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相談援助の基盤専門職 貧困と民間支援、自助、チャルマーズ、友愛訪問、ギャンブル依存症 保健医療サービス

相談援助の基盤と専門職 前期第13回講義レジュメ概要2
 当ブログ筆者(本校専任教員、社会福祉士)が、社会福祉士養成学科にて、2016年7月に講義      
<この記事は、ダイジェスト版と講義当日の補足。レジュメ完全版は講義にて配布。解説の詳細は講義にて>


ソーシャルワークの歴史 相談援助の形成過程Ⅰ
1節 ソーシャルワークの源流
<前回講義レジュメからの続き 相談援助の基盤と専門職講義 劣等処遇の原則、マルサス人口の原理、混合収容とは>
2 慈善組織協会・セツルメント・YMCA(1)

・ハワードの監獄改良運動―人道的な処遇を求めた、ソーシャルアクションの先駆的な実践。
*1777年、『イングランドおよびウェールズにおける監獄事情』公刊-ジョン・ハワード
<ハワード John Howard (1726―1790)>

 イギリスにおける監獄改良運動を実践した。ハワード自身のフランスにおける捕虜生活の経験が、その動機の一つとなった。慈善事業を実践した。
 1773年、ベッドフォード州の地方長官となって、監獄等を視察、自らの獄中体験と同じ惨状を知った。
 イギリス各地の監獄の実情の調査から、監獄熱等の伝染病など劣悪な環境、獄吏の生活費が囚人の手数料でまかなわれること等の多くの問題が明らかになった。
 ヨーロッパ各地の監獄を調査し、各国の人道的な処遇を解説し、獄内の環境、生活の改善、作業の採用等を提言した。
 1777年には『イングランドおよびウェールズにおける監獄事情』を公刊し、監獄改良運動に多大の影響を与えた。

岩波文庫
『十八世紀ヨーロッパ監獄事情』
ジョン・ハワード著 川北稔,森本真美 訳
ISBN4-00-334651-3
引用「自らの拘禁経験と博愛主義の精神から,延べ六回にわたりヨーロッパ十一カ国の監獄を歴訪したジョン・ハワード(一七二六―九〇)は,徹底した調査と観察にもとづいて,監獄の現状を記し,改革を提言する報告書をまとめた.本書は,その一部を訳出したものであるが,伝聞を排し,直接見たことだけを記述した社会史の一級史料である」

*1785年、「見知らぬ人の友の会」、ロンドンで設立
・各地からロンドンに流入し、窮乏している人々への救済活動の実践であった。

*「隣友運動」チャルマーズ Chalmars, Thomas
・チャルマーズはスコットランドの長老教会の牧師、神学者
*貧困家庭訪問の開始と信仰復興
 チャルマーズは、1811年以降、キルメニー教区において、貧民への救済と訪問の活動を開始した。
宗教者となった後、自身が療養生活を強いられたことが契機となり、信仰の復興を経験した。
 その後、教会における説教も雄弁となり、また貧困家庭の訪問等の隣友運動を熱意を持って開始した。

*グラスゴーにおける隣友運動の展開
 その後、グラスゴー市のトロン教区(後にセント・ジョン教区)において、教区を地区に細分化し、教会の長老等の地区担当制による「隣友運動」を展開した。
 貧困家庭への友愛訪問、つまり貧困者の友人としての訪問活動や、個別の事情、ニーズに応じた周囲の資源の活用を含めた組織的な援助、貧困児童の教育など、相互扶助、生活の自助、親族の援助、有産階級の慈善という「四源泉」を重視する慈善活動を開拓した。
 総じて、隣人愛による民間の活動を重視する、民間主体主義の救済方法であった。これらの活動を進めた組織は、「セント・ジョン機関」とも呼ばれた。

*貧困者の援助は民間の役割、自助と相互扶助こそが重要
 セント・ジョンは、グラスゴーで最も貧困教区であった。彼の隣友運動は、精神的な救済、感化を重視したものであった。教会を、富を持っている者が持たざるものを自発的に扶ける愛の共同体とするビジョンを持っていた。
 彼は救貧法による公的援助には反対し、貧困者への援助は民間慈善団体が中心であると考え、実践した。貧しい者を助ける方法とは、自助と教会、地域、親族の相互扶助であると主張し、隣友運動は信仰と愛の共同体の実践であった。

*チャルマーズの隣友運動=友愛訪問の創始 の限界
・チャルマーズの実践思想は、貧困の社会・環境的要因を考慮していない観点であるが,この事業がチャルマーズと、そのスタッフの個人的力量と組織によってある程度の成功を収めた。
 チャルマーズも後に,この救済システムの弱点は,その成果が事業を総括する責任者の資質に左右されることであるとも証言している。

*1840年代、友愛訪問員の活動。
 首都訪問救済協会、困窮者救済協会等の活動。

<YMCA 青少年活動の開始>
1844年、YMCA(Young Men's Christian Associationキリスト教青年会)が、ジョージ・ウイリアムズらによって、ロンドンで創立。

・祈祷会・聖書研究会を目的に設立。
①貧困な青年たちにクラブ・レクレーション活動を通じて生活技術と精神面の指導を図る
②人格的な交流を基礎とした社会教育活動
③健康で人間らしい生活の権利への意識を高める活動
 なお現在YMCAは、青少年活動の支援などを行なうキリスト教の組織として、120以上の国で活動している。

1855年、YWCA(Young Women's Christian Associationキリスト教女子青年会)
 同じくイギリスで設立された。現在はキリスト教の女性団体の一つである。

*1865年にロンドンのイースト・エンドで救世軍が創設

 救世軍とは、プロテスタントの一教派である。1865年にロンドンのイースト・エンドで、ブースWilliam Boothらによって始められた。
 福音の伝道、信仰的共同体の形成、貧困と悪徳を敵として社会改善のために戦うことを目的とする団体である。ブースはその実践の最善の方法として、軍隊用語と軍服型の制服と軍隊方式の組織を採用した。創意工夫を生かしてスラム街で伝道活動を展開した。
 教理を「救いと聖潔」、「血と火」
 現在ロンドンに万国本営を置き、各国に本営―連隊―小隊―分隊などの組織をもつ。

*産業革命後の貧困
 19世紀末、産業革命後のイギリス社会においては,貧富の格差が拡大し、ロンドン等の都市への貧民の流入と、都市における貧困地区(スラム)の存在、失業と貧困、劣悪な労働環境と健康被害・病気など、社会問題が山積した。
 しかし、公的な対策は「救貧法体制」のもと、貧民への劣等処遇の原則、労役場(ワークハウス)への収容と強制労働などに留まっていた。
 このような背景から、慈善団体の発展がはじまっていた。しかし当時、貧困の原因とは、道徳的な問題であるとみなす考えが社会では主流であった。多くの慈善団体も同様に、道徳的に感化すること、向上させることが貧困からの脱却につながると考えていた。またロンドン市内では、慈善活動が乱立する傾向もあって、救済の重複と救済漏れの問題が生じた。
 1861年にはロンドン市内に約640の慈善団体が存在した。


夜間部等 臨時休講のお知らせ 2016/8/22
【夜間部・休講のお知らせ】台風9号に伴う悪天候のため、本日8/22(月)は臨時休講となります。
 社会福祉士養成科(トワイライトコース・ナイトコース)
 精神保健福祉士養成科(トワイライトコース・ナイトコース)

 学生の皆さまの通学における安全確保のため臨時休講となりました。
 ご不明な点は、本校舎教務課までお問い合わせください。 TEL : 03-3205-1611

【休講のお知らせ】国家試験受験対策コース 社会福祉士・精神保健福祉士 2016/08/22
 社会福祉士国家試験受験対策コース
 精神保健福祉士国家試験受験対策コース

台風9号に伴う悪天候のため、本日8/22(月)は臨時休講となります。
 高田校舎 TEL : 03-3982-2511


<保健医療サービス 練習問題>
問題11 診療報酬の額を定めた診療報酬点数表は, 中央社会保険医療協議会が厚生労働大臣に諮問して,その意見をもとに定めることになっている。

問題12 診療報酬は,中央社会保険医療協議会の審議を踏まえ厚生労働大臣が定めることとなっている。

問題13 診療報酬は,いわゆる定額払い制が基本であるが,近年では一部に出来高払い制が導入され,その対象は拡大傾向にある。

問題14 公費負担医療制度における医療費については,例外なく医療保険の診療報酬とは別個の算定方法が用いられる。

問題15 特定療養費制度の高度先進医療や差額ベッドの場合には,保険医療機関は診療報酬によって算定される額以外の料金を患者から徴収することができる。

問題16 診療報酬は,厚生労働大臣の諮問を受けて中央社会保険医擦協議会が審議・答申し,国会が定めることとなっている。

問題17 日本における診療報酬は基本的に出来高払い制である。

問題18 医療保険と老人保健以外で,国庫負担によって行われている医療保障の仕組みを公費負担医療という

問題19 公費負担医療にかかる医療費は,例外もあるが,基本的には医療保険の診療報酬点数表に基づいて算定されることになる。


児童や家庭に対する支援と児童 家庭福祉制度 練習問題 中級
社会福祉士国家試験受験対策web講座 専門科目


問題1 民生委員・児童委員に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい

1 児童委員は、都道府県民生委員・児童委員推薦会の推薦にもとづき、都道府県知事が委嘱する。
2 主任児童委員は、児童委員活動要領によれば、主任児童委員としての本務に支障がない限り、生活福祉資金貸付業務や老人世帯への訪問活動に積極的に協力しなければならない。
3 児童委員は、地域住民の実情把握と記録、相談・援助、児童健全育成の地域活動、連絡通報、児童虐待への取り組みなどの活動を行う。
4 民生委員・児童委員の相談支援件数は年間約900万件(平成14年度)であるが、このうち、児童に直接関係する相談がほぼ半数を占めている。
5 主任児童委員は,児童福祉サービスを提供する者の連絡調整,他の児童委員に対する助言,指導を行う専門委員で,民生委員推薦会が児童委員経験者の中から推薦し,それに基づき都道府県知事が指名した者がその任に就くことができる。

民生委員法

児童福祉法

問題2 「児童の権利に関する条約」第3条第1項の条文の空欄Aに該当する語句として,次のうち,正しいものを一つ選びなさい

 児童に関するすべての措置をとるに当たっては,公的若しくは私的な社会福祉施設,裁判所,行政当局又は立法機関のいずれによって行われるものであっても,「 A 」が主として考慮されるものとする。

1 親からの分離禁止
2 児童の最善の利益
3 児童の意見
4 親を知る権利
5 親の第一次的養育責任

*解答と解説:児童委員 児童健全育成 要保護児童通告、民生委員、
主任児童委員 「主任児童委員の設置について」(厚生省通知,平成5年児発283号)、
児童の最善の利益、「児童の権利に関するジュネーブ宣言」
児童の権利に関する条約・抜粋 国際連合「児童の権利に関する委員会」、
児童の世紀 エレン・ケイ(Key, E.)
 養子縁組とは 記事の下方をクリック


精神疾患休職の教員53人 15年度の佐賀県内
2016/04/26 10:27 【佐賀新聞】

引用「多忙、クレーム対応要因うつ病などの精神性疾患で病気休職した佐賀県内の教員は2015年度53人(速報値)に上り、過去10年で最多だった前年度と同数の高い水準だった。多忙化や保護者からのクレーム対応などが原因とみられ、県教委は相談体制を充実させ、早期発見や職場復帰などを支援していく」
引用ここまで

ギャンブル依存症が増加傾向
2016/05/09 09:25 【佐賀新聞】

引用「佐賀県でギャンブル依存症の受診者が目立ってきた。厚生労働省の依存症治療拠点機関の指定を受ける肥前精神医療センター(神埼郡吉野ケ里町)では2015年度の受診者が17人で、前年度の9人からほぼ倍増した。県精神保健福祉センター(小城市)への相談も絶えず、「増加傾向にある」と危惧する関係者もいる」引用ここまで


当ブログ筆者執筆の新刊
精神保健福祉援助演習(専門)第2版
精神保健福祉士シリーズ 10
福祉臨床シリーズ編集委員会 編

ISBN978-4-335-61117-9
発行日 2016/02/22 弘文堂

第8章 地域における精神保健問題 依存症と生活困窮(pp.171-178)
<概要>
 簡易宿泊所街「寿町」の精神科診療所におけるアルコール依存症と薬物依存症患者の支援の実践から、回復を図るグループワークや相談援助の課題等を考察した。
 生活保護を受給し簡易宿泊所に居住するアルコール・薬物依存症患者の回復の鍵を握るものとして、レジリアンスを挙げた。具体的には失敗を繰り返しても援助者と繋がり続け、危機を回避するための協働や、訪問やグループワーク等による社会的孤立を防ぎ、全人的な支援の持続が有効であると論じた。

平成28年度 社会福祉士・精神保健福祉士全国統一模擬試験

当ブログ筆者が報告を行います お知らせ
第46回全国社会福祉教育セミナー2016 会場 淑徳大学 「ソーシャルワーク教育の新たな発展をめざして」
分科会第4 『一般・短期養成施設や通信課程におけるソーシャルワーカー養成の現状と課題(仮)』2016年10月30日

コーディネーター: 空閑浩人(同志社大学)
発題者: 山本由紀(上智社会福祉専門学校)
     明星明美(日本福祉大学福祉経営学部 通信教育)
     関屋光泰 (日本福祉教育専門学校)
主催 日本社会福祉教育学校連盟 日本社会福祉士養成校協会 日本精神保健福祉士養成校協会


福祉施設職員のメンタルヘルスの支援 職員のストレスマネジメントと施設のリスクマネジメント 当ブログ筆者の論文 抜粋 リンク

<当ブログ筆者の論文>
当ブログ筆者の論文 「福祉施設職員のストレスケア サポーティブ研修プログラムの開発」
日本福祉教育専門学校 研究紀要第23巻1号 37頁から55頁 平成27年4月
ISSN 0919-2034

 東京都による福祉施設職員の実践を支援する研修プログラムとして、開発し、実施を継続している。
 福祉施設職員のストレスケア、燃えつき予防を支援するために、この研修プログラムを開発した。職員のメンタルヘルスの不調等の課題は、実践に影響し、施設にとって支援の質の低下に繋がる。職員のストレス・マネジメントは、施設のリスク・マネジメントでもある。この研修は、離職を防ぐメンタルヘルス対策のみならず、サポーティブな職場づくり、質の高い実践の持続をも視野に入れ、開発した。各施設において実施し、現場からのフィードバックを活かし、プログラムの更なる改善を図った。

貧困問題と相談援助 当ブログ筆者の講演 音声記録の一部を公開中

*解答と解説 下記をクリック



問題11 × 正しくは「厚生労働大臣が中央社会保険医療協議会に諮問して」

問題12 ○ 診療報酬は,厚生労働大臣の諮問を受けて中央社会保険医擦協議会が審議・答申し,厚生労働大臣が定めることとなっている。

問題13 × 診療報酬は基本的に出来高払い制である。

問題14 × 医療保険及び老人保健以外で,国庫負担によって行われている医療保障の仕組みを公費負担医療といい,これには生活保護法の医療扶助,児童福祉法や精神保健福祉法による保健・医療サービス,原爆被爆者・戦傷病者に対する医療,生活習慣病対策,結核・難病・エイズ対策,予防接種,麻薬及び向精神薬取締,学校保健等が含まれる。これらの公費負担医療にかかる医療費は,例外もあるが,基本的には医療保険の診療報酬点数表に基づいて算定されることになる。

問題15 ○ 特定療養費制度に規定された高度先進医療や差額ベッドなどは,診療報酬に基づく保険請求とは別に,患者に対して特別な料金を請求することができる。

問題16 × 正しくは「厚生労働大臣が定める」

問題17 ○

問題18 ○

問題19 ○

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<解答>

問題1 正答-3
 児童委員は、地域住民の実情把握と記録、相談・援助、児童健全育成の地域活動、連絡通報、児童虐待への取り組みなどの活動を行う。

問題2 解答2
 児童の最善の利益

<解説>
*児童委員 
 児童福祉法に基づき,市町村の区域ごとに厚生労働大臣が委嘱した民生委員が兼務する特別のボランティア。児童・妊産婦の状況把握と保健福祉サービスの情報提供,児童福祉司と社会福祉主事への協力,要保護児童通告の仲介,児童の福祉増進と健全育成等を目的として活動している。児童委員のなかから主任児童委員が指名され,もっぱら児童福祉にかかわる連絡・調整と児童委員の支援にあたる。2001年12月1日現在,全国の児童委員は22万人(うち主任児童委員は2万人)。

*主任児童委員
「主任児童委員の設置について」(厚生省通知,平成5年児発283号)に基づき,1994年から創設された制度で,地域における児童・子育て支援をさらに推進するため,区域を限定せずに児童福祉に関する事項について扱う児童委員の一形態。区域担当制の児童委員との連絡・調整,協同による相談・支援を職務とする。多くが女性。原則55歳以下となっており,民生・児童委員よりは年齢層が低い。2001年の児童福祉法改正で法定化され,厚生労働大臣が直接指名することとなった。

*民生委員
 民生委員法に基づいて住民のなかから選任される委員で,自治体の人口規模によって定められた配置基準に従って区域を担当し,住民の生活状態の把握,相談・援助,福祉サービスに関する情報の提供,社会福祉事業を行う団体や行政に対する協力・支援などを行っている。3年の任期で厚生労働大臣から委嘱され,給与は支給されない。また児童福祉法による児童委員を兼ねている

*児童の最善の利益
 1959年の児童権利宣言2条に「児童の最善の利益について最高の考慮が払われなければならない」とあるが,1989年の「児童の権利に関する条約」3条では「児童に関するすべての措置をとるに当たっては……児童の最善の利益が主として考慮される」としている。特に,父母からの分離(9条・20条),父母との面会等(9条), 父母の養育(18条),養子縁組(21条),逮捕等の際の成人との分離(37条),司法手続(40条)については,最善の利益の考慮を具体的に求めている。

*児童の権利に関する条約 Convention on the Rights of the Child
 国際連合が児童権利宣言30周年にあたる1989年に採択した,児童の権利に関する包括的な国際条約。日本が1994年に批准したほか,締約国は,アメリカを除く先進諸国の大半を含む191カ国にのぼっている。「児童の最善の利益」の尊重を基本理念として掲げたうえで,意見表明権,表現の自由,結社・集会の自由などの市民的自由権,児童の養育および発達についての父母の第一義的責任と国による援助,虐待・放置・搾取からの保護,社会保障への権利,教育についての権利,経済的搾取と有害労働からの保護,少年司法についての権利等を定めている。この条約は,児童が特別の保護および援助を受ける権利を確認しただけでなく,権利行使の主体として市民的自由権の保障を明確にした点で画期的なものとされる。条約で定めた締約国の義務の履行を担保するため,国際連合に「児童の権利に関する委員会」が設置されており,締約国は定期的に報告を提出して審査を受ける。1979年の国際児童年を契機としたポーランドの提案に端を発し,10年に及ぶ作業を経て採択されたものである。
<解説>
*条約の抜粋
第3条
1 児童に関するすべての措置をとるに当たっては、公的若しくは私的な社会福祉施設、裁判所、行政当局又は立法機関のいずれによって行われるものであっても、児童の最善の利益が主として考慮されるものとする。

2 締約国は、児童の父母、法定保護者又は児童について法的に責任を有する他の者の権利及び義務を考慮に入れて、児童の福祉に必要な保護及び養護を確保することを約束し、このため、すべての適当な立法上及び行政上の措置をとる。

3 締約国は、児童の養護又は保護のための施設、役務の提供及び設備が、特に安全及び健康の分野に関し並びにこれらの職員の数及び適格性並びに適正な監督に関し権限のある当局の設定した基準に適合することを確保する。

第4条
 締約国は、この条約において認められる権利の実現のため、すべての適当な立法措置、行政措置その他の措置を講ずる。締約国は、経済的、社会的及び文化的権利に関しては、自国における利用可能な手段の最大限の範囲内で、また、必要な場合には国際協力の枠内で、これらの措置を講ずる。

第5条
 締約国は、児童がこの条約において認められる権利を行使するに当たり、父母若しくは場合により地方の慣習により定められている大家族若しくは共同体の構成員、法定保護者又は児童について法的に責任を有する他の者がその児童の発達しつつある能力に適合する方法で適当な指示及び指導を与える責任、権利及び義務を尊重する。

第6条
1 締約国は、すべての児童が生命に対する固有の権利を有することを認める。
2 締約国は、児童の生存及び発達を可能な最大限の範囲において確保する。

*児童の世紀 The Century of the Child
 スウェーデンの思想家エレン・ケイ(Key, E.)の主著(Barnets arhundrade)。1900年という世紀の節目に書かれた歴史的書物のなかで,彼女は20世紀を「児童の世紀」にすべきだと述べた。今も発展途上国では疾病と飢餓,内戦と性的搾取に,先進諸国では虐待といじめに苦しむ児童が多数いる一方で,20世紀は先進諸国に社会保障制度が整備され,1924年の「児童の権利に関するジュネーブ宣言」,59年の児童権利宣言,89年の「児童の権利に関する条約」など,児童の生活保障と権利擁護が進んだ世紀でもあった。

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by yrx04167 | 2016-08-21 20:23 | Comments(0)