地域福祉の理論と方法 福祉教育の目標と方法、学校ピアサポートとは 社会福祉士国家試験受験対策、精神保健福祉士
地域福祉の理論と方法 前期第12回講義レジュメ
筆者の担当講義 精神保健福祉学科、社会福祉学科にて。
地域福祉においても、コミュニティにおいて多文化共生を図っていくことは、重要な課題である。また、ノーマライゼーションの具現化も推進していくことは、従来からの、また現在進行系の課題でもある。
これらの具体的な方策として、福祉教育がある。学童と地域住民が対象である。地域福祉活動の担い手を育てていくために、また共生のまちづくりのために必要不可欠なプログラムである。
教育現場における、いのちの尊重、いじめの予防、ハンディキャップの理解、ピアサポートの推進のためにも、福祉教育への期待がある。
体感治安の悪化等、今日のコミュニティの課題は山積している。福祉教育による福祉的な文化、共助の活動の促進が求められている。
3章1節 地域福祉の推進と福祉教育
1 住民の福祉意識と福祉教育 テキストP58
福祉教育の意義
・住民主体による地域福祉活動の促進
・福祉コミュニティの構築
共生の文化
・コミュニティ・エンパワメント
*施設= 地域コンフリクト
紛争事態(conflict)
施設の社会化論の限界性
住民運動論,受苦圏・受益圏
地域= 施設間関係
*共生
高齢者と他の世代,障害者と健常者,外国人と自国民の共生,さらに,組織と個人の共生,自然界との共生など
*共生社会
協働しながら共に「生きる」社会
福祉教育の目標と方法とは
2 地域福祉の主体形成 テキストP59
・住民の主体形成を促していく
・大橋謙策の地域福祉の主体形成 四つの側面
地域福祉計画策定主体の形成、
地域福祉実践主体の形成、
社会福祉サービス利用主体の形成、
社会保険制度契約主体の形成
*個人の主体性の内実とソーシャルワークによるアプローチ テキストP60
予防できる力 意識啓発、情報提供、各種講座の企画
発見できる力 アセスメント、社会福祉調査
選択できる力 ケアプラン、関連情報の提供
契約できる力 契約行為、権利擁護、苦情解決
活用できる力 サービス提供、サービス評価
実践できる力 ボランティア、当事者活動、学習機会
参画できる力 地域福祉計画などの策定、オンブズマン
創造できる力 サービス開拓、NPO活動、福祉文化の創造
2節 地域福祉の推進と福祉教育
福祉教育は、人間教育でもある。ハンディキャップ等の違いがあっても相互に受け容れ合うコミュニティをつくる取り組みである。それぞれの個性を認め合い、一人ひとりが主体性をもって生きる、より自分らしく生きるための教育である。
1 福祉教育の展開 テキストP62
■福祉教育実践の萌芽期 テキストP62
◆昭和20年代の福祉教育実践
例えば,昭和22年に徳島県で展開された「子供民生委員制度」,また,昭和25年に神奈川県で始まった「社会福祉研究普及校制度」,昭和28年の鳥取県における「社会福祉普及校活動」などがある。
昭和46年には全国社会福祉協議会に設置された福祉教育研究委員会が「福祉教育の概念について」をまとめた。
■学校福祉教育の拡大と福祉教育研究 テキストP63
◆「学童・生徒のボランティア活動普及事業」
昭和52年から国庫補助事業として「学童・生徒のボランティア活動普及事業」が実施されている(平成6年度からは都道府県・指定都市ボランティアセンター活動事業の一環として事業が実施されている。指定期間は3か年)。
ボランティア協力校
「福祉協力校」
◆地域における福祉教育の展開
平成4年の文部省・生涯学習審議会答申は,豊かな生涯学習社会を築くためにボランティア活動の環境の整備が必要であると指摘。
「奉仕等体験学習研究推進校指定事業」(昭和63年度~),「生涯学習ボランティア活動総合推進事業」(平成3年度~),「勤労体験学習総合推進事業」 平成5年度~),「いきいき体験活動モデル推進事業」平成6年度~)などの取り組みが見られる。
■地域を基盤とした柵祉教育の展開と社協のかかわり テキストP64
2 今日的な福祉教育 福祉と教育の接近性 テキストP65
・1995(平成7)年には日本福祉教育・ボランティア学習学会が設立され、実践と研究が拡充される時期。
・2005(平成17)年、社会福祉協議会における福祉教育推進検討委員会が設置
「地域福祉を推進するための福祉教育とは、平和と人権を基盤にした市民社会の担い手として、社会福祉について協同で学びあい、地域における共生の文化を創造する総合的な活動である」と定義。
3節 福祉教育の概念と内容 テキストP68
1 福祉教育の定義
・大橋謙策(全国社会福祉協議会福祉教育研究委員会委員長 1982(昭和57)年)
大橋は地域福祉の推進と福祉教育の課題との一致点に注目した。
*福祉教育が求められる背景
・高齢化社会の進展
・障害者とともに生きる福祉まちづくり
・子ども、青年の発達の歪み、
・国際化時代における飢え・貧困、
・地域の連帯力、地方自治能力の形成
・福祉教育の定義「憲法で第13条、第25条等に規定された基本的人権を前提にして成り立つ平和と民主主義社会をつくりあげるために、歴史的にも社会的にも疎外されてきた社会福祉問題を素材として学習することであり、それらとの切り結びをとおして社会福祉制度・活動への関心と理解をすすめ、自らの人間形成をはかりつつ、社会福祉サービスを利用している人々を社会から、地域から疎外することなく、共に手をたずさえて豊かにいきていく力、社会福祉問題を解決する実践力を身につけることを目的に行われる意図的な活動である」。
*福祉教育とは
・社会福祉問題を学習素材とする。
・体験学習を重視する。
・福祉社会の主体形成を図る。
・社会福祉制度や活動への関心と理解をすすめる。
・人権教育が基礎にする。
2 福祉教育の目標 テキストP68
・多様な教育活動や福祉活動を通して、共に生きる力を獲得する。
⇒福祉教育はその取り組みを通して,地域福祉、障害者等への理解を進める,
他者への思いやりや人権尊重を育む,
自らの人間形成を図るなどの意義がある。
*対人関係をはぐくむ力の形成
・多世代交流
・多様性-多文化共生によるコミュニティ
*社会的な有用感や感動体験を得ること
・ボランティア体験
・自らの自信となり、生きる意欲-自尊感情
*問題を解決していく力の形成
・地域福祉の担い手
⇒地域福祉への市民的参加を促す。
*基本的人権を尊重する態度
・いのちの大切さ、平等
<補足 福祉教育の目標>
・福祉的な心情や態度を培う。
・社会福祉についての知的理解・関心を深める。