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全国社会福祉教育セミナー分科会第4 社会福祉士養成校におけるソーシャルワーク専門職養成1 当ブログ筆者

当ブログ筆者が全国社会福祉教育セミナーにて報告を行います(済)
第46回全国社会福祉教育セミナー2016 会場 淑徳大学 「ソーシャルワーク教育の新たな発展をめざして」
分科会第4 『一般・短期養成施設や通信課程におけるソーシャルワーカー養成の現状と課題』2016年10月30日

コーディネーター: 空閑浩人氏(同志社大学)
発題者: 山本由紀氏(上智社会福祉専門学校)
     明星明美氏(日本福祉大学福祉経営学部 通信教育)
     関屋光泰 (日本福祉教育専門学校)
主催 日本社会福祉教育学校連盟 日本社会福祉士養成校協会 日本精神保健福祉士養成校協会


分科会報告 社会福祉士養成校(通学1年 昼間部)におけるソーシャルワーク専門職養成
<抜粋>
関屋光泰 当ブログ筆者
1-1 社会福祉領域への「転職」を目指す学生と社会福祉士養成校
 日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科は、2004年度に設置された、大卒者等を対象とする社会福祉士一般養成施設の1年制の通学課程である。
 社会福祉士養成学科 昼間部 <定員80名>

<特徴>
①学生の子育て、家族介護との両立
学生の多様性 ボランティア等経験者、異業種からの転職、セカンドキャリア、社会福祉事業の継承者
学生による自主的な学習会。施設見学、自主ゼミ、受験対策
 当学科の学生は、大学において社会福祉以外の領域を学び、大学卒業後直ぐに当学科に進学する進路変更か、大学卒業後に社会福祉以外の職業等を経て、当学科に進学する社会人学生の両者で多数を占める。
 学生の就職先として、医療ソーシャルワーカーが最多で20%から30%であり、次いで公務員福祉職、社会福祉協議会が主要である。

 また、夜間部の社会福祉士養成科は、昼間に働きながらの学生生活である-現役社会人学生、勤労学生とも言えよう。
 同様に、精神保健福祉士養成学科と精神保健福祉士養成科の昼夜の通学課程を設けている。
 本校の特徴として、自由選択制のオープン科目が挙げられる。
 専門職養成の観点から、オリジナルの科目を開講し、介護へのロボットの応用等、フロンティアとも言える領域の学びを提供している。


*ソーシャルワーカーの養成 入学前教育から卒後教育まで繋ぐ
 社会福祉士養成校の主要な役割とは、社会福祉専門職の志願者を募り=入学前
 専門職養成教育の実施と福祉領域への就職の促進=在学中
 卒業後のスーパービジョンとネットワーク構築等、実践と生涯続く自己研鑽のフォローアップである。


 これらを繋ぎ、媒介する総合的な教育に関して述べていく。
 それは、ソーシャルワーク専門職への入口としでの学校であり、実践に就いた後も継続した自己研鑽、学習とその資源、ネットワークの媒介となる教育のあり方を探る。

<今回の報告の主要な内容>
テーマ1 
 実践に連結したソーシャルワーク教育 実践事例の活用とフィールドワークを重視
テーマ2
 入学前-在学中-実践・卒後教育を繋ぐソーシャルワーク専門職養成プロセス
 卒後教育として、認定社会福祉士課程、精神保健福祉研究科、同窓会総会等を学校として実施。
 当学科として、ソーシャルワーク実践研究会、卒業生スーパービジョン等を実施。
テーマ3
 養成校の専門職養成の課題-当日、詳細を報告


1-2 社会福祉士養成学科学生の社会福祉士への転職パターン
(1)大学卒業直後の転進
 主要には心理学部、法学部、教育学部卒業後の入学。近年は理系学部、スポーツ系学部も増加傾向にある。 略
(2)異業種からの転職
 医療事務、システムエンジニア、アパレル等 略
(3)専門性の拡充
 教育、保育、介護、からの社会福祉士への専門性拡充 略
(4)キャリアの再構築
 女性の活躍、定年退職後のセカンドキャリア等 略

 これらに加えて、社会福祉事業(施設、在宅等)の継承者。 当日、報告
 地域包括ケアを担う多様な福祉専門職の人材確保のため、社会人学生やセカンドキャリアを目指す学生のソーシャルワーク専門職養成は、重要であると考える。


1-3 入学の動機-福祉専門職への志願
 上記の専門性の拡充とキャリア構築に加えて、次のような動機を持って入学に至る。
(1)福祉の仕事への憧れ-福祉専門職への転職の源流
 人生のどの段階で抱いたものかは個人差があるが、人間と関わり支える仕事への漠然とした憧れが、転職の検討段階で復活し、動機を構成している。
 略 当日、詳細を報告

2-1 現場と繋がるソーシャルワーク教育、ドヤ街フィールドワーク 2003年から継続
 現場に直結した教育

相談援助実習指導等の演習において、自らの地域における実践を活かした事例検討やディスカッションを実施し、現場と直結した教育を行っている。
 約20年間の地域精神医療、公的扶助領域におけるソーシャルワーカーとしての実践経験と、その実践知や事例、エピソード等を講義において活用してきた。担当する講義において、専門職としての倫理や知識と、現場との往復を重視した実践的な学びを目指している。
 また、簡易宿泊所街「寿町」(横浜市中区)のフィールドワークとして、地域の医療機関や福祉施設の訪問プログラムを、地域福祉を学ぶフィールドワークとして2003年から実施している。寿町の現場を学生が体験し、また簡易宿泊所や福祉機関・施設への訪問を実施し、地域生活支援等の現状と課題を体験から学ぶプログラムとして継続している。
 加えて、児童自立支援施設の見学会と施設職員との交流のプログラムも2014年6月から実施している。
 認知症カフェ「MeMoカフェ」活動 2016年から開始 略

課題:フィールドワークによる学習、活動を更に展開したい。 例:子ども食堂。
 ⇒現場との出会い、当事者との交流。学校の社会貢献活動でもある。
 学生が主体となり地域福祉活動を創り、継続していくことを理想としている。


2-2 SWの視点と思考を育てるための演習、実習指導
 実践事例による演習 
 アルコール依存症、精神疾患、地域生活支援
 社会的孤立、多問題ケース(セルフネグレクト、健康管理、金銭管理)
 生活保護受給者、単身生活、グループワーク
 倫理的ジレンマ
 事例の一部を、当日、紹介


<演習テーマ 反響の大きいもの>
*ターミナル・緩和ケア
*アルコール・薬物依存症からの回復
*女性の貧困・DV問題
*子どもの貧困、養護問題
*リワーク支援
*福祉施設職員の燃え尽き、ストレスケア(後述)

 これらを、概要の解説、映像・文献等の資料、事例検討、ディスカッションから学ぶ。
 養成校と大学人間福祉学部のソーシャルワーク演習において実施。

*グループワークの理論と方法 実践事例 
 演習として、グループワークの学びを重視している。

*ケア、相談援助の技術。
*事例を用いたアセスメントや支援計画立案


2-3 入学前-在学中-実践を繋ぐ教育
1 導入期-ソーシャルワーク専門職キャリアの入口

<学生募集(広報)活動のポイント>
一、早期教育。ニ、専門職への志願。三、個別、双方向。
毎年、定員80名の充足を継続ー専門職も志願がなければ誕生しない。

<入学前教育-各講義のテーマ>
「地域包括ケアシステムにおける社会福祉士」
「障害者支援におけるNPO法人の役割」
「家族介護とジェンダー」
「日本の社会保障制度-今、何が問題か」
「貧困問題とソーシャルワーク」
「社会福祉士の役割と展望」
 専任教員が、その専門領域を活かして、入学予定者等対象の入学前講義として毎年、実施している。

2 養成期
*社会福祉士養成学科の国家試験対策
 当学科は、学生の社会福祉士国家試験の結果は、合格率は90%台から80%台を、合格者数も併せて全国トップクラスの結果を維持してきた。

 受験対策講座や直前講座、オリジナル模擬試験の実施、通常の講義における対応、個別指導等が源にある。学生の期待も大きい。
 しかし、養成校は社会福祉士国家試験の受験予備校ではない。当然ではあるが、専門職養成こそがミッションである。
 国家試験合格、資格取得は、専門職としてのキャリアのスタートラインに過ぎず、その先の実践の質が養成校に問われていると言えよう。

*受験対策(一部)
 クラス担任の相談、個別指導。
・「ノートテイキング」等、学生のピアサポート、自主ゼミ。
・本校オリジナル「社会福祉士模擬試験」を2回実施。
・「国家試験直前対策講座」-教員が科目を分担。

*ソーシャルワークの価値の内在化
①価値の源流を伝える。
 社会福祉の歴史の重視。
②価値観を揺るがす問いかけ。
  例 死生観、「自立」、多様性の尊重。
③視野、知識の幅を拡げる。
 ⇒参考文献の紹介、回覧 <次回に掲載>
 相談援助の基盤と専門職や実習指導における、価値、倫理の学びの重視。今日の社会福祉の領域のなかで、最優先の課題とも言えよう。


3 実践期-卒後の継続教育、スーパービジョン
 本校は、認定社会福祉士の課程を設け、筆者も講師を担当している。
 ソーシャルワーク機能別科目群(障害)
 「地域生活支援と自立支援協議会」

 ソーシャルワーク機能別科目群(高齢)
 「後見制度の活用(成年)」

 精神保健福祉研究科 <次回に掲載>

 ソーシャルワーク実践研究会
 卒業生の実践報告とディスカッション、卒業生と教員、在校生の交流の場として2ヶ月に1回実施。
 当日、詳細を報告 <次回に掲載>


<次回に続く>
社会福祉教育セミナー分科会 社会福祉士養成校における専門職養成<後編>
ソーシャルワーカー卒後教育


報告者 当ブログ筆者
*日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科 学科長
・相談援助の理論と方法
・相談援助の基盤と専門職
・相談援助実習指導 同実習
・社会調査の基礎 等。
・社会福祉士受験対策講義

・大学人間福祉学部 非常勤講師 ソーシャルワーク演習、社会福祉士受験対策講座
・国立武蔵野学院 附属児童自立支援専門員養成所 非常勤講師 公的扶助論


・ブログ「社会福祉士受験支援講座・教員日記」 筆者 http://miseki.exblog.jp/
訪問者数 のべ1,815,000人 2009年3月開設から
 1日の閲覧者 約2500人超


福祉施設職員のメンタルヘルスの支援 職員のストレスマネジメントと施設のリスクマネジメント論文 当ブログ筆者の業績一覧

当ブログ筆者の論文
『福祉施設職員のストレスケア サポーティブ研修プログラムの開発』
日本福祉教育専門学校 研究紀要第23巻1号
37頁から55頁 平成27年4月
ISSN 0919-2034


当ブログ筆者執筆の新刊
精神保健福祉援助演習(専門)第2版
精神保健福祉士シリーズ 10
福祉臨床シリーズ編集委員会 編

ISBN978-4-335-61117-9
発行日 2016/02/22 弘文堂

第8章 地域における精神保健問題 依存症と生活困窮(pp.171-178)
<概要>
 簡易宿泊所街「寿町」の精神科診療所におけるアルコール依存症と薬物依存症患者の支援の実践から、回復を図るグループワークや相談援助の課題等を考察した。
 生活保護を受給し簡易宿泊所に居住するアルコール・薬物依存症患者の回復の鍵を握るものとして、レジリアンスを挙げた。具体的には失敗を繰り返しても援助者と繋がり続け、危機を回避するための協働や、訪問やグループワーク等による社会的孤立を防ぎ、全人的な支援の持続が有効であると論じた。

職業訓練生たち 1年目職員が感じた介護&ストレス ヒアリングからみえたこと 関屋 光泰
 介護職員「こころの健康管理」その施策と工夫
 産労総合研究所 2015


貧困問題と相談援助 当ブログ筆者の講演 音声記録の一部を公開中


ソーシャルワーク実践研究会 11月5日のご案内 無料
ソーシャルワーク実践研究会
2016年11月5日(土)
14:30から16:00
会場 日本福祉教育専門学校 高田校舎

 社会福祉士養成学科卒業生等の実践報告。
 今回のテーマ「地域を基盤としたソーシャルワーク実践 社会福祉士の役割の真価を問う」
 毎回、医療福祉や障害者福祉、貧困等の実践報告を行っています。

 ご予約不要でどなたでもご参加いただけます。関心をお持ちの方、在校生や卒業生はもちろん、一般の方もご参加いただけます。
 当ブログ筆者も参加予定です。会場でお待ちしています。

 「ソーシャルワーク実践研究会」とは、当学科等の卒業後の学びとフォロー、交流の集まりである。
 社会福祉士の卒業生からの実践報告やディスカッション、卒業生と在校生、教員等との交流の場となっている。
 卒業生のネットワーク構築と、卒業生の相談に応じる機会として、また卒業生の自己研鑽や社会福祉領域への定着の支援、相互支援を促進している。
by yrx04167 | 2016-10-29 15:41 | Comments(0)