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低所得者に対する支援と生活保護制度ポイント4 医療扶助、住宅扶助、教育扶助、高等学校等就学費とは

低所得者に対する支援と生活保護制度
 重要事項4

<社会福祉士・精神保健福祉士国家試験受験対策夏期講習 第26回社会福祉士試験対策・共通科目>


 生活保護の仕組み
保護の種類と内容及び方法、生活保護基準額の実際
◆生活扶助 

◎衣食その他日常生活の需要を満たすために必要なもの等を,原則として居宅で金銭給付する。
 生活扶助は、個人単位の費用である第1類の経費(飲食費・被服費等)と世帯単位の費用である第2類の経費(光熱費・家具什器等の世帯共通費用)、各種加算、及び一時扶助と勤労控除を中心に構成されており、原則として金銭給付により一か月分を世帯主又はこれに準ずる者に対して交付される。 
 第1類の経費;飲食費、衣服費(世帯の中で個人が消費する生活費)
 第2類の経費;電気・ガス・水道等の料金、家具や生活用品(世帯が消費する)

*被保護者が入院・入所している場合には,入院患者日用品費,介護施設に入所している場合には介護施設入所者基本生活費が生活扶助として行われる。

◆教育扶助
 「教育扶助」の対象となるのは、義務教育の就学に必要な費用で、原則は金銭給付され、通常は生活扶助と併せて支給される。なお、教育扶助費は、被保護者、その親権者若しくは未成年後見人又は被保護者の通学する学校の長に対して交付する。(第32条)
・①副読本等の学用品・実習見学費,②通学用品,③学校給食等の費用の不足分を給付する。(第13条)

◆住宅扶助
 「住宅扶助」の対象となるのは、住宅の確保及び住宅の維持のために必要な費用で、具体的には家賃・修繕費であり、原則金銭給付で生活扶助と併せて支給される。(第14条)
①家賃・地代,②家屋補修等(新築は不可)に必要な費用の不足分を,地域別の基準の範囲で,原則として金銭給付する。宿所提供施設の利用・委託のかたちで現物給付することも認められる。

◆医療扶助 
 「医療扶助」の範囲は、診察、薬剤又は治療材料、医学的処置・手術及びその他の治療並びに施術、居宅における治療上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護、病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その看護、移送、と規定されている。(第15条)医療費のみ不足する者には単給されることもある。近年では,高齢化に伴って被保護人員の約8割が受給している。
・原則、医療保護施設もしくは生活保護法の指定医療機関において、現物給付される。

*医療扶助の根拠・生活保護法第15条
第15条 医療扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、左に掲げる事項の範囲内において行われる。
 1.診察
 2.薬剤又は治療材料
 3.医学的処置、手術及びその他の治療並びに施術
 4.居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護
 5.病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
 6.移送

◆介護扶助
・2000年度から実施された介護保険法に対応して,生活保護法15条の2で新設された扶助である。生活困窮の要介護者・要支援者に対し,居宅介護,福祉用具,住宅改修,施設介護,移送などを行うサービスである。ただし,生活保護法4条の「保護の補足性」により,介護保険の保険給付が行われる場合には,当該保険給付が優先し,自己負担部分が保護費の支給対象となる。 介護扶助は原則として現物給付である。(生活保護法第15条2) 
*第15条の2 介護扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない要介護者(介護保険法(平成9年法律第123号)第7条第3項に規定する要介護者をいう。第3項において同じ。)に対して、第1号から第4号まで及び第8号に掲げる事項の範囲内において行われ、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない要支援者(同条第4項に規定する要支援者をいう。第6項において同じ。)に対して、第5号から第8号までに掲げる事項の範囲内において行われる。
 1.居宅介護(居宅介護支援計画に基づき行うものに限る。)
 2.福祉用具
 3.住宅改修
 4.施設介護
 5.介護予防(介護予防支援計画に基づき行うものに限る。)
 6.介護予防福祉用具
 7.介護予防住宅改修
 8.移送

◆出産扶助
・「出産扶助」の範囲となるのは、分娩の介助、分娩前後の処置、分娩に伴って必要となる衛生材料費である。(第16条)原則、金銭給付である。

◆生業扶助 
・生業に従事できずに最低限度の生活を維持することができない者や,そのおそれのある者の,稼働能力を引き出し、それを助長することによって自立を図ることを目的としている。収入増加・自立助長の見込みがある場合に限って,①生業費,②技能修得費,③就労支度費を,原則として基準額の範囲で金銭給付するが、授産施設利用という現物給付の方法もある。他の扶助と異なり,「そのおそれのある者」も対象とするが,積極的な運用が課題である。(第17条)
・2005年から、高等学校等就学費(教材代、学用品費等、交通費、公立高校等入学料相当額、公立高校等授業料相当額など)

◆葬祭扶助
 「葬祭扶助」は、死体の運搬や火葬、その他葬祭に必要な最低費用で、給付は原則金銭給付である。(第18条)
第18条2 左に掲げる場合において、その葬祭を行う者があるときは、その者に対して、前項各号の葬祭扶助を行うことができる。
 1.被保護者が死亡した場合において、その者の葬祭を行う扶養義務者がないとき。
 2.死者に対しその葬祭を行う扶養義務者がない場合において、その遺留した金品で、葬祭を行うに必要な費用を満たすことのできないとき。

*生活保護法の指定医療機関
(医療機関の指定)
第四十九条  厚生労働大臣は、国の開設した病院若しくは診療所又は薬局についてその主務大臣の同意を得て、都道府県知事は、その他の病院、診療所(これらに準ずるものとして政令で定めるものを含む。)若しくは薬局又は医師若しくは歯科医師について開設者又は本人の同意を得て、この法律による医療扶助のための医療を担当させる機関を指定する。

(指定医療機関の義務)
第五十条  前条の規定により指定を受けた医療機関(以下「指定医療機関」という。)は、厚生労働大臣の定めるところにより、懇切丁寧に被保護者の医療を担当しなければならない。
2  指定医療機関は、被保護者の医療について、都道府県知事の行う指導に従わなければならない。

(診療方針及び診療報酬)
第五十二条  指定医療機関の診療方針及び診療報酬は、国民健康保険の診療方針及び診療報酬の例による。
2  前項に規定する診療方針及び診療報酬によることのできないとき、及びこれによることを適当としないときの診療方針及び診療報酬は、厚生労働大臣の定めるところによる。

*単給とは
 後述

*併給とは
 後述

<確認問題>
問題 生活保護制度における扶助の範囲と方法に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい


1 生活扶助は,衣食その他日常生活の需要を満たすために必要なものや移送について行うものであり,原則として金銭給付である。
2 教育扶助は,幼稚園,小学校,中学校,高等学校等の修学費について行うものであり,原則として金銭給付である。
3 住宅扶助は,家賃等の住居費用,家屋に必要な水道設備等の修理・補修費用等について行うものであり,原則として現物給付である。
4 医療扶助は,診察,薬剤又は眼鏡等の治療材料等について行うものであり,原則として金銭給付である。
5 介護扶助は,要介護者に対して居宅介護,住宅改修等を,また要支援者に対して介護予防,介護予防住宅改修等を行うものであり,原則として金銭給付である。

社会福祉士受験支援講座・教員日記
*参照テキスト:福祉士養成講座編集委員会『新版 社会福祉士養成講座 公的扶助論 第4版』等

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*当ブログ筆者が試験問題解説を執筆 下記の2冊
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2014精神保健福祉士国家試験過去問解説集 中央法規出版
3,990円 (税込) ISBN:978-4-8058-3822-8



*日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科は、4年制大学卒業(見込)等の方々が対象の、1年制の社会福祉士の養成コースの昼間部です。日本福祉教育専門学校 電話:0120-166-255

*解答と解説:単給、併給とは 下記をクリック




解答 1
1が正しい

*単給
 生活保護の八つの扶助のいずれか一つだけを受給することであり,併給の対概念。当初の収入額が生活扶助基準を上回っていた者が,医療費等の支出増の結果として,収入残額が基準を下回った場合,基準からの不足分が単給される。

*併給
 複数の社会保障給付を同時に受給することであり,単給の対概念。ただし,通常は生活保護の八つの扶助のうち,複数を同時に受給すること,特に医療扶助と他の扶助との同時受給をさす。
by yrx04167 | 2013-08-04 12:25 | Comments(0)