分野でシステム分析のために活用されている。社会福祉分野では,1980年代以降,エコロジカルな視点に基づく方法論の統合化が行われた際,「人と状況の全体性」を捉える理論的枠組として重要な役割を果たした。

■用語解説:ジェネラリスト・ソーシャルワーカーgeneralist social worker
 ジェネラリストの定義には明確なものはないが,本来ソーシャルワークは,人と環境,個人と社会(制度),そしてその交互作用を捉え,さまざまな援助方法を用いて援助をしてきたことが,きわめてジェネラリスト的であると考えられている。共通する特徴は,さまざまな理論を拠り所とする方法を折衷的に活用し援助する方法論的多様性と,援助対象を捉える包括的な視点である。アメリカなどではソーシャルワーカーの専門的教育は大学院レベルで行うと考えられている場合が多く,ジェネラリストの教育は,そうした大学院レベルの教育訓練の前段階として行う,全般的,入門的なものとして捉えられることもある。しかし,ジェネラリスト・ソーシャルワーカーには高度なマネジメント機能などが求められ,アメリカでは,上級(advanced)ジェネラリスト教育の必要性が唱えられるようになっている。

■用語解説:生態学(ecology)
 19世紀中葉にヘッケル(Haeckel, E. H.)が生物学の一分野として造語。ギリシャ語のoikos(家)に由来し,生物とその環境の相互作用を扱う科学=生態学を意味する。生物(人間を含む)は環境に影響を与え、環境は生物に影響を与える。 生態学研究の主要な関心は、生物個体の分布や数に、そしてこれらがいかに環境に影響されるかにある。ここでの「環境」とは、気候や地質など非生物的な環境と生物的環境を含んでいる。



by yrx04167 | 2013-01-23 12:17 | Comments(0)