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社会調査の基礎 第1回講義レジュメ前半 生活困窮者の質的調査、ホームレス参与観察、社会福祉EBP、社会福祉調査の定義とは

社会調査の基礎 第1回講義レジュメ概要 前半
 当ブログ筆者(本校社会福祉士養成学科専任講師、社会福祉士)が、ソーシャルケア学科にて、2014/09/22 4時限に講義            
<レジュメ完全版は講義にて配布。解説の詳細は講義にて>


*はじめに 講師の簡易宿泊所街・寿町におけるグループワーク・精神科デイケアの実践
 参考資料(講義にて配布)を参照。
 ドヤ街の、生活保護受給者を対象としたグループワーク、精神科デイケア。
 簡易宿泊所、寿町とは。
 貧困・生活保護受給者と精神科医療。
 生活困窮者のメンタルヘルス。
 貧困・公的扶助領域のソーシャルワークの特性。地域福祉活動。
 ドヤ街の住民の高齢化などの変化と、社会調査の必要性について。

*科目の特
 参考資料(講義にて回覧)を参照。質的調査・研究を中心に講義を進める。
 参与観察による、「ホームレス」生活、アルコール依存症の現実。
 ホームレスの生きるための技法、食生活。
 アルコール依存症からの回復、セルフヘルプグループ、精神科医療。その場、人間関係、言動の特性。 
 
*今回の参考資料から
・ホームレスと、アルコール依存症治療の参与観察の実例より。講義にて。
 講義にて参考文献を回覧。参照のこと。

*講義の進め
・講義レジュメ、テキスト、参考資料、参考文献を用いる。

1章 社会調査とは
1.社会調査の目的―社会福祉調査とは何か―
A.社会調査とは テキストP2から
<ポイント

 新たな福祉サービスの計画やニーズの発掘、サービス・福祉政策の評価等には社会福祉調査が必要である。
 社会福祉調査は、社会調査の一応用分野である。
 社会福祉調査は問題解決を指向し、人々の生活及び福祉の向上を図ることに貢献しよういう価値意識が根底にある援助技術である。

<解説>
1)社会福祉調査の存在理由 テキスト「はじめに」

・社会福祉サービス、ソーシャルワークを巡って,「善いことをやっているのだから,良い成果があがっているはずだ」という正当化、もしくは「福祉サービスがあるから、福祉への依存・甘えが生じる」という誤解・批判もまた、生じ易いのではないか。
 しかし,社会福祉サービスは実施すれば良い、常に正しい、もしくは「惰民養成」というものではない。サービス、支援・援助の実践に至る根拠と、計画的なサービスの実施、その結果(を説明すること)に対して責任を持つことが、今後、更に重要となると考えられる。また、市民社会における社会福祉への参加と協力を巡る合意形成のためにも、根拠・エビデンスと、説明責任・アカウンタビリティが重要となる。
 これらのためには,ソーシャルワーカー自身が、社会福祉調査を実施するのが望ましい。
しかし,研究者や調査を行なう組織に依頼したり,他者が実施した調査の結果を活用することも多い。したがって,調査計画の適否を判断し,結果を鵜呑みにすることなく,その限界を知り、批判的に検討できる力をもつことが専門職として必要となる。自ら調査を実施できるようになるためばかりでなく,他者が行ったものを活用するためにも,調査の過程や方法についての理解、知識を持つ必要がある。

<調査の目的-社会福祉調査 3つのキーワード >
*「エビデンス・ベースド・プラクティス EBP」 テキストP3

 科学的根拠に基づく(Evidence based)、実践のこと。
 根拠に基づく実践とは、援助・サービスの効果測定の結果や評価から、更に効果的な援助の内容・方法等を導き出すことである 略
*援助技術の効果測定の本来の目的とは、社会福祉専門職によるサービスの資質向上である。
 それは、利用者の変容の把握、援助法の妥当性の確認、専門性と科学性の立証のためにも必要である。
*さまざまなニーズや問題を抱える人たちに効果的なサービス,援助,政策を提供することは,社会福祉の専門職としての責任である。「効果的な援助を提供しているか」,「ニーズや問題をはっきり把握しているか」,「効果的な政策やサービスはどんなものか」といったことを,実証的,科学的に研究することによって,最善の援助や政策を提供することが可能となる。

*アカウンタビリティ
 専門職や社会福祉サービス機関などが,クライエント,機関や事業の支援者,地域の住民等に対して有する,サービスの内容,質,成果などについての説明責任をさす。また,機関内部では,専門職として提供するサービスに関する倫理,効果,支援方法やその根拠などについての説明責任をさす。通常これらの説明責任は,サービスの質を保障する手段やサービスの成果評価によって示される。

*「プラクティショナー=リサーチャー」モデル
ソーシャルワーク実践者であり、かつ調査者でもある実践スタイル。つまり、調査に基づく、計画の立案、サービスの運営、政策立案・提言が可能な実践者のことである。

2)「社会調査」と「社会福祉調査」
・社会福祉に目的と領域を限定した「社会調査」を意味する。これら社会福祉・ソーシャルワーク実践にかかわる調査・研究には,通常,「社会福祉調査=ソーシャルワーク・リサーチ」の用語が使われる。
・換言すると、「社会福祉調査」は「社会調査」の一応用分野である。
 略
 しかし、後述の価値や、方法論においても「社会調査」と「社会福祉調査」は、異なるものである。

*社会福祉調査の定義 (坂田周一による定義)
「社会福祉調査は,マクロ・ミクロ両面における社会福祉援助を合理的かつ効果的に進めていくために必要となる情報を,その背後に潜む社会経済的要因との関連を視野におきつつ,主に現地調査による科学的な方法を用いて客観的に収集・分析する技術である」。

・マクロ=間接援助と、社会福祉の政策形成・運営を含む。ミクロとは直接援助(相談援助等)である。 

3)ソーシャルワークのメソッドとしての「社会福祉調査」
・社会福祉調査は、コミュニティワーク・地域援助技術、社会福祉計画、社会福祉運営管理・アドミニストレーションとともに間接援助技術として位置づけられている。
 しかし、情報の科学的・客観的把握や分析は,社会福祉計画や地域援助等を行うために必要であるばかりでなく,個別援助等を行う上でも必須のものである。この意味で,社会福祉調査はすべての援助技術に必要とされる共通の基礎的な技術といえる。
・具体的には、社会福祉調査は、福祉ニーズの把握(潜在的ニーズの発見)、また利用者や住民の福祉サービス・福祉制度への要求の把握、社会問題の発見、福祉サービスの効果の確認・評価といった役割をもつ援助技術である。

 補足すると、1)個別の利用者のニーズを把握する個別のアセスメントも必要であるが、
2)ニーズ充足の実現のためには、サービスの運営・整備などの計画策定・運営レベルでのニーズ把握も必要である。 2)が社会福祉調査の役割と言える。
*社会福祉調査とは、社会問題に内包されている様々な現象を抽出し、要因を明らかにし、問題解決と防止への資料を提供する役割がある。また、福祉ニーズや意識、事業(所)の評価を統計的、あるいは質的に把握するといった、社会福祉運営上、不可欠な役割をもつ。

*後半に続く

社会福祉士の就職・転職の実際 0からの福祉業界<当ブログ筆者の説明会>
2014年10/1(水)18:00から19:30 日本福祉教育専門学校 高田校舎

 福祉業界で働いた、学んだ経験がない、0だけど転職したい方等におすすめの説明会。0からの福祉業界の就職や転職の実際について、当ブログ筆者(本校専任講師、社会福祉士)が、事例も挙げながら解説。参加者の皆様が社会福祉士の仕事がイメージできる説明会。 一般公開、参加無料


第26回社会福祉士国家試験255名合格、精神保健福祉士278名合格 2014年3月発表 日本福祉教育専門学校
合格率89.2%、合格者74名 本校の社会福祉士養成学科は、一般養成施設ルート(昼間通学)合格者数 全国第1位。



当ブログ筆者の論文
「福祉専門職への転職と実践を支えるアクティブ・ラーニング」 『研究紀要』第22巻第1号,2014年

同『研究紀要』』第22巻第1号 全頁 2014年 日本福祉教育専門学校


*日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科は、4年制大学卒業(見込)等の方々が対象の、1年制の社会福祉士の養成コースの昼間部です。電話:0120-166-255
日本福祉教育専門学校 公式チャンネル - YouTube


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by yrx04167 | 2014-09-24 23:48 | Comments(0)