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講義レジュメ 教育と福祉、識字能力、ストレングスによる生き方支援、虐待の回復とは 相談援助基盤第6回

相談援助の基盤と専門職 前期第6回 講義レジュメ概要 後半
 当ブログ筆者が、社会福祉士養成学科にて、5月18日(金)に講義            
<レジュメ完全版は講義にて配布。解説の詳細は講義にて>


教育と社会福祉 事例から学ぶ、読み書きが出来ないということ(識字能力が無い)
・ブログ筆者の実践事例 寿町の簡易宿泊所居住者のグループワーク、精神科デイケアから 授業にて解説
 義務教育を受ける機会が無く、文字の読み書きが出来ない利用者は、寿町の簡易宿泊所に居住する障害者や高齢者にも、ホームレス等の生活困窮者や生活保護受給者にも存在する。遠い国の話ではない。
 なぜ、識字能力が無いのか。生まれ育った家庭の生活困窮、家族関係の不安定、子ども・少年時代の問題行動(非行)、不登校、いじめ等、複数の生活問題が重複し、教育を受ける機会を失ってきたからだ。
 読み書きが出来ないことは、情報へのアクセスのハンディキャップ、記録を残す手段も無いことから、就労においても不利を強いられ、日常生活においても、様々な不自由と自らの権利を護ることが困難になる。また、単に生活上の困難のみならず、自らの意志を伝える手段、想いを表現し、他者と関わり、生きる力を制限される、全人的なハンディキャップとも言えるだろう。
 文字を読み、書き記すことは、人が生きていく力と勇気に直結する。自らを解放していく起点となる。人間の擁護、尊厳と生活、権利を護るソーシャルワークが必要とされている。その根源には、痛みに寄り添い、人間を支える実践がある。
 人々が生きた歴史からは、多くの学ぶべき事柄がある。文字に記され、表現されることを願いたい。
 従来、公立夜間中学校等によって、教育と支援が行われてきた。スクールソーシャルワーカーである社会福祉士が、連携の要となって、総合的な教育支援が求められていると考えられる。
 新たな生活困窮者自立支援制度における、困窮家庭の子どもの学習支援事業は、社会福祉士等による展開が期待される。 


2章 相談援助の定義と構成要素
2節 ソーシャルワークの構成要素 (4要素)
1 クライエントシステム テキストP29
・ソーシャルワーク実践における対象理解の意味とは
*様々ないろいろな問題を抱えた人がクライエント-その問題とは、社会で生きていく上での生きづらさであり、特別なものではない。
 例えば、メンタルヘルスやハンディキャップに関連する事柄、摂食障害、引きこもり、不登校、社会参加、学校や職場のいじめ、家族問題、DVドメスティックバイオレンス、子ども虐待、がんや難病の告知に関わる困難などである。
 家族の介護や子育ての困り事等の、普遍的な問題もある。
 クライエントとは、特別な問題を持つ人でもなければ、特別な人達でもない。

・これらの生活問題、どの程度の困難、ストレスに対処できるのかは個人差がある
 特に子育てには、「当たり前のこと、普通は出来る」と社会で言われていても、なかには対処できない人たちもいる。
 子育て支援のニーズがあり、事業が必用とされている。

*相談援助における対等
・相談におけるクライエントと援助者との関わりの根源的な課題。聴取される生活歴、援助者とは「対等」な関係なのか。
 援助と引き換えに聞き取りが行われているという側面がある。

*クライエントの「分からなさ」からはじまる
・困難、文化、階層、生き方等、様々な違いもあるなかで、相談対象の「理解」は可能なのか。
 無際限性とも言えるもの、クライエントへの根源的な「わからなさ」が残る。
 面接においてクライエントには分からなさの引き出しがあることを忘れず、「分かったつもり」にならないことが、相談の鉄則と言えよう。
 「わかる」のドイツ語の語源には、「馴染む」という要素が含まれている。分からなさがあっても、近づき、親しく関わることを諦めない。
 クライエントには「誰にも分からない」と絶望している問題、恥の感情があり、同時に「分かってほしい」という痛切な願いがあるから、来談している。
 ワーカーとは様々な違いがあるクライエントの理解からはじまる関わり、支援の技術なのである。

*病気だけを診て、患者を見ない診察は受けたいか。
・相談援助とは、問題を解決(ニーズを充足)するのではない。
 問題(ニーズ)を抱える人を支援する。
 トラブル、ストレスは無くせないが、それに対処し、適応して生きることの支援は出来る。加えて、資源、捉え方、意味付け、回復が課題である。


*クライエント(client)
 略
*クライエント・システム
・クライエントを取り巻く(周囲の)環境を含むシステムを指す。
・ソーシャルワーカーが援助の対象とするシステムのことである。
 具体的には、社会福祉サービスを既に利用しているか、サービスを必要とし、問題解決に取り組もうとしている個人や家族などから構成されているシステムを指す。

・クライエント個人と周囲との接点への働きかけ。
 クライエントにとって周囲の人達は、オアシスのように資源や支え合いがある環境か、針のむしろのような偏見がある場所、足の引っ張り合いによる呪縛か。
 例:多問題家族、障害者一家

 しかし、人間は、家族やコミュニティのなかで認め合い、尊重し、支え合って、喜怒哀楽を分かち合いながら共に生きることも出来る。
 その普遍的な価値を伝え、実行を支えることも、ソーシャルワークの働きの一つである。

*具体的な支援
 適応とコミュニケーションを高める働きかけ。面接やグループワークが有効である。
 具体的には、環境への認識と捉え方、リフレーミングが支援の課題となる。


◎補足
 ピンカス(Pincus, A.)とミナハン(Minahan, A.)は,ソーシャルワーク実践の構成要素を、クライエント・システム,ワーカー・システム,ターゲット・システム,アクション・システムとして整理した。 略

◎解説:生活の全体性  事例に関連
 略

*ホリスティックな視点-全人的な捉え方
 略 人間の生活と心理を全体として,包括的に捉える見方である。
 ホリス「全体関連的な状況のなかにある人」。

*クライエント、利用者などの呼び方
 恩恵を受ける者ではなく、権利として対等にサービスを利用している。 略

*参考:サバイバー
 生き延びた者(suivivor)」が、もともとの意味。虐待や犯罪被害など、さまざまな原因から生じた傷を負っても、生き抜く人のこと。様々な考え方があるが、被害者(victim)から、サバイバー(suivivor)となることが回復の途とされている。

*ストレングスによる生き方へ
 暴力、家族問題、虐待、生活困窮、中途障害等を生き抜いたことだけで、価値が、強さある。その人自身の力であり、回復への原動力である。相談援助において、クライエントに気づきと視点と生き方の転換を働きかける。それは、ミクロとマクロの変化の源泉である。
 それは、援助者が、治癒や指導をするという姿勢を転換し、クライエント自身の困難への意味づけを支えるあり方。
 患者が自分の痛み、悲しみを乗り越え、回復に歩き出すことの支援である。

・経験が無いだろうか。
 他者から自分の価値が認められない理不尽な経験-存在や力の否定は、力、気力、可能性を奪う。
 先ず、クライエントに、その人だけの強さ、尊さを伝えることからはじまる。
 人間の内なる光、潜在能力・才能の肯定である。
 先ずはワーカーが認め、クライエントがそのかけがえのない誇りを取り戻し、社会も気づき、認めること。

*補足:ストレングス視点とエンパワメント・アプローチ
 ストレングスとは,人が上手だと思うもの,生得的な才能,獲得した能力,スキルなど,潜在的能力のようなものを意味する。
 ストレングス視点とは,援助者がクライエントの病理・欠陥に焦点を当てるのではなく,上手さ,豊かさ,強さ,たくましさ,資源などのストレングスに焦点を当てることを強調する視点であり,援助観である。肯定的な心理状況等(自信、意欲、抱負、希望など)でもある。

 自らと潜在能力を見つめなおす-援助者も
 自分の強みが何であるかを知って、それを生かすようにすること。
 そして、自分の強みを知るだけでなく、それを生活に生かす努力が必要である。
 具体的には、面接における支持、肯定を行なう「~さんなら出来ますよ」。強さを承認し、称賛、肯定する。
 他者からの評価ではなく他人と自分を比較しないことが要となる。

・クライエント自身が、自分の長所に注目し、自らの強みを自覚することから、変化ははじまる。
⇒それを支え潜在能力を促進するストレングスによる実践。
 
・ここでのエンパワメントとは、クライエントに外部から援助や指導を注入するのではなく、内なる力、意欲、解決策を引き出し、促進する、強化する。
 クライエント自身が、困難の意味づけをするように促す問いかけが有効となる。

*ストレングスを活用した実践-クライエントとのパートナーシップ、動機付けを高める。
 生活の質を高めることの強調。
・人は環境から多大な影響を受けるが、環境を変えていく力(潜在能力)、可能性を持つ。


日刊 社会福祉施設ニュース 関連情報クリップ
薬物依存症の治療 危険ドラッグ使用最多34%、過去1年に 
2015/05/07 18:07 【共同通信】

引用「全国の医療機関で治療を受けた薬物乱用患者の34%が過去1年間に主に危険ドラッグを使用し、覚せい剤など他の薬物を上回って最多を占めたとの調査結果を厚生労働省研究班が7日までにまとめた。厚労省は、危険ドラッグ販売の取り締まりを強化しているが、専門家は治療体制の整備も必要と指摘している。
 研究班は全国の精神科病床がある医療機関1598施設に昨年8月、協力を要請、同9~10月に薬物依存症などで治療を受けた患者の有無や使用薬物の種類などを調べた。200以上の施設から1579人分の患者データが集まった」。引用ここまで

災害時の障害者や高齢者の福祉避難所 指定に地域差 国のガイドラインでは小学校区に1カ所程度
2015/05/20 14:53 【徳島新聞】

引用「災害時に介助が必要な高齢者や障害者らを受け入れる「福祉避難所」に指定された徳島県内の施設数は142(4月1日時点)で前年同期から33増えたものの、依然、国の目安の78%にとどまっていることが県のまとめで分かった。目安の半分にも達していない市町がある一方、2倍前後指定している自治体もあり、地域差が目立つ。 
 福祉避難所は市町村が指定し、一般の避難所では生活が困難な高齢者、障害者、妊婦らを受け入れる。国のガイドラインでは小学校区に1カ所程度あることが望ましいとされており、県内では182カ所が必要になる。
 県地域福祉課によると、目安に達しているのは阿南、牟岐など10市町村。一方、徳島、鳴門など14市町は目安に届いていない。徳島市は3年前から新たな指定がなく、担当者は「高齢者施設に協力を求めているが、それだけでは難しい」と漏らす。
 福祉避難所には対応できる人員や介護用品などの備蓄が必要で、耐震化やバリアフリー化も求められる。そのため、高齢者施設や障害者施設といった民間の福祉施設が多く指定されている。
 しかし、そうした施設には既に入所者や利用者がおり、受け入れられるのは職員やスペースに余裕がある施設に限られる。県西部のように福祉施設自体が少ない地域もあり、災害弱者のための環境整備は思うように進んでいない」。引用ここまで

「健康マイレージ」スタート ロコモティブシンドローム予防、運動記録で景品プレゼント ロコモ予防体操等
2015/05/22 11:10 【福島民友新聞】

引用「ロコモティブシンドローム(ロコモ)予防を目的とした郡山市健康振興財団の「まるごと健康マイレージ・ロコモ編」は21日スタートした。2016(平成28)年2月18日までの期間中、自宅などで実践した運動を記録してポイントをためると景品がプレゼントされる。
 健康マイレージは、ロコモ予防体操などの運動を行うことでポイントがたまる仕組み。郡山ブランド野菜や磐梯熱海温泉の旅館で使える共通利用券を贈る。
 同財団によると、ロコモは筋肉や骨などの運動器の障害で歩行や日常生活に支障がある状態。要介護やその危険性が高くなるという」。引用ここまで

<関連資料 バックナンバー>
貧困・低所得・生活保護 : 社会福祉士受験支援講座・教員日記


新刊 当ブログ筆者が試験問題解説を執筆 
「2016社会福祉士国家試験過去問解説集 第25回─第27回全問完全解説」日本社会福祉士養成校協会編集 ISBN 978-4-8058-5161-6
 中央法規出版 2015年5月10日発行

 450問を選択肢ごとに詳しく解説し、科目別ポイントを収載。第27回を含む過去3年分の国家試験全問題を掲載した問題集。過去2年分も最新の制度や数値にアップデートし、次回試験に完全対応。基本の理解、実力試し、傾向対策、総復習で着実に学習効果を発揮。 中央法規出版


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 当ブログ筆者の論文 最新 「福祉施設職員のストレスケア サポーティブ研修プログラムの開発」
日本福祉教育専門学校 研究紀要第23巻1号 37頁から55頁 平成27年4月

 

by yrx04167 | 2015-05-22 09:02 | Comments(0)