福祉専門職への転職と実践を支えるアクティブ・ラーニング2 福祉・介護職員の燃えつき予防とストレスケア

要約 福祉専門職への転職と実践を支えるアクティブ・ラーニング<2> 当ブログ筆者の論文
 福祉・介護職員の燃えつき予防とストレスケア

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「福祉専門職への転職と実践を支えるアクティブ・ラーニング」 『研究紀要』第22巻第1号,2014年

同『研究紀要』』第22巻第1号 全頁 2014年 日本福祉教育専門学校

要約:福祉専門職への転職と実践を支えるアクティブ・ラーニング<前半>当ブログ筆者の論文 抜粋 からの続き


<要約>
4.福祉専門職の燃えつきの要因

 燃えつきの概要を次に紹介する。
一、燃えつき・バーンアウトは、福祉、医療、教育等の対人援助サービスの従事者に広がっている今日的なテーマである。加えて、家族介護や育児等、家庭の領域でも見られる。
ニ、職務に励んでいた人が、燃えつきたように活力を失ってしまう状態である。具体的な症状として、心身の疲弊、慢性的な疲労感、感情の摩滅、無気力、抑うつ、不眠等が現れる
三、原因は、燃えつきの当事者のメンタルヘルスの課題だけではなく、労働環境の課題、職員の支援体制の未整備などの要因も大きい。
 また、燃えつきの要因を、現場の福祉専門職からの聞き取りや筆者の実践における経験から抽出すると次のようなものが挙げられる
一、高い理想や使命感、自らが希望する職務と、現実とのギャップが埋められない。
ニ、職場や関係者との人間関係の問題がある。
三、親しい利用者との死別や、支援の予期せぬ結末を経験する。
四、研修の機会が不十分であり、職員各自のスキルアップの希望が叶えられない。
五、指導者となり得る先輩職員が身近なところにいない。
六、職場環境、特に長時間の勤務や夜勤がある。組織運営の課題がある。
七、福祉専門職の職務の矛盾、倫理的ジレンマ、役割や立場に曖昧さが含まれている。

5. 社会福祉士に転職して燃えつきたA子の事例
(1)概要-転職した社会福祉士の典型的事例
(2)事例-企業から福祉NPOへの転職と燃えつき
(3) グループディスカッションにおける学生の意見
 なお、授業中の調査によれば、「自分も過去に燃え尽きのような体験がある」47%、「自分にないが、周囲に燃え尽きぎみの人がいた」16%、「今まではないが、福祉の職場に就いたときに心配だ」37%、「過去も未来も、自分には当てはまらない」0%であった。燃えつきを既に経験か、将来の燃えつきに不安を持つ学生で占められていることが分かる。
一、転職後の仕事のやりがいとワーク・ライフ・バランス
二、身につまされる燃えつき体験-学生の前職における経験、将来の不安
三、福祉専門職のメンタルヘルスとスーパービジョン
四、NPOの運営・組織マネジメントの課題、組織の改善
五、社会的起業の可能性-自己実現に向けて

(4)福祉NPOの運営の課題と燃えつき
 事例のA子のような福祉専門職への転職者は、前職よりも働きやすさ、やりがい、仕事の意義、繋がり、自分らしく働くスタイル等を求めて資格取得と転職に踏み切る。これらに問題が生じた 場合、内面においては燃えつきとして、外向きには周囲との摩擦として顕在化すると言えよう 。
 燃えつきからの回復プロセスは、自らの状態の自覚からはじまる
 心身の不調が疲労のみが原因ではなく、燃えつきであることを自覚し、上司・同僚等への相談から対策はスタートする。また休養し、仕事から心理的な距離をとる。更に、心身の健康と安定を図る。趣味等の新しい活動も有効であろう。その後に回復の重要なプロセスとして、仕事と生活に関する価値観の再検討がある。燃えつきは、生き方を含めた全人的な問題とも考えられる。

Ⅲ.福祉専門職への転職の実際
1. 社会福祉士への転職の経緯-社会福祉士のライフヒストリーから
 事例は、社会福祉士取得の年齢は、27歳から40歳までという幅がある。
 これらのソーシャルワーカー・社会福祉士の、生活史から、以下の共通点が抽出できる。
(1)福祉の仕事への憧れ-福祉専門職への転職の源流
(2)女性のキャリア再構築-結婚・出産・育児を経て専門職への途中参入
(3)広義の当事者性-家族介護・育児の経験と人生の転換点
(4)社会福祉士自身の家族関係の影響-モデルとなる家族もしくは葛藤
(5)教育や介護等の隣接領域からの「キャリアアップ」-専門性の拡充
(6)援助者モデルの存在-自らが尊重された経験からの影響
(7)人生の転換点-福祉専門職への転職のターニング・ポイント

2. 転職後の困難への対処-交流と相互支援
 先述の事例から抽出した燃えつきの要因、実践上のストレスは、次のようなものである。
一、職員間の人間関係
二、同僚等との、支援に関する意見や考え、価値観を共有できないか、食い違う
三、利用者の支えになっていない。「本当の援助」探し。自己効用感が希薄
四、自身の過労や、心身の健康問題。燃えつきの症状。
五、仕事と家庭・生活の両立。
六、福祉制度の制約(マクロ的な要因)。
七、組織を変えることの困難。組織に対する無力感。
また、事例から抽出した、実践上のストレスへの各自の対処を、次に挙げる。
一、実践のミッションとビジョンの獲得
二、「仲間」との相互支援。養成校の同窓生からの助言や、職場の同僚との問題意識の共有、チームワーク。
三、職場内の信頼できる先輩職員や上司、職場外のベテランによる指導と支援。
四、現場で求められる専門技術や、多様な事態への対処方法の修熟。学習の機会を得る。
五、環境への適応能力、マネジメント能力の向上。摩擦等も自身と同僚、組織の成長の機会へと転換する。
六、自分自身と向き合い、自己覚知を深化する。自らの仕事の意味付けである。
 これらの対処・適応の方法により、ストレスに対処して燃えつき等の危機を乗り越え、成長の機会へと転換している。総じて、転職とその定着の過程において、福祉専門職としてのミッション、理想を確立し、人的な繋がりと学習資源によって、実践のスキルの向上と、自己効用感を獲得する。これらの要素が 、ストレス、燃えつきとせめぎ合っていると言えよう。

3.専門職としての成長のために必要なもの‐学習、繋がり、指導者
 専門職としての成長、力量形成のきっかけ(11名中)
職場内外での研究活動、学習会への参加10名
社会的活動(専門職団体等)への参加9名
自分にとって意味のある職場への赴任(職務・役職等) 9名
職場における経験、利用者との関わりから学ぶ8名
職場内外の優れた、道筋を示す人との出会い7名

一、福祉専門職は、職に就いた後も継続した学習と指導者の存在が、成長のための要となる。
二、専門職養成の教育機関は、職に就いた後の学習とネットワーキングの媒介を担うことが役割の一つである。
三、共通点があるため、他の業種の人材育成の方法論との相互参照、交流にも、双方の発展の可能性があると思われる 。
 総じて、専門職とその実践を支援し、成長の促進、エンパワメントを図る研修のプログラムを、現場と教育サイドの協働によって構築することが必要と考えられる。
 また、実践における倫理的なジレンマ・葛藤 は、人間として、また専門職としての成長をもたらすという指摘もある。ジレンマを成長に繋げるためには、視野の広さと基盤となる専門性が必要であると考えられる。

4.福祉専門職に定着させるものは何か-卒業生の実践報告から
(1) 児童福祉・子育て支援-貧困と虐待の多問題家族を対象とした専門性の発揮
(2)指定管理者制度と転職型社会福祉士-求められる福祉専門職+ビジネススキル
(3)自己実現、成長できる職場
(4)福祉専門職への定着の要因

<続く>

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「福祉・介護職員のストレスケア サポーティブ研修」講座番号16
内容:職員のストレスと心身への影響、対処や予防の方法を職
員各自のセルフケアを中心に解説
「福祉施設・事業所の燃えつき予防 燃えつきを防ぐ職場」17
「生活困窮・生活保護受給者対象のグループワーク実践」講座番号1
内容:貧困・生保受給者を対象としたグループワークのプログラムと留意点等を、講師(ブログ筆者)の実践や事例に基づき解説
「社会福祉士試験受験勉強の方法 共通科目編」11
「社会福祉士試験受験勉強の方法 専門科目編」講座番号12 等

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by yrx04167 | 2014-10-20 00:12 | Comments(0)