『子ども食堂とSDGs 講座』関屋光泰 埼玉県「子ども食堂から考えるSDGs」地域における共助SDGs活動推進事業
埼玉県「地域における共助SDGs活動推進事業」 『子ども食堂とSDGs 講座』関屋光泰
こども食堂も、新型コロナウイルスの影響で変わったのか?
多くの子ども食堂は、フードパントリー=食料、必需品の無料提供に転換、もしくは弁当の宅食等に。
感染予防を徹底しながら、生活困窮世帯、子育て世帯支援として拡大している。
経済的困窮は、生活全般、健康等に深刻な影響を及ぼす=様々な問題が雪玉の様に大きく、深刻になる。
若者の社会的排除=新型コロナ貧困は、学生・若者の仕事減、生活困窮に拡大し、退学や休学を余儀なくされる方も。
【食生活の支援が、子どもの未来の健康を守る?】
子どもの貧困は、家族関係の問題、子どものストレス等にも繋がる総合的な問題です。食生活の貧困も、栄養不良だけでなく、将来の健康にも影響を与えることが明らかになっています。子ども食堂・フードパントリーなどは、子どもたちの未来の健康を守るために必要な取り組みです。経済的困窮は時間の貧困をもたらし、食事の準備等、子育てと家事に時間を使う余裕もなくなることもあります。
『子ども食堂とSDGs 講座』筆者の映像講義
内容抜粋
日本においては 7 人に 1 人の子どもが貧困と言われている。
ただ、言えるのが経済的困窮というのだけが問題ではなく、お金がないから病院にかかりづらいという健康にダメージを受けたり、また、お金がないということから、家族関係や社会関係の不調「うまくいかない」、そのため再就職等も難しいといった悪循環に陥ることがあります。
「多問題家族」という言葉が社会福祉の中にあります。そのような状態になってしまう貧困世帯も少なくないと言うことを覚えておいてください。
経済的困窮が衣食住の不安、また自己評価・自尊感情を失っていく、新たなチャレンジができなくなっていきます。
また「教育格差」というものも生んでいきます。
そして文化的な資源の不足によって、自分の適性というものにあわせて進路を選択していくときに、その選択肢の幅が狭くなってしまう、そうなると若者の貧困から、大人の貧困へ、その次の世代の貧困に連鎖をしていってしまう恐れがあります。
子どもの貧困というところだけをみても、経済的に困ったというだけではなくて、家出などといったかたちで顕在化することもあります。
家族問題につながることもあります。
皆さんは、ご自身の子ども時代の休日・日曜日は、楽しかったですか。
楽しければ幸せだった子ども時代ですけども、子どもも大人も貧困のなかに置かれている家庭においては、子どもにとって休日がストレスになる。
親は、就労で疲れきって、家庭で子どもにあたってしまうこともある。
そうなると、休日に子どもがストレスを溜めて月曜日に学校に戻ってくることになることにもつながってしまうわけです。
これは親だけの自己責任とは考えられないと思います。
私たち社会の皆の問題として、未来を守るために考えなければいけないと思います。
続けて、「飢餓をゼロに」。
日本で「飢餓」というのはもう終わった問題ではないのか。確かに私たちの見えるところでは飢餓はないと思われますけれども、ただ栄養の問題だけではありません。
これは私の専門である社会福祉ではなく、公衆衛生の領域の研究・調査において、このように述べている研究者の方もいるのですが、子どもの貧困というのは栄養も損なわれている、そうすると成長という点も当然、影響を受けますが、将来、中高年になった際の健康リスクにも繋がるのだという研究もあります。
だから飢餓というのは、なんでも満腹になればよいと言うことではなくて、栄養というものを気をつけなければ、今の子どもたちの栄養を今ここで支えなければ、その子どもたちが中高年になったときに生活習慣病、もっと深刻な病気が待っているかもしれない。
未来の健康を守る、それが食事の支援の子ども食堂・フードパントリーの使命の 1 つと考えられます。
それから食生活の支援と言うことで、これは社会福祉・生活困窮者生活困窮者支援においても児童福祉においても、実は中心の部分です。
子ども食堂等の、地域福祉活動の中でも考えていかなければいけないところです。
大事なことは、何を食べるのか。栄養・健康に良いものを。お金にゆとりがなければ、ついついなんとか今満腹になれば良い。
また経済的困窮の影響は、時間貧困、子どもや大人から、時間というものを奪っていく。
調理する時間もなくなる、菓子パンなどだけになってしまう、そんな食生活支援を考える時に何を食べているのかということを考えなければいけない。
それから、誰と食べていますか。
子どもの孤食という問題がありますし、高齢者の孤食というのも問題です。
社会的孤立に繋がってしまうのです。
もちろん感染予防も考えなければいけませんが、いつでも孤食で、これからずっと続くとすれば、こんなに孤独というものはないと思います。
それからどのように食べているのか。落ち着いて、そして温かく、誰かが心を込めて作ったものを食べていますか。
それは生活の質に関わるのです。
飢餓という言葉、日本に関係がないと思われるかもしれませんが、栄養それから食生活の質ということで考えなければいけないテーマ、それは子ども食堂・子どもの居場所活動に繋がってくる大事なテーマであると言えます。
そして食の持続可能性、SDGs に関連して考えるならば、今日の食事だけではなくて、未来の食事につなげていかなければいけない、安全なものを作らなければいけない。
そうなると農業の担い手として自然環境と調和した農業、そういうところと農業と食卓をつなぐ食育が、子ども食堂の課題になってくるだろうと思われます。
【動画配信中】「子ども食堂から考えるSDGs」筆者の映像講義
「すべての人に健康と福祉を」、あらゆる年齢のすべての人々に健康的な生活を確保するということです。
食が健康の基盤であり、それを地域で支えていきたいというところがあります。
また、健康というのは体の健康だけではなくて、心の健康というのもあります。
困っている時に、「誰にも相談できない」ということでは、やかんに全くふたをして火にかけてるのと同じであって、いつか吹き出してしまう。
やがて専門的な機関につないでいくにしても、最初に困っているのだと話せる場所を作っていく、それが子ども食堂であったり、フードパントリーであったり、居場所活動ということで、最初に受け止める窓口を作っていく必要があると思います。
子どもの健康と福祉という時のことを考えた時に、どうしても経済的困窮、また失業が子どもの虐待に繋がってしまうのではないかという恐れもあると聴きますが、その予防を果たしていく必要があります。
新型コロナの下で、「ステイホーム」といいます。
ホームが安定してる方は良いかもしれません。
しかし、全ての子ども、全ての人にとって安定したホームばかりではない、健康を損ないかねないところがあるわけです。支えていく必要があるだろうと思います。
加えて、健康を支える福祉というのは、専門職や福祉施設・行政機関だけが支えてるのではなく、自助グループ・セルフヘルプグループ、つまり依存症の方などが支え合うグループというものがあり、依存症の方が健康を維持していくという側面があります。
しかし、新型コロナの下で社会の目が厳しくなり、なんだあの集まりはということを言われてしまう、言われてしまう恐れというところで集まれない。
そんな居場所活動、健康を支えるという意味もある居場所活動の困難というものをどうしていくのかというところが、私たち社会の課題と言えます。
経済的格差が健康格差につながってしまう、命は平等のはずなのにというところがあります。
by yrx04167
| 2021-03-28 20:10
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