地域包括ケアシステムの構築、コーディネーション、連携、協働とは 相談援助の基盤と専門職

相談援助の基盤と専門職 後期第10回講義レジュメ 概要1
当ブログ筆者(本校専任教員、社会福祉士)が、社会福祉士養成学科にて2016年11月に講義      
<この記事は、ダイジェスト版と講義当日の補足。レジュメ完全版は講義にて配布。解説の詳細は講義にて>


専門職および地域住民との連携・協働 テキストP141
1 専門職の協力体制
 社会福祉におけるコーディネーション 概要

・ソーシャルワーカー等が担う「調整者」としての役割である。
・利用者がが直面している問題によっては,さまざまな職種の専門職が連携を図り,様々な社会サービスを調整しながら援助を進めていくことが求められる。
・当事者、クライエントの立場にたってサービスの調整を行うことが重要とされている。

・コーディネーション(coordination)とは、ある目的の達成のために、その目的に適合しそうな社会資源、関係などを調整することである。
・社会福祉・ソーシャルワークの領域においては、「協働」「連携」「連絡調整」などの意味である。
・クライエントのニーズに応えるべく、有る専門職が中心となって他の専門職者との連携や連絡調整を図りながら、機関や施設が提供するサービスメニューを作成し、サービスの供給体制を構築したりして、ソーシャル・サポート・ネットワークの構築を図ることを意味する(横山2002)。

・地域包括ケアシステムの構築を目指して。
 その具体策。
 課題。

・包括的な相談支援システム 縦割りではない、地域を基盤とした総合的な相談体制
 例 ワンストップ型相談
 


・NPO等との連携、広範なネットワークの構築


・地域保健分野のケアコーディネーションの機能

 人々の健康問題にともなう生活問題の解決・改善・現状維持、安らかなターミナルケア期のケア、QOLの実現をめざして、社会資源を必要なときに適切に速やかに利用者に提供できるように、チームケアにより効果・効率的に連絡・調整・サービスの統合を図る。また、社会資源をつくり替え、新たに開発し、ケアシステムの形成と発展を図ることにある。

・「コーディネーション」とは、「クライエントへの最善の支援に向けての各機関・団体の合意に基づく連携を指し、一機関・団体では実現できない援助の質を多機関・団体の連携のもとで実現しようとする行為である。
狭義の領域としては保健、医療、福祉の専門職間連携であり、広義にはクライエントはもとより家族、近隣、ボランティアなどのインフォーマル・サポートおよび生活関連資源の連携までを含める。また、その連携は、既存の主体や社会資源間だけでなく、クライエントの利益に必要な支援を開発、創造することを含んだ連携のあり方であると定義できる。

<補足>
*概要:協働

 協力しつつ機能すること。共通の目的に対し,複数の個人や集団が協力して目標達成をめざしていく。

*チームケア

 担当者会議(カンファレンス)
 ケアマネジメント過程を相互に連携を図りながら一元的に行うことが求められる。

 専門職の協力形態
*コーディネーションが求められる背景
・福祉分野において、コーディネーションが使用されだしたのは1980年代以降である。
施設福祉から在宅福祉、地域福祉が重視されることにより、地域生活支援を行なううえで社会資源の調整が必要になったためである。
・コーディネーションは、ボランティアコーディネートの登場、ケアマネジメントの導入に現れた。
 利用契約制度においては、コーディネーションはソーシャルワークの重要な機能として、重視された。

・また地域生活支援においては、家族との調整、地域(住民)との調整が必要とされている。
 クライエントの地域社会への参加、地域ケアへの地域住民の参加が求められる。

・地域共生社会への課題
 福祉コミュニティづくり。地域福祉活動の促進。
 多世代交流、多様性尊重。
 
・地域住民の参画と協働
 共助(互助、相互支援)のつながり。
・住民主体による地域課題の解決力強化。痛みを共有するコミュニティへ。
 草の根の地域福祉。

・市町村による包括的な相談支援体制の整備

 地域における住民主体の課題解決
制度や分野にとらわれない地域課題の把握
 アクションリサーチ

・住民団体、インフォーマルサポートの支援、
 見守り活動、公的な相談支援機関へのつなぎや、課題の共有を担うコーディネート機能など地域課題の解決に向けた体制

<補足>
*ボランティア・コーディネーター

 ボランタリーな活動を支援し,その実際の活動において力が発揮できるよう,市民が課題や活動,組織と出会うことを支援したり,組織内でサービス利用者や有給職員との調整を行う専門職。
ボランティア・センターなど,福祉施設や病院,NPOなどのボランティア受入れ組織に配置される。
1995年の阪神・淡路大震災において災害ボランティアのコーディネーションが注目されてからである。

*ボランティア・センター
 ボランティア活動の仲介支援機関・拠点。ボランティアの養成・研修,情報提供,コーディネーション,相談,会場備品提供などを行う。1960年代に善意銀行,ボランティア協会などのかたちで広がり,70年代に各地の社会福祉協議会のなかに設置された

*コーディネーションの構成要素
・「連携能力の向上」-情報の収集、他領域に関する知識習得。
・「多職種間連携」-共通基盤が異なる多職種間
 目的、情報の共有化、相互の専門性とともに所属機関の特質を理解した協力関係が求められる。定期的なケア会議をもつ

*コーディネーターの基本的な姿勢
・コーディネーションは、一般のビジネススキルとしても重要である。

コーディネーションの留意点
・コーディネーションは効果だけでなく、その連携のあり方によっては弊害も生み出すおそれがある。
クライエントからみた弊害-プライバシー保護との葛藤等。

・連携・協働は、クライエント側に立った参加志向で進める必要がある。

<コーディネーションの留意点>
*相互に向上する関係の維持に留意する。

*連携する社会資源を広くとらえる
・地域のあらゆる資源との連携を目指す。

*住民、市民との連携
 まちづくりの連携・協働者としての住民、市民。

*クライエント側に立った連携を堅持する。
 参加型のシステムを志向する。

*共同事業化、開発への道筋の保障
 中長期的な展望を持つ。

ネットワーキングとは
・リップナック・スタンプ夫妻Lipnack, J. & Stamps, Jによれば
「ネットワークとはわれわれを結びつけ、活動、希望、理想の分かち合いを可能にするリンクである。ネットワーキングとは、他人とのつながりを形成するプロセスである」。

<補足>
・夫妻らが市民活動の手法として提唱し,「既存の組織への所属とか,居住する地域とか差異や制約をはるかに越えて,人間的な連繋をつくりあげていく活動」を意味するとされている。

・金子によれば「ネットワーキングという言葉は、一般にネットワークが形成される過程を意味するものであるが、それは同時にネットワーク形成過程の背後にある個と個の関係、個と全体の関係についての個人的な思想や想いを暗示する言葉である。(略)ネットワークというのは、それぞれ独立した「個」が互いの違いを認識しあいながらも、相互依存関係で自発的に結びついたもの(略)プロセスである」。
・ネットワーキングとは、個々の違いを認めつつ、多様化と多元化を促進する動態的、創造的なつながりづくりの過程を指す。

ネットワーキングが求められる背景
・不況や少子高齢化、また、核家族化や単身化等の世帯の縮小化に伴うコミュニティの希薄化などの閉塞感から、既存組織制度を超えて、新たな社会を創造していく「つながり方」を模索している。

<補足>
・家族やコミュニティのケア機能が低下したため、社会サービスが必要である
=「介護の社会化」の方向性

・ネットワーキングは,共生社会(ノーマライゼーションを含む)を目標として個人・集団・組織などを再組織化していくアプローチである。
・インフォーマルな結びつき、セルフヘルプグループのネットワークなど。

<補足>
*補足:介護の社会化
 家庭のなかで行われてきた介護を社会全体で担うこと。介護を社会的に支える一つの方策として介護保険制度がある。

*補足:ネットワーキングの必要性
・地域における社会福祉サービス提供機関の連携や協力、ネットワーク化の必要性。
在宅福祉サービスの提供を円滑に行う地域ケアシステムの充実を図るために、福祉施設、各種関連サービス提供者、社会福祉協議会などが相互に連絡調整を行えるような体制づくりである。

*補足:当事者活動と地域福祉活動
・上記に併せて、当事者や地域住民の組織化、ネットワークづくりの必要性がある。
住民参加の福祉活動、当事者活動への支援が必要な場合もある。
 例えば、福祉ニーズを抱える本人や家族等の当事者団体である「認知症老人の家族の会」や「患者の会」などの組織化が必要である。


全国社会福祉教育セミナー分科会第4 社会福祉士養成校におけるソーシャルワーク専門職養成 前編
当ブログ筆者


社会福祉教育セミナー分科会 社会福祉士養成校における専門職養成2 ソーシャルワーカー卒後教育 ブログ筆者



福祉施設職員のメンタルヘルスの支援 職員のストレスマネジメントと施設のリスクマネジメント論文 当ブログ筆者の業績一覧

貧困問題と相談援助 当ブログ筆者の講演 音声記録の一部を公開中

当ブログ筆者の論文
『福祉施設職員のストレスケア サポーティブ研修プログラムの開発』
日本福祉教育専門学校 研究紀要第23巻1号
37頁から55頁 平成27年4月
ISSN 0919-2034


当ブログ筆者執筆の新刊
精神保健福祉援助演習(専門)第2版
精神保健福祉士シリーズ 10
福祉臨床シリーズ編集委員会 編

ISBN978-4-335-61117-9
発行日 2016/02/22 弘文堂

第8章 地域における精神保健問題 依存症と生活困窮(pp.171-178)
<概要>
 簡易宿泊所街「寿町」の精神科診療所におけるアルコール依存症と薬物依存症患者の支援の実践から、回復を図るグループワークや相談援助の課題等を考察した。
 生活保護を受給し簡易宿泊所に居住するアルコール・薬物依存症患者の回復の鍵を握るものとして、レジリアンスを挙げた。具体的には失敗を繰り返しても援助者と繋がり続け、危機を回避するための協働や、訪問やグループワーク等による社会的孤立を防ぎ、全人的な支援の持続が有効であると論じた。
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by yrx04167 | 2016-12-06 12:43 | Comments(0)