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社会調査の基礎第10回講義レジュメ 先行研究の探索、リサーチクエッションとは 医療保護入院、精神保健指定医

社会調査の基礎 第10回講義レジュメ・概要 前半 12月1日(月)4時限

*調査・フィールドワーク事例
・貧困・生活困窮者・生活保護受給者を対象とした地域福祉実践から。
 簡易宿泊所街・寿町の地域福祉活動 回覧資料
・女性の貧困 映像資料
 詳細は講義にて


医療保護入院、精神保健福祉法
精神保健指定医

実証研究のための問いの設定 リサーチクエッション
 社会福祉実証研究・調査の流れの概略、実証研究のための問いの設定方法、情報収集・文献研究の方法について。

*社会福祉調査・社会調査の過程において、全過程の方向性を決定する上で,最重要なのは準備段階である。

・調査の計画にあたっては,調査の全過程で想定される問題点を明らかにして,実行可能な方針を決めなければならない。 略
 また,費用面から見ても実行可能でないと,予算が不十分なため途中で挫折しないとも限らない。データの分析は調査の最後に行うものではあるが,どのような分析方法を用いるかを最初に考えておかないと,収集するデータの性質を決定することができない。

1.実証研究の流れ
1 実証研究のための問いの設定
 ①調査課題の明確化
・最初に研究テーマを選択し、決定する過程が必要である。
 調査課題の作成とは、何が問題であるか明確にする作業である。
 抽象的な調査目的を、具体的な調査課題に細分化しなければならない。それは、調査目的および結果を左右する。

・このテーマ設定、調査企画の段階では、社会福祉・社会についての問題関心(例:「なぜ、精神障害者への偏見が生じるのか」、「単身の利用者の孤独死(死後の発見)が相次ぐのは、なぜなのだろうか」)を、過去の調査結果を参照にしながら、より明確な調査の問い(=仮説)へ練り上げていく段階であるとも言える。

*補足:調査の目的:探索・記述・説明
 調査研究の目的は,探索,記述及び説明に大別される。調査の目的がこの3つのどれに当てはまるかによって,調査の設計が異なる。しかし、ひとつの調査が複数の目的をもつものが多い。

1)探索 exploration
 研究課題となる調査問題が先行研究の不十分な新しいもので実状がよく知られていない場合や,本格的な調査に入る前に実行可能性を模索する場合などに行うものである。 略

2)記述 description
 状況や事象を正確に記述することが課題である。高齢者介護ニーズ調査の例では,老年人口のなかで日常生活動作を自分で行えない者の割合や,その人々がどのような家族構成の世帯に居住しているか,男女別や年齢階級別にみるとどのような分布になっているかなど、対象を精密かつ正確に把握することが記述目的の調査の課題である。 略

3)説明 explanation
 因果関係に関する仮説の検証,ひいては法則ないし規則性の探求を目的にしたものである。例えば、児童虐待の出現率が地域によって違うのはなぜかとか,福祉サービスの整備状況が市町村別に違っているのはなぜかということが疑問である場合には,地域の特性との関わりを追究するわけである。このように,ある現象の発生理由を明らかにしようとするのが説明である。したがって,説明目的の調査では,因果関係や事象間の関連に関する仮説を設定することが不可欠であり,原因と考えられる事象と結果と考えられる事象の両方を測定する調査項目を配置しなければならない。

・予測と評価:説明から派生する調査目的に,予測と福祉サービスの効果評価がある。

②概念化と操作化
*概念化:研究する概念や変数の意味を特定する
*操作化:研究における変数を測定できるように定義する
・文献等を参考にしつつ、テーマの焦点を絞り、実証研究のための問いや、仮説を作成する。それは、抽象的な研究テーマ(例:児童虐待の実態の調査)から、具体的な実証研究のための問い(例:親の教育や収入の程度と虐待との間に関係が存在するか)に絞る。

・調査テーマは,当初は、そのままでは観察や測定ができない抽象的なレベルで考えられていることが多い。
・例えば、虐待と考えられる具体的な行為を挙げ,そうした行為があるかどうかを質問することに変更した方がよい。どのような行為が虐待に当たるかを調査者の側で具体的に考える――概念の明確化 conceptualization が必要である。
 こうして明確にされた概念のもとで,それを表す具体的な質問項目に置き換える作業を操作化 operationalization という。

・調査テーマは、科学的な調査・研究が実行可能な課題を選択する。また、方法論的、倫理的にも実行可能なものを選ぶ。

2 実証研究の方法の決定
■実証研究-2
 実証研究のための問いや仮説の明確化を経た後、研究計画をたてる必要がある。
変数の操作的定義(例:収入)、具体的な研究方法(例:集団比較実験、事例研究)、被験者や標本の抽出方法(例:全数)、データ収集の方法(例:質問紙、観察)、測定尺度(例:知能検査尺度)等の選択が含まれる。

①先行研究・既存調査の探索
・先行文献・調査から予備知識を得ること,同じ調査研究を繰り返していないか等を調べる。過去の調査資料の分析、また残された課題の整理をする。 略

②変数の操作的定義
変数を、具体的な操作によって測定できる(つまり、データが収集できる)ように変換すること。例えば「収入」も、測定可能な形に変換・設定する必要がある。

③仮説の作成
・調査課題の明確化をもとに,その現象もしくは問題が起きる条件を考える。
 仮説の設定とは、例えば,"Aの条件のもとにBが起こる"という仮説を設定する。
 観察・測定可能な仮説を設定する。
 原因=独立変数=説明変数とも言う。結果=従属変数=被説明変数である。

④調査に関する決定
・実証研究の方法(量的・質的・実験)
・調査単位を決定する。(例えば、個々の利用者単位、家族単位、施設単位など。)

*量的調査の場合
 母集団を決定する。(例えば、あるひとつの施設の利用者、市内全域のサービス利用者など)。母集団の明確な想定は、量的調査の基本である。
 全数調査,標本調査かを決定する。
 標本調査ならば,対象の標本(サンプル)を決定しなければならない。
 標本抽出は大別すると、有意抽出法(縁故法等)と、無作為抽出法(単純無作為抽出法等)がある。

3 データ収集の実行
実証研究-3
 研究方法・計画に沿って、データの収集が行なわれる。

*実査の実施準備としては、調査員の調達と教育等が挙げられる。調査にかかわる人員(調査対象者は除く)を専門的,学術的な分野から選び,責任者がグループを運営し仕事を分担する。
・調査実施前の重要な留意点として、調査対象者から調査の主旨や内容の理解を得,調査者の信用を得ることがある。そして対象者の人権を守るために調査内容および結果について秘密保持を守ることを前提に調査が実施される。 略

4 データ分析
■実証研究-4
 実証研究では、データをより理解しやすい形に変換する=データ分析の必要がある。
 統計とは、生データから有益な情報を得るツールである。研究の成果をより正確に導き出すことができる。

*アフターコーディング
・自由回答、または選択肢の「その他」欄に回答者に自由に書き込んでもらった回答を、後でカテゴリーに分けてコード番号に変える作業のことである。

5 結果の理解
 研究において、研究目的に沿って、データ分析に基づき結果を導き出す。記述的な研究ならば、集団・現象・問題を正しく理解するために、分かり易くまとめる。一方、仮説検証型の説明的研究ならば、結果がその仮説を支持しているか確認する。また、プログラム評価を目的とした実証研究ならば、効果の確認と、問題点と改善点について明確にする。 略

6 結果報告
 学会や学術誌、調査報告書、専門職団体等において公表し、その成果が共有されるならば、研究は社会福祉全体の向上に貢献が出来る。

日刊 社会福祉ニュース 関連情報リンク
精神障害者等の医療保護入院10年以上、埼玉県内20人 自治体対応に温度差
埼玉新聞 12月2日(火)16時48分配信
 引用「県疾病対策課によると、県内で医療保護入院の入院者の数は約8千人に上る。大半は家族などが同意しており、市町村長の同意による医療保護入院は約500人程度で推移しているとされる。
 同課の担当者は「市町村長が同意した後、入院後のフォローがどこまで行われるかは、その自治体ごとの判断によるところが大きい」としている。
 市町村同意による医療保護入院
 精神的な障害により精神保健指定医が入院が必要と判定した患者で、家族等がいない場合、市町村長が入院に同意する。
 精神保健福祉法に基づく「医療保護入院」は、都道府県知事の権限と責任で入院を強制する「措置入院」、本人の同意による「任意入院」と区別される。
 政府は今年4月、同法改正により同意する保護者の要件を修正。改正同法は医療機関に対して、医療保護入院者に、退院後の生活に向け、入院者を支援する相談員の選任を義務付けている」。
 引用ここまで

社会福祉士の職場 医療ソーシャルワーカー編 説明会
12/17(水)18時から19時半  会場:日本福祉教育専門学校 高田校舎
一般公開 無料

 ソーシャルワークの実務18年の社会福祉士である当ブログ筆者(本校専任講師)が、病院の医療相談室で相談援助をおこなう医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)の仕事の実際等を説明します。テーマに関心をお持ちの方等、お待ちしています。


「福祉専門職への転職と実践を支えるアクティブ・ラーニング」 『研究紀要』第22巻第1号,2014年

同『研究紀要』』第22巻第1号 全頁 2014年 日本福祉教育専門学校


日本福祉教育専門学校 公式チャンネル - YouTube

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社会福祉士国家試験対策講座 子どもの貧困対策の推進に関する法律、大綱、障害者者別解消法 当ブログ筆者



【ブログ閲覧中の皆様にお知らせ】
子ども家庭支援センターの実践報告 ソーシャルワーク実践研究会を開催(一般公開、参加無料)します。
 日本福祉教育専門学校社会福祉士養成学科・養成科

 本校の卒業生や在校生の方はもちろん、テーマに関心をお持ちの皆様、これから本校に入学をお考えの方や社会福祉士にご興味のある方も是非お気軽にご参加ください!当ブログ筆者等の教員も参加します。
【テーマ】 子ども家庭支援センターのソーシャルワーク実践
中堅ソーシャルワーカーの実践力をつけよう(1)
【日時】2014年12月13日(土) 14:30から16:30
【会場】日本福祉教育専門学校 高田校舎

by yrx04167 | 2014-12-02 23:54 | Comments(0)