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子ども食堂と、子どもの貧困対策の推進、学校との連携へ
 近年、子どもの経済的困窮を含めた生活問題と、その世代間連鎖に関連し、児童虐待、犯罪被害、いじめ、引きこもり、社会的に孤立した家族等、地域の子どもをめぐる問題が顕在化しつつある。加えて、子育て支援、心身の健康と成長、孤食、子どもの遊び場の不足、自然との交流、地域の伝統の継承等の、子どもに関連するコミュニティの課題がある。
 国としても、2013(平成25)年 6 月に「子どもの貧困対策の推進に関する法律」を制定した。同法第1条において「貧困の状況にある子どもが健やかに育成される環境を整備するとともに、教育の機会均等を図るため、子どもの貧困対策に関し、基本理念を定め、国等の責務を明らかにし、(中略)子どもの貧困対策を総合的に推進する」と目的を示している。また同法第5条は「国民は、国又は地方公共団体が実施する子どもの貧困対策に協力するよう努めなければならない」と示している。

 2014年(平成26)8月には「子供の貧困対策に関する大綱」が閣議決定され、その「基本的な方針」で「子供の貧困対策を進めるに当たっては、国、地方公共団体、民間の企業・団体等が連携・協働して取り組むとともに、積極的な広報・啓発活動等によって国民の幅広い理解と協力を得ることにより、国民運動として展開していく必要がある」と示している。
 つまり、生活に困窮する子どもを支えるのは、国と地方自治体のみならず、民間の組織や市民との協働によってなされるものと位置づけた。

 貧困問題への対応として子ども食堂は、報道される機会も多く、これらも啓発の効果を生み、子ども食堂は増加し、全国のネットワークも結成された。
 地域の子どもをめぐる問題、特に子育ての困難、家族の生活困窮、家族関係、学力やいじめ、不登校等の問題への支援は、学校との連携が必要不可欠である。
 しかし、後述の農林水産省の「子供食堂向けアンケート調査結果」にあるように、教育機関や関連行政機関との連携にも課題がある。
 先日の厚生労働省「子ども食堂の活動に関する連携・協力の推進及び子ども食堂の運営上留意すべき事項の周知について(通知)」も示すように「(子ども食堂への)学校・教育委員会の協力が得られないといった課題を抱えている地域もあるとの指摘があります。略 本通知においては、子ども食堂の意義を確認しつつ、地域住民、福祉関係者及び教育関係者に対し、子ども食堂の活動に関する理解と協力を促すようお願いする」これらが、具体的に地域における子どもを支えることにつながる改善点であると考える。
 例えば、子ども食堂のなかには、会場の継続的な確保が困難なグループもあり、また数人の子どもの参加のみのグループもある。もし、学校の調理実習室等を子ども食堂として使用できるようになれば、これらの課題が一挙に解決する。特に、アクセシビリティの向上は、何にも代えがたい。
 学校との連携は、スクールソーシャルワーカーの学校と子ども食堂との調整や、各地域におけるコミュニティワークに期待したい。これは、教育委員会や学校、教員の課題のみならず、スクールソーシャルワーカーやPTAの、コミュニティと子どもをめぐる問題への意識が問われている。

子ども食堂の課題 全ての子どもにとって身近な相談できる居場所へ ニーズ発見、アウトリーチ、連携
 子ども食堂の今後の課題の一つは、様々な生活や健康、家族の問題を抱えていながら、子ども食堂に来て食べることができない子どももいることを子ども食堂と担い手が認識し、子どものニーズの発見、子どもと家族の傾聴と個別支援、必要な社会資源に繋げていくことが、子どものために求められているのだろう。
 先に述べたように、地域において多くの子どもが、家族や学校以外の居場所と、サポーティブな関わりを必要としている。
 しかし、支援を必要としている子どもが、相談するべき専門職等、場所があっても、子どもに情報が届いていない、アクセスし難い等の課題がある。また、子どもは家族の生活問題や心身の健康問題、食生活の問題、孤立について、自らがおかれている状況を正しく理解できず、支援を求めること、子どもが相談機関等の社会資源にアクセスすることは困難である。
 地域住民主体の活動であり、子どもにとって身近な子ども食堂が、ニーズを発見し、子どもと他の社会資源、学校等との接点、媒介を担っていく必要があると考えられる。
 また、子ども食堂は、支援対象者として子どもとその親のみならず、一人暮らし高齢者も考えている団体も少なくない(農林水産省「子供食堂向けアンケート調査」)。高齢者にとっても、上記のようなサポートが期待される。
 ある意味、子ども食堂を、地域における住民主体の共助による包括的な、しかし身近で誰でも参加できる支援の活動とも捉えることが出来るだろう。

解説 アウトリーチとは
 地域において、社会的なつながりから孤立し、関連制度に基づく援助に結びついていない人々を発見し、具体的な支援や制度、社会資源の情報提供を実施する、支援者側が出向く形態の支援の方法である。
 ニーズ発見、ニーズの掘り起こしは、社会福祉等の専門職のみでは困難であり、地域におけるニーズ発見の仕組みが必要である。例えば、子ども食堂で子どもや家族への傾聴、必要に応じての訪問によって、家族の困難を知ることが出来るだろう。その問題を抱え込むのではなく、適切な相談窓口、ソーシャルワーカー等につないでいく働きが求められている。
 地域において、困難を抱える子どもと家族のサポートの推進、全ての人々を対象とする地域共生社会の実現に向けて、包括的な相談支援体制の構築が課題であり、アウトリーチがその要諦である。従来の分野別、年齢別に縦割りだった社会福祉を、子どもファーストの包括的支援へと転換していく。
 社会的に孤立する家族、関連の制度の狭間になって、必要なサポートにつながっていない子どもと家族に、アウトリーチを必要に応じて実施する。
 またアウトリーチ、ニーズの掘り起こしによって把握した地域の福祉ニーズを踏まえて、子ども食堂が呼びかけ、資源開発を行う。それは大掛かりなものではなく、見守り等、住民主体の地域課題解決の力を向上し、地域福祉活動を進めていく。

農林水産省 子供食堂向けアンケート調査 調査の抜粋は太字
 子供食堂の運営者を対象としたアンケート調査結果から、子供食堂の運営実態について
 回答した子供食堂 合計 274 件

子供食堂の活動目的とは 「子供食堂の活動目的として意識していること」
「とても意識している」「どちらかといえば意識している」の割合の合計は、
多様な子供たちの地域での居場所づくり」(93.4%)が最も多く
子育ちに住民が関わる地域づくり」(90.6%)、
「生活困窮家庭の子供の地域での居場所づくり」(86.5%)がそれに次いで多く見られた。

<農林水産省 同調査の事例調査から 活動の目的等>
「貧困家庭や課題を抱えた子供だけでなく、たくさんの子供に来てほしい 略 たくさんの子供が来て楽しめる場所となること」
「貧困支援ではなく、子供の居場所づくりとして取り組みたい」
「震災を経験し、平時から顔の見えるつながりを築くことの大切を学んだ。こども食堂の取組が、貧困の状況にある子供たちだけに向けた取組であるという誤解が定着しないように、全ての子供たちが気兼ねせずに利用できるように」

「農業体験や調理体験、共食の場である居場所づくり
高齢者にとっても、世代間交流できる時間は生きがい
「早起きをして朝ごはんを食べよう」
「地域に関わりを持ちづらく、支援を必要する子供や大人がいる、引きこもり等」
「こども食堂は、困難を抱えている子供たちだけが利用している食堂ではありません」
大人も子供も一緒に集まる場をつくりたい

当ブログ筆者コメント 皆にとっての拠り所、多世代交流の食事の場としての子ども食堂 
 活動目的として「生活困窮家庭の子供の地域での居場所づくり」も掲げる子ども食堂も多いが、目的に貧困対策は掲げない子ども食堂も少なくない。
 「子どもの貧困」報道がきっかけとなって、住民の問題意識から主体的に活動を開始した子ども食堂が目立つ。しかし、経済的困窮家庭の子どもだけが地域住民の関わりを必要としているのではない。「すべての子供を対象とする食を大切にした居場所づくり」(農水省調査事例より)が、共有できる活動目的とも言えるだろう。多様な子ども、多世代の食支援、誰もが尊重される交流の場をコミュニティを住民自身がつくる取り組みであり、今後、「引きこもり」の人々との交流や、自然・社会体験学習プログラム等への支援の拡大が期待される。皆にとっての拠りどころとなるコミュニティを、子ども食堂は目指していると考えることができるだろう。
 根底には、コミュニティが子どもを育てるという意識を、ゆるやかに共有できるのかという課題がある。

<農林水産省 子供食堂向けアンケート調査>
子供食堂の運営形態
 80.7%が自治体や社会福祉協議会の直営や委託ではない「独立した法人等による運営」である。そのうち 42.5%が任意団体、23.1%が NPO 法人、14.9%が一個人が運営する子供食堂である。

スタッフの確保
 子供食堂を運営するスタッフは 1 回につき平均 9 人。分布を見ると 6~10人が最も多い。

スタッフの不足感
 常に足りないと感じている子供食堂は 13.9%、足りない回がある子供食堂は 28.1%。

<農林水産省 同調査の事例調査から 運営形態>
「ママ友4 人が声をかけあって設立した任意団体」
「NPO 法人ー放課後児童クラブ、ファミリーサポートセンターの受託、運営」
「高齢者のデイサービス」
「代表は、有機農業、田舎ツーリズム、農業体験の提供等の活動を長年行ってきた」
「飲食店店主と客である町内会長等が開始」

筆者コメント 子ども食堂担い手の高齢化を超えて 子どもが担い手に
 新聞報道では、飲食店店主が自らの店舗を会場に、開始する事例の数々が紹介されている。総じて、任意団体やNPO等の小規模なグループが、毎回6~10人の担い手で活動している。また筆者のフィールドワークのなかでは、担い手の高齢化が悩みであるとも聴き取っている。
 今後の可能性として「高校生が食べたり遊びに来るだけでも歓迎していますが、ボランティアとして手伝ってくれる高校生も出てきており、好循環ができてきています」(農水省 事例)のように、利用者が担っていく、活動の共助性、相互性の深化が挙げられる。

<農林水産省 子供食堂向けアンケート調査>
子供食堂以外の活動
 子供食堂以外の活動としては「子育て支援」「学習支援」「児童福祉」「高齢者福祉(介護福祉施設等)」が上位に挙げられている。活動が子供食堂のみである団体も21.5%。

筆者コメント 子ども食堂で障害者との交流の推進を
 上記の調査結果のうち、「高齢者福祉(介護福祉施設等)17.9%、障害者福祉(障害福祉施設、作業所等 9.1%」である。子ども食堂の30%弱が、高齢者・障害者福祉事業である。これらの特徴を活かして、子どもと高齢者や障害者との交流の拡大が、福祉教育としても望まれる。

 ガイドブックが紹介する、子ども食堂と関連機関との連携の事例
1 社会福祉協議会(社協) P10
2 児童館・児童センター P12
3 行政(区役所・市役所) P14
4 学校 P16
5 地域の仲間

地域資源
 子ども食堂の活動を行ううえで地域で頼りになる人は?
 町会・自治会
 PTA
 民生委員・児童委員(主任児童委員)

こども食堂を立ち上げたい時は?サポーター
社会福祉協議会
行政の子ども関係の部署

子どもの様子が気になった時は? ニーズを発見し、連携する先
 子ども家庭支援センター
 児童相談所
 スクールカウンセラー
 スクールソーシャルワーカー

子ども食堂の課題 コミュニティのファシリテーター、住民の手作り、参加型の居場所
 まちづくり、コミュニティワークから考えるならば、子ども食堂は、広範な住民が活動に参加し、計画の立案や運営にも可能なかたちで参加することが重要ではないか。課題や目標を共有し、活動を皆で創り、皆で担う住民手作りのプロセスを重視することが求めれている。グループをつくっていくことは、コミュニティとしての成長のプロセスでもある。
 住民の主体的な参加と、話し合いの活性化、子ども等利用者側の自己決定の重視は、コミュニティが力をつけていく、コミュニティ・エンパワメントのプロセスでもある。
 ここで求められているのは、カリスマ型の強力なリーダーシップよりも、コミュニティの動き、話し合いを側面から支え、望ましい動き、変化を促進するファシリテーターたちが必要不可欠と言えるだろう。
 子ども食堂を担う方々からのヒアリング等のなかで、大学や学生への期待を聴かせて頂くことがある。
 学生は、かつてのセツルメントのように、子ども食堂の活動とそのなかの人間的な交流によって、地域づくりの課題に気づき、自らのあり方を問い直し、相互の成長に繋がることが出来るのだろう。
 子ども食堂は、担い手や、学生にとって、気付きや学び、活動の機会を提供している要素も含んでいる。
 今、何が出来るのかよりも、どのようになっていこうとするのかが課題ではないだろうか。


平成30年7月5日 文部科学省HP
文部科学省生涯学習政策局長 常盤豊
文部科学省初等中等教育局長 髙橋道和
抜粋「この度、厚生労働省から各都道府県知事等宛に、略 別添のとおり通知がなされました。
 子ども食堂を含め、子供の育ちを支えるような地域における活動と、学校、社会教育施設や地域住民等が連携することは、学校、社会教育施設と地域が一体となって子供たちの成長を支援していく観点からも重要です。また、子供の安全と安心の観点から適切な配慮を行っている子ども食堂の活動は、地域における食育の観点からも意義があるものと考えられます。
 学校、公民館・青少年教育施設等の社会教育施設、PTA及び地域学校協働本部や、教育委員会等が実施する学習・体験活動等の事業関係者を通じて、困難を抱える子供たちを含む様々な子供たちに地域の子ども食堂の情報が行き届くよう、福祉部局と積極的な連携を図っていただく」抜粋ここまで


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子ども食堂とは「地域のボランティアが子どもたちに対し、無料又は安価で栄養のある食事や温かな団らんを提供する取組を行う、いわゆる子ども食堂 略 子どもの食育や居場所づくりにとどまらず、それを契機として、高齢者や障害者を含む地域住民の交流拠点に発展する可能性があり、地域共生社会の実現に向けて大きな役割を果たすことが期待」厚生労働省通知

厚生労働省HPより(厚生労働省サイト検索 下記の通知で)
 平成 30 年 6 月 28 日
(宛先 各都道府県知事 指定都市市長  中核市市長殿)
 厚生労働省 子ども家庭局長
 厚生労働省 社会・援護局長
 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長
 厚生労働省老健局長

<以下、通知本文は「   」内で太字でご紹介します。下線は筆者。それ以外は当ブログ筆者の コメントを付けさせて頂きます(太字以外)。
 総じて、子ども食堂の現場のニーズに応え、縦割りではなく包括的に各地域の活動を支えようという時宜にかなった通知だと筆者は考えます>

通知から抜粋「地域のボランティアが子どもたちに対し、無料又は安価で栄養のある食事や温かな団らんを提供する取組を行う、いわゆる子ども食堂(子どもに限らず、その他の地域住民を含めて対象とする取組を含みます。以下単に「子ども食堂」といいます。)が、各地で開設されています
 子ども食堂は、子どもの食育や居場所づくりにとどまらず、それを契機として、高齢者や障害者を含む地域住民の交流拠点に発展する可能性があり、地域共生社会の実現に向けて大きな役割を果たすことが期待されます」引用ここまで

当ブログ筆者コメント>
1.子ども食堂はなぜ急増し、誰が担っているのか <多世代住民交流の場、地域共生社会への役割>
 報道されたように全国の子ども食堂が2286箇所あるとするならば、各地域において子ども食堂は急速に拡大したと言える。またその「数」のみならず「地域共生社会」という観点から、子ども食堂は子どもと家族を支える地域活動、子育ての相互支援の成功した活動形態と言えるだろう。また、食事の支援を端緒とする住民主体の地域資源の開発という側面もある。しかしながら、子ども食堂の活動における課題も顕在化しつつある。
 子どもの未来のために、行政、民間非営利、営利企業といった様々な力を結集して子ども食堂の継続をサポートする必要があると考えられる。子ども食堂への総合的な協力、連携を求めている今回の厚生労働省の通知は、時宜にかなったものであると考えられる。
 つまり行政機関や社会福祉協議会、企業、社会福祉法人等の機関・組織による、縦割りではない包括的な子ども食堂の支援体制の構築と、これらの機関・組織、特に社会福祉協議会等のソーシャルワーカーによる個別の子ども食堂に対する連携や調整、ファシリテーション等の具体的な情報、組織マネジメントなど技術的な支援の更なる充実が今こそ求められている
 子ども食堂はある意味、地域社会、地域福祉や地域づくりにおいて、今、風が吹いていると言えるだろう。

通知の抜粋「1.子ども食堂の活動に関する連携・協力の推進
(1)子ども食堂の現状
 現在、子ども食堂は全国各地で開設されており、その活動の在り方は、困難を抱える子どもたちへの支援を中心に活動するもの、地域の様々な子どもたちを対象とした交流拠点を設けようとするもの、「地域食堂」等の名称により、子どもたちに
限らず、その他の地域住民を含めて対象とし、交流拠点を設けようとするものなど、多岐にわたります。
 いずれの活動も、困難を抱える子どもたちを含め、様々な子どもたちに対し、食育や貴重な団らん、地域における居場所確保の機会を提供しているという意義を有しているものと認められます」引用ここまで

<当ブログ筆者コメント>
 生活の困難を抱える子どもの支援型、子どもの交流・居場所型、多世代交流の地域食堂型の3つのタイプの子ども食堂を厚生労働省は具体例として挙げている。
 生活の困難を抱える子どもの(個別も含めた)支援か、子どもや多世代の居場所、交流の接点と捉えるか。どちらも今日の地域社会・子ども・家族にとって必要な活動であり、食という生活に不可欠なものが媒介となった、地域を基盤とした民間支援、ソーシャルサポートネットワークづくりともいえる。

 当ブログ筆者が取り組むフィールドワークとヒアリング等により、下記の事柄が明らかになりつつある。これらは途中経過のノートであり、後日、全労済協会 公募委託調査研究報告「コミュニティにおける生活・子育ての相互支援活動としての「子ども食堂」の有用性の研究」関屋光泰として報告する。

2.誰が子ども食堂の担い手なのか <専門職を含めた多様な担い手>
 子ども食堂の担い手は、ボランティア、福祉・医療や教育、調理の専門職等、多様であり、各地域で子どもと家族を支えようと真摯な支援活動を行っている。
 子ども食堂の担い手とは具体的には、地域住民を中心としたボランティア、民生委員・児童委員、地域の小学校PTA、学生ボランティア、高齢者福祉・障害者福祉・児童福祉従事者や保育、教員・退職教員、医療専門職、調理の専門職、市民活動等、多様である。
 なお、子ども食堂のなかには、新たな担い手が集まらないなかで担い手が高齢者のみであることが悩みと語って下さるところもある。子ども食堂活動の継続のために、担い手のサポートも重要な課題である。

 次に、各地の子ども食堂の事例である。
 事例:コミュニティの民生委員を中心として、調理、教育、福祉関連の専門職と、地域住民のボランティアが担っている子ども食堂。地域住民は、同じマンションの住民同士が誘い合ったり、親族に声を掛ける等、地域内の繋がりが強い。子ども食堂と並行して、教員(元教員)とのコラボレーションにより、同じ会場で学習支援を行っている。食事の前に短時間、メニューに関連して食育が行われる。近隣の小学校は、子ども食堂の案内チラシ配布などお知らせ等、積極的に協力、連携している。立ち上げ時に、社会福祉協議会の相談や先行する子ども食堂の紹介、ボランティア希望者等のコーディネート等による支援を受けている。
 事例:医療関連専門職が主催する子どもの居場所・食事会。オレンジカフェやオープンスペースとしての活動も行っている。食事会は、平日昼間の開催のため、保育園入園前の子どもと親、高齢者の参加者が目立つ
 事例:福祉専門職が中心となって設立、運営しており、福祉団体関連の建物を会場としている子ども食堂。グループ活動等も行っている。
 事例:子どもの学習支援活動等を行ってきた僧侶が中心となって開設し、運営している。寺を会場として使用している(。食材の寄付の保管場所にも苦労しない。他の子ども食堂にもプールした食材を提供しサポートが可能である。
 事例:ひとり親の当事者体験を持つ地方自治体議会の議員が中心となって運営する子ども食堂。議員がアクティブに活動を行っている。
 事例:研究者が中心的に運営する子ども食堂。子どもの栄養、健康を支えること、食の安全等を意識した食事の支援を行っている。
 事例:経営者を中心に企業が開設し運営する子ども食堂。企業が所有する建物を使用し、社員も活動に参加している。
 加えて、子ども食堂支援の方針をもつ生活協同組合、社会貢献活動として子ども食堂の支援を検討している社会福祉法人(高齢者福祉等事業)、子ども食堂を開設し運営するワーカーズコープ等の事例がある。

3.各子ども食堂の理念
 コミュニティの皆で子どもを育てよう・子育てを地域で支えよう孤食の解消を含めての家族支援、子どもを含めた多世代の地域交流・繋がりの場、子どもの食の安全と食育食支援を出発に農業体験・自然との交流、食文化の継承など子ども食堂の理念、目指すものは多様である。
 各子ども食堂の目指すもの、理念も重要であると考えられる。何を目指すのかは、活動がどこに向かうのかに関わる重要なものだからだ。
 これらの理念の源には、子育てを経験して、同じ子育て中(経験者)として何かをしたいという子育ての当事者意識や、同じ地域の生活者としてという地域性からのゆるやかな連帯意識、同じコミュニティの住民であり身近な地域で「他人事ではない、放っておけない」という意識がある

4.「子ども食堂」の多様な活動の形態 <食堂か居場所か学習支援か>
 「子ども食堂」は多様な形態がある。農林水産省の「子供食堂向けアンケート調査」平成29年によれば、月1回から2回の開催が73%を占める。しかし、常設型(朝食、昼開催)食堂も少ないが存在している。
1 高齢者給食拡大型 子ども食堂
 従来からの高齢者の食の支援(会食型の「老人給食活動」)が、子どもと家族に対象を拡大した食支援活動である。子ども食堂のうち、数多いと思われる。

2 学習支援・子どもの居場所づくり&食堂型
 子どもの居場所づくり、学習支援、グループ活動に伴って食の支援を行う子ども食堂である。
 近いものとして
3 創造活動・クッキング・自然(農業)体験学習プログラム&食堂型
 農園や自然体験、屋外活動、調理体験学習等を志向する食堂である。
 児童福祉分野のグループワークとして、自然との交流、体験学習重視は伝統的な支援の手法である。

4 子育てピアサポート志向・親子カフェ型
 保育園入園前からの子育て世代の交流、相互支援(ピアサポート)に伴って、親子の調理体験や食事の場を設ける。

5 多世代交流・地域交流志向型
 誰でもコミュニティ食堂、一人暮らし高齢者やハンディキャップを持つ当事者を含む多世代交流を目指す。
 これらが挙げられる。

 子ども食堂の利用者と開設時間、会場は関連があり、計画段階で想定される対象者に合わせて設定する必要がある。 
 夕方以降開催の子ども食堂は、小学生が中心となるが、親子(乳幼児)も参加する。小学生等への学習支援、グループ活動を併せて行う食堂もある。小学生以上の子どもの食支援を含む生活支援、食育、学習習慣の確立など、多くの成果が期待できる。一方、送迎等の支援が必要となる。
 平日昼の開催は、保育園入園前の乳幼児と家族、高齢者が中心となる。子育て支援のための親子の居場所であり、子育て中の住民の相互支援(緩やかなピアサポート)、保育園待機児童の支援、多世代交流による子育ての知恵と経験、知識の共有等の意義がある。
 子ども食堂の会場は地域差がみられるが、公民館、社会福祉福祉施設、企業(社員食堂)、店舗、個人宅、寺、キリスト教会等である。
 地域福祉領域では、地域活動への空き家活用が注目されている。
 多くの場合、会場 公民館等、フォーマルな施設は制約がある。
 他方、都内においても空き家を活用してコミュニティのオープンスペースにしようという取り組みもある。
 会場の構造によって、大広間で皆で会食するかたちか(給食的な会食)、飲食店等の会場では、テーブルごとに別れて食堂によっては一斉に食事ではない(カフェ形式)になる。

 一方、子ども食堂の「対象」に関する難しさもヒアリングのなかで挙げられている。
 子ども食堂をはじめるきっかけとして、報道によって子ども食堂の活動や子どもの生活困窮、食の困難に対して「何とかしなければ」というやむにやまれぬ思いによって開始する、という場合が多い。
 しかし、子ども食堂を開始すると、実際、集まる子どもは、経済的に困窮している子どもとは限らない。当初、考えていた対象と異なる等と考えている間に、数十人以上の子どもや大人が参加するようになり、一つの会場で対応出来る人数を超えて、実施回数を増やす、複数会場で実施する等の対応を行っている子ども食堂もある。一方、数人の子どもたちしか利用しないという子ども食堂も少なくない。
 地域社会において、サポートを必要としている人々は、当然ではあるが、経済的困窮世帯だけではない。フィールドワークにおいても、普段は孤食になりがち(であろうだろう)子ども、野菜が苦手な子ども、乳児を抱え子育てで多忙そうな母親と子ども等に出会った。
 また、子育ての難しさ、子育てや家事の多忙さから食生活を充実できないこと、心身の健康問題、家族関係の難しさ、地域や学校との関わりの難しさ、学習の心配等の生活の悩みも抱えながら、社会的に孤立の傾向もあって、気軽に相談できる相手がいない。ほかの課題として、地域における子どもの遊び場の減少、自然との関わり、食生活と栄養を考え子どもの現在と未来の健康をつくる、健康を支えるということが挙げられる。
 総じて、子ども食堂の対象とする課題は、経済的困窮だけではない。生活困窮も、社会的孤立、家族問題、人間関係の困難、心身の健康問題、雇用等多様な側面がある。地域のなかには、様々な子育てのしづらさがある。子ども虐待の予防も地域において専門職と連携しながら取り組むことは有効である。
 子どもも大人も孤立しがち、生きづらさもあるなかで、つながりを創る居場所、交流による気付き、支えあいづくりが求められている。

通知抜粋「(2)子ども食堂の活動への協力
 厚生労働省においては、子ども、高齢者、障害者など全ての人々が地域、暮らし、生きがいを共に創り、高め合うことができる地域共生社会の実現を目指し、地域に
おける取組への支援を進めています。
 こうした観点から、(1)で示したような子ども食堂の意義について、行政のほか、子ども食堂を取り巻く地域の住民、福祉関係者及び教育関係者等が、運営者と認識を共有しながら、その活動について、積極的な連携・協力を図ることが重要す。このため、日頃から運営者等と顔の見える関係を築くよう努める」

<当ブログ筆者コメント>
5.地域共生社会のファシリテーター
 子ども食堂を含む民間の地域活動は、公的施策のみではなしえない、ボランティアの特徴も持っている。家族でもなく、教育・福祉機関の専門職とも違う、コミュニティの大人による関わり、支援である。多世代の住民相互の支援を生み出す場でもある。つながりを生み出す接点、支え合いのきっかけ、相互支援のファシリテーションの場でもある。
 また、子ども食堂は具体的な活動だけではなく、地域社会のなかに繋がり、相互理解、支え合いの雰囲気を創っていく活動でもあるべきだと考える。換言すれば、子ども食堂の不可視の側面である。子どもや他者に無関心なコミュニティではなく、子どもを中心にして、多様な隣人がゆるやかに支え合う共生のコミュニティへの道のりとも言える。
 子ども食堂の取り組みには、賀川豊彦の「相愛互助の精神」が生きているとも言える。賀川は「社会事業というものは、人間相互のたすけあいによって、個人あるいは社会をよくしてゆこうという働きである」と述べている。
 一方、子ども食堂のなかには、子どもの参加者が広がらないという困難に直面している地域もある。教育機関の広報への協力を得られないことなど、今回の厚生労働省の通知でも示している困難である。子ども食堂ボランティア、教育機関、福祉の「顔の見える関係」の構築、認識の共有の必要性は通知が示す通りだと考えられる。
 しかし、各地域の子ども食堂と、地域福祉関連の社会資源、教育機関(スクールソーシャルワーカー)、各団体、福祉施設、企業等との連携も広がりつつある。子どもを中心として、多くの人々のサポートの輪が広がっている。
 例えば、子ども食堂・居場所づくりの会場や食材の協力等として、個人、社会福祉協議会、NPO(フードバンク)、社会福祉法人、デイサービス等介護保険事業所、病院・診療所、生協・生活クラブ・パルシステム、寺院や教会等である。

「(3)活用可能な政府の施策
 厚生労働省において実施している以下のような施策と連携し、又は一体的に実施することで、子ども食堂の活動についてより効果的に展開することが期待されます。
生活困窮者自立支援制度における子どもの学習支援事業 等
 略
2.子ども食堂の運営上留意すべき事項
(1)食品安全管理に関して留意すべき事項
 略
(2)その他留意すべき事項
① 安全管理に関して留意すべき事項
 子ども食堂の活動を始め、ボランティア活動中に不幸にして、怪我や食中毒等の事故が起きることがあります。万一の備えとして、個人や団体向けの保険に加入することが考えられます。保険加入については、最寄りの市区町村社会福祉協議会などで相談することが可能です。

<当ブログ筆者コメント>
6.社会福祉協議会の役割、ボランティア保険等の活用
 食品安全管理は、徹底しなければならない。社会福祉分野では、福祉施設(通所介護、障害者支援施設等及び行事)、高齢者給食(食支援)、高齢者等サロン活動、障害者福祉や様々な当事者活動によるコミュニティカフェ等、食事の提供が各地で継続して取り組まれている。これらの資源、知識、経験等を共有しながら万が一の事故の予防に取り組む必要があるだろう。先行する地域の食に関わる福祉施設、活動団体は情報、知識等のサポートを提供することが地域社会への貢献でもあると考えられる。
 これらのコーディネートは社会福祉協議会の役割でもある。
 そもそも子ども食堂活動は、住民主体の地域福祉活動の今日的な動きである。社会福祉協議会としてサポートすることは、使命とも言えるだろう。子ども食堂の担い手と、子どもと家族の支援に関わる広範な人々と組織のネットワークの構築、繋がりを創ることも社会福祉協議会の役割だと考える。
 ボランティア活動にとって身近な保険として、社会福祉協議会が窓口の「ボランティア保険、行事保険」が先ず想起される。保険の活用促進も社会福祉協議会の具体的な支援と言える。
 各地域の子ども食堂の継続は、地域福祉、様々な領域からの支援、経済的のみならず技術的な支援、民間の助成の活用等によって、更に有効に支えることが出来るはずだと考える。「保険もない」という声、また農林水産省の子供食堂調査の「活動資金もボランティアが負担」といった各地の孤軍奮闘の状態におかれている子ども食堂の孤立の解消が課題である。今回の通知の通りだと考えられる。
 子ども食堂等、地域のソーシャル・インクルージョンの現場における、保育、教育と福祉、医療等の連携による総合的な支援が必要とされている。

通知の抜粋「② 生活困窮者自立支援制度との連携
 運営者におかれては、その活動を通じて、生活に困窮する子どもや家庭を把握し、支援が必要と考えられる場合には、最寄りの生活困窮者自立支援制度の自立相談支援窓口にご連絡ください。
 ③ 社会福祉法人との連携
 社会福祉法人は、社会福祉法(昭和 26 年法律第 45 号)第 24 条第2項の規定に基づき、地域ニーズ等に応じて、自主性・創意工夫の下、「地域における公益的な取組」に取り組むこととされており、その一環として、地域住民の交流や協働の場の創出等(子ども食堂の運営を含みます。)に取り組んでいる場合があります。(別添9参照)
 運営者におかれては、こうした地域の社会福祉法人の取組と連携して活動を展開していくことも効果的と考えられます。
養育に支援が必要な家庭や子どもを把握した場合の対応
 運営者におかれては、その活動を通じて、保護者の養育を支援することが必要と考えられる家庭や子どもを把握した場合、速やかに、市区町村の子育て支援の相談窓口又は児童相談所にご連絡ください。
 なお、市区町村や児童相談所におかれては、相談を受けた場合は、関係機関が連携しながら早期に必要な支援を行うことができるよう、ご協力をお願いいたします」引用ここまで 

<当ブログ筆者コメント>
7.子ども食堂による子どものニーズの発見、アウトリーチ活動
 子ども食堂における子どもと家族への支援的な関わりから福祉ニーズを発見すること、ニーズを掘り起こすこと、支援や関わりを必要としている子どもを待つだけではなく、出向くというかたちのアウトリーチの支援が行われている事例もある。
 地域において子どもに関連する問題を共有化し、一部の家族が抱える問題から、地域の皆の普遍的な課題へと転換する場になることも、子ども食堂への期待なのだろう。
 これらの子どもへの支援活動は、社会福祉協議会や行政機関、地域包括支援センター、地域の社会福祉法人等の専門職の技術的支援、アドバイス、連携による具体的な協働の拡大が求められている。社会福祉法人は、社会福祉の歴史の中で、様々な事業を開拓してきた。今日、その使命と公益的な活動・社会貢献からも、子ども食堂へのサポートを、各地の社会福祉法人の側でも前向きに考えているだろうと期待したい。
 また、子ども食堂は、地方においても都会であってもコミュニティづくりという側面があり、多世代交流を創り出す活動も期待されている。このようなコミュニティにおける世代間の人間的な交流こそ、子育てや子どもの進路にとって有用な情報をもたらし、各世代の社会的孤立を防ぐ効果が期待できる。子どもと家族の深刻な生活問題の予防にも直結する有効な資源である。
 これは、地域において住民が担う、ソーシャル・キャピタルを創る、繋げる支援とも言えるだろう。
 地域のなかの住民間の人間関係、地域の社会資源との関わりを調整し、支援を必要とする子どもと家族を支えるネットワーク(ソーシャルサポートネットワーク)の構築という側面もある。

8.子ども食堂の継続、多様性を支えるために
 子ども食堂の担い手は、地域の生活者、子育て等の当事者性、地域性からのゆるやかなコミュニティの連帯意識によって活動を行っている。多様な担い手がいるなかで、大きな理由と言うよりは、身近な理由、動機から活動に加わり、コミュニティの身近な子ども、家族と交流し、支え合う等身大の活動として子ども食堂の意義がある。子ども食堂は、多様な子どもの成長のために、食事を共に食べながら家族以外の大人と関わる多世代交流のコミュニティ、居場所でもある。
 それは一方的に大人が困窮する子どもを助ける活動ではなく、双方向の関わり、相互支援、相互成長の場でもある。他者を支えながら、自分も支えられ、人間的な交流から相互に成長している。その活動には、相互性も含んでいる。当事者同士のピアサポートの側面もある。
 加えて、実施回数を増やすという意味ではなく、月1回の子ども食堂を、その機会のみの非日常の共助、共生の活動から、コミュニティの日常へと拡大、深化していくという拡大の方向性が求められているのだろう。コミュニティの共生、共助の文化を創るとも言える。
 子ども食堂が各地に燎原の火のように拡大した。その形態、活動内容の多様性が子ども食堂の力の源泉とも言えるだろう。しかし、活動の継続性が求められている。集う子どもたちの人数として顕在化していなくても、子ども食堂に期待する子どもたち、家族がいる。その期待に応えることを、活動を継続することによって果たしていくべきではないだろうか。これは、子ども食堂の課題のみならず、連携し協力する側の課題である。
 今回の厚生労働省の意義ある通知によって、子どもの未来のために、行政、民間非営利、営利企業といった様々な知恵と力が子ども食堂を中核としたコミュニティの集いに結集することを期待したい。
 以上 当ブログ筆者のコメント


当ブログ記事 続き


追記 平成30年7月5日 文部科学省HP
文部科学省生涯学習政策局長 常盤豊
文部科学省初等中等教育局長 髙橋道和
抜粋「この度、厚生労働省から各都道府県知事等宛に、略 別添のとおり通知がなされました。
 子ども食堂を含め、子供の育ちを支えるような地域における活動と、学校、社会教育施設や地域住民等が連携することは、学校、社会教育施設と地域が一体となって子供たちの成長を支援していく観点からも重要です。また、子供の安全と安心の観点から適切な配慮を行っている子ども食堂の活動は、地域における食育の観点からも意義があるものと考えられます。
 学校、公民館・青少年教育施設等の社会教育施設、PTA及び地域学校協働本部や、教育委員会等が実施する学習・体験活動等の事業関係者を通じて、困難を抱える子供たちを含む様々な子供たちに地域の子ども食堂の情報が行き届くよう、福祉部局と積極的な連携を図っていただく」抜粋ここまで

通知に関連して
東京都地域公益活動推進協議会
引用「子ども食堂に関する通知が、平成30年6月28日付で厚生労働省より発出されました。
 取組まれている法人におかれましては、ご参照ください」


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公的扶助論 低所得者に対する支援と生活保護制度 第1日目 その4 当ブログ筆者の担当講義
生活保護法の「基本原理」とは 前回講義レジュメの補足
「基本原理という言葉は、人為によって左右されないという気持ちを表すために用いられている」
 小山進次郎『生活保護法の解釈と運用』1950年
 生活保護は、無差別平等であり、生活に困窮する全ての人のための制度である。保護は国民にとっては権利であり、国家にとっては責務である。
 これらを基本原理として揺るがぬものとして示している。

1.保護の原則
 生活保護法第7条から第10条まで、生活保護制度の運営上の原則(やや具体的な法実施の枠組)である。
 生活保護を具体的に実施していく場合の、行政行為の指針を定めている。
 7条「申請保護の原則」
 8条「基準及び程度の原則」
 9条「必要即応の原則」
 10条「世帯単位の原則」

1.申請保護の原則
 なぜ、生活保護制度は申請主義なのか。申請する権利があるが、原則として申請がなければ給付は開始されない
 「日本の救貧制度は、恤救規則 から旧生活保護法に至るまで、職権保護の原則(建前)がとられてきた。
 保護を受ける側の意思に関わりなく、保護が開始される(もしくは開始されない)。
 現行の生活保護法は、職権による保護の開始から脱し、申請保護の原則により、困窮した人々に保護請求権、申請する権利を認めるものである」

 しかし「申請保護の原則によって、要保護者の発見に対する保護の実施機関の責任がいささかでも軽減されたと考えてはならない待ちの姿勢ではなく、地区担当員が社会調査を実施し、要保護者を積極的に発見する、また民生委員の積極的努力を受け、要保護者について連絡を受ける、保健所、学校などで発見された要保護者につき、速やかに連絡を受けるなどして要保護者と生活保護制度とを結びつけることに最善の努力を払うべきである」

生活保護制度におけるアウトリーチ、生活困窮ニーズの掘り起こし
 実際の貧困、生活困窮問題を考えると、保護の実施機関が来談を「待つ」だけでは、困窮者への有効な支援が実施できない。
 地域における生活困窮ニーズの発見と、ニーズと資源を結びつけるソーシャルワーク的支援が求められている。
 とりわけ出向いていく形の支援、つまりアウトリーチが今日、求められているといえよう。

申請保護の原則は、生活保護法第7条に定められている原則で、
①保護は申請にもとづいて開始すべきこと、
②申講権者の範囲を規定したこと、
③但し書きとして急迫した場合に職権保護が補完的に可能であることの3点がその趣旨である。
 また、保護の開始については、実施機関は保護申諸のあった日から原則14日以内に保護の要否等について通知すべきことが規定されている。

・『生活保護法の解釈と運用』 子どもの生活保護の申請は 
・「被保護者」とは、生活保護を受給している保護者であり、保護を要する者のことをいう。
・「保護率」とは通常人口千人当たり被保護者人員数=パーミル(‰)で表示する。

2.基準及び程度の原則
 この「程度」とは、要保護者の資力で充足することができない、保護基準からの不足を補う程度とする。

 生活保護法第8条に、第3条「健康で文化的な」最低限度の生活を、具休的に決定する場合の手続きや考え方を規定している。その趣旨は、
①保護の基準は厚生労働大臣が決定すること、
②この基準は最低限度の生活に十分である一方、この限度を超えてはならないこと、
③保護の程度はミーンズ・テストを行ってその不足分を補うものであることの3点である。

生活保護の収入認定とは
 要保護者の資力の認定のことを収入認定と呼ぶ
 収入認定においては、冠婚葬祭の場合の祝い金や香典料、社会福祉団体などからの臨時的に送られた慈善的性質の金銭、地方公共団体などからの福祉増進のため条例に基づき定期的に支給される金銭のうち、一定限度以内の額については認定の適用除外として収入として取り扱わない。

3.必要即応の原則
 生活保護を機械的、画一的に運用することなく、制度上認められる限り、要保護者の個別的な必要性を重視する原則である。
 生活保護法第9条に、「保護は、要保護者の年齢別、性別、健康状態などその個人または世帯の実際の必要の相違を考慮して、有効且つ適切に行うものとする」と定めており、保護の実施は要保護者の個別事情の違いに応じて柔軟に対応すること、というものである。

4.世帯単位の原則
 生活保護法第10条に、「保護は、世帯を単位としてその要否及び程度を定めるものとする」と規定し、状況により個人を単位とする世帯分離についても定めている。
 原則として、住居と生計を同一にしている場合を同一世帯として認定する。
 「世帯単位の原則」が規定されているが、個人を単位とする世帯分離も定められている。

*小山進次郎 (1915-72)
 1950年,(現行)生活保護法の制定に参画した。
 1950年の著書『生活保護法の解釈と運用』

 HPより引用「児童自立支援専門員養成所とは。非行などの問題を抱える子どもや、虐待などの理由により支援が必要な子どもたちと施設での生活を共にしながら、資格取得に向けて学ぶところです。
 国立武蔵野学院は、大正8年 (1919年) 3月に開設された児童自立支援施設です」
 児童自立支援専門員とは、児童自立支援施設において,生活指導,家庭環境調整,関係機関との連携等,ソーシャルワークによって、児童の自立を支援する専門職である。国立武蔵野学院に附属児童自立支援専門員養成所が設置されている。

<参考資料 講義関連>
2018/4/10 06:20神戸新聞NEXT 神戸新聞 朝刊
引用「地域の子どもらに無料か低額で食事を提供する「子ども食堂」が、兵庫県内の21市2町で計98カ所運営されていることが、各自治体への取材で分かった。
 子どもの貧困対策や居場所づくりとして認知度が上がったことを背景に、ここ数年で全国的にも急増。自治体による財政支援も開設を後押ししているようだ。
 子ども食堂は2012年に東京で始まったとされ、現在は主に地域住民やNPO法人、民間団体などが運営している」抜粋ここまで

2018年03月24日 06時00分 西日本新聞
引用「「子ども食堂」について、九州の運営者にアンケートしたところ、7割が「来てほしい家庭の子に来てもらえない」とニーズ把握に悩んでいることが分かった。17日に福岡県春日市であった「広がれ、こども食堂の輪! 全国ツアーin福岡&九州サミット」の実行委員会が調査した。
 実行委は「地域や子どものニーズに合わせて食堂の形態を考えていく段階に来ている」と指摘する。
 アンケートは2〜3月に実施。九州7県で子ども食堂を運営する49の団体・個人から回答を得た。
 利用対象者を尋ねたところ、7割以上が「大人を含めて誰でも」。子ども食堂は貧困対策を出発点としてきたが、最近は家庭や地域に居場所のない子の受け皿になった
り、学習支援の場になったりと形態が多様化しており、対象を「生活困窮家庭の子」に限っているのは2カ所だけだった」抜粋ここまで

関連:アウトリーチ、アクセシビリティ、接近困難なクライエント、地域福祉活動、ソーシャルサポートネットワーク、共生社会、ソーシャルインクルージョン

貧困の連鎖、解消狙う 子ども向け学習支援事業、充実 /埼玉県
2018年02月14日 朝日新聞朝刊埼玉全県
引用「県が掲げる課題の一つが「貧困の連鎖解消」だ。負の連鎖を絶つために生活困窮者の子ども向け支援を充実させる。2018年度予算案に、小学生から高校生までの学習支援促進事業費として1億448万円を計上した。
 県は10年から中・高校生向けの学習支援「アスポート事業」を行っているが、日本財団の調査では、貧困による学力差は小学校低学年から生じる。物事に取り組む意欲など生きていく上での力、非認知能力も同様の傾向を示すという。
 県は小学生の早い段階から、学力向上とその土台となる非認知能力の育成が重要と判断。新年度から小3以上の児童を対象に「ジュニア・アスポート教室」を開くことにした。
 社会福祉課によると、県内の生活保護受給世帯の小学生は4025人(15年度)。その他、就学援助が必要と認められる児童も対象となる。
 具体的な活動内容は、支援員やボランティアによる学習・生活支援、キャンプや化学実験などの体験活動、食事の提供など健康支援の三つで、地域のNPOや子ども食堂、フードバンクなどと連携する」引用ここまで

県、「子ども食堂」で数値目標 子どもの貧困対策で行程表 /愛知県
2018年02月20日朝日新聞朝刊名古屋
引用「貧困家庭に育つ子どもの支援策を部局横断で検討する県の「子どもの貧困対策推進プロジェクトチーム(PT)」は19日、2018年度から5年間の施策の進め方をまとめた「子どもが輝く未来へのロードマップ」をまとめた。
県のまとめでは、市民団体などが無料や低額で食事を提供する子ども食堂は17年度に24市町の計56カ所だったが、5年後には県内全域の200カ所に増やせるよう、取り組みを支援していく」引用ここまで

(りぽーとFUKUOKA)子ども食堂に居場所あるよ 田川の居酒屋、手応えと自問/福岡県
2018年02月26日 朝日新聞朝刊福岡
引用「田川市の居酒屋「花野の香」の入り口にカラフルな「こども食堂」の横断幕が立つ。
「花野の香」は、田川地区で初の定期開設の子ども食堂だ。運営者の山本敬子さん(37)は、2歳の長男の世話をしながら夜の居酒屋と昼のランチ営業を切り盛りする子育て世代。飲食業を営む者として「食」で地域の子どもたちに還元したいと、かねて構想をあたためていた。昨年7月、土曜のランチ営業を取りやめて踏み切った。中学生まで無料、高校生は300円。おかわりもできる。
 応接スタッフは近くの県立大学の女子学生有志がボランティアで務める。調理スタッフは店の従業員ら。
 山本さんは当初、家庭の経済的な事情で満足に食べられない子が来るだろうと想定して身構えていた。だが実際に始めてみると、「お金はあっても、ふれあいが足りない子がいるのでは」と感じる。「本当に必要としている子に『ここに居場所があるよ』と声が届いているか」との思いを常に抱いている。
 運営は、ひと月あたり数万円の自費をかける山本さんの熱意と、話を聞きつけてお米を提供してくれる人や、おつりを寄付してくれる居酒屋の客たちの善意に支えられている。
(子ども食堂は)広がるにつれ、共通の課題も明らかになっている。その一つが、子ども食堂を本当に必要としている子へどう情報を届けるかだ」引用ここまで

関連:ニーズと資源の調整、ニーズの把握・掘り起こし、困難を抱えている子ども・家族、教育の機会の均等、フードバンク、切れ目のない支援、生活保護費の削減、里親、特別養子、居場所づくり、子どもの貧困対策検討会議

2018/4/6 0:15日本経済新聞 電子版 日本経済新聞 電子版
引用「経済的に厳しい子育て世帯に対し、新入学準備や課外活動などの就学援助を強化する動きが都内の自治体で相次いでいる。
 品川区や豊島区などは入学準備金を増額したほか、支給時期も前倒しする。文京区はPTA会費や中学生のクラブ活動費も支援の対象とする。さらなる負担軽減を進めて効果的な貧困対策につなげる。
 就学援助とは、経済的な理由で就学が難しい子どもの保護者に自治体が財政支援する制度。生活保護の家庭と、各自治体が生活保護に近いと判断した「準要保護」の家庭が対象」抜粋ここまで

関連:貧困の世代間連鎖、ヘッドスタート

平成30(2018)年3月23日 神奈川新聞 朝刊
引用「子どもの貧困が社会問題化する中で県が2016年度に設置した「かながわ子どもの貧困対策会議」が、2年間の活動の集大成として提案書をまとめた。
 高校生や大学生の意見も取り入れた内容で、22日、県庁で黒岩祐治知事に提出した。
 同会議は有識者や子どもの支援を担う福祉、教育関係者などで構成。ひとり親家庭へのアンケートや、児童相談所、市町村、自立支援施設などの職員約2千人を対象に
意識調査を行う一方、高校生や大学生らでつくる子ども部会を設置し、当事者の声を吸い上げてきた」抜粋ここまで

関連:利用者主体、エンパワメントアプローチ、マクロソーシャルワーク、政策提言

毎日新聞2018年4月3日 大阪夕刊
 引用「生活保護世帯の子どもが大学に進学するのは、依然としてハードルが高い。
 小さいころから保護を受けて育った大阪府出身の女性(18)はこの春、関西地方の私立大に進んだ。貧困、虐待、家出--。数々の苦難の末に手にした切符だが、進学と同時に保護の対象から外れるため、台所事情は苦しい。「学校の先生になるのが中学校のころからの夢だった。でも、奨学金を返すの大変だろうな」。その胸には、期待と不安が交錯している。
 3歳の時に両親が離婚。家計を支えようと、母親は二つの仕事を掛け持ちした」抜粋ここまで

関連:生活保護の自立支援、生活保護世帯の教育問題、教育格差、教育扶助と生業扶助、世帯単位の原則と世帯分離

2018年5月20日(日)東奥日報 朝刊
引用「2017年度に県内6児童相談所(児相)に寄せられた児童虐待に関する相談件数は
1073件となり、統計を開始した1996年度以降、過去最多を更新したことが19日まで
に、県こどもみらい課のまとめで分かった。同課は全県的に児相通告への意識が高ま
り、件数増加につながったと分析している」抜粋ここまで
児童相談所と警察等の連携

関連:ネグレクト、心理的虐待、多問題家族、子育て支援


当ブログ筆者が執筆
精神保健福祉援助演習(専門)第2版
精神保健福祉士シリーズ 10
福祉臨床シリーズ編集委員会 編

ISBN978-4-335-61117-9
発行日 2016/02/22 弘文堂

第8章 地域における精神保健問題(依存症と生活困窮)

当ブログバックナンバー
 相談、面接、生活保護受給者訪問調査
 貧困、生活困窮の子どもと家族
 アルコール依存症と生活困窮、精神科医療との連携の必要性

キーワード 生活保護不正受給問題、適正化政策、ワークフェア、バウチャー、貧困家庭一時扶助、私的扶養、ベーシックインカムとは。

キーワード 最低生活費、セーフティネットとスプリングボード、生活保護制度の在り方に関する専門委員会、垂直的再分配、水平的再分配、地域的再分配、社会連帯、ナショナルミニマム。

<参考>
 『保育料・教育費無償化と子どもの貧困を考える』
 政府は、3歳以上の子どもの保育・幼児教育の無償化に向けて動きをすすめているとされます。
 5歳児については、2019年度から先行されるとの報道もなされていますが、十分明らかにされていません。
 また、保育所・幼稚園に通うには保育料以外の保護者負担分もあり、その点については言及がありません。
 一方、無償とされる義務教育での保護者負担の高さは、これまでにも指摘されています。
 特に給食費については、中学校での実施の有無を含め、自治体ごとの違いが大きいとされます。
 今回は、保育料・教育費無償化をテーマに、学び、議論する機会としたいと思います。
 あわせて、北海道、沖縄の子どもの生活実態調査から、報告をお願いしています。
日時 2018年6月16日(土)13:00~16:10(開場 12:30)
定員 100人
資料代 500円(可能な方より・学生無料)
プログラム(予定)
各地の取り組み
・北海道・札幌市 子どもの生活実態調査から
 松本 伊智朗さん/北海道大学教授

・沖縄県乳幼児調査から
 山野 良一さん/沖縄大学教授

報告
・「保育料無償化と子どもの貧困問題」
  丸山 啓史さん/京都教育大学准教授
・「学校給食と子どもの貧困」
  鳫 咲子さん/跡見学園女子大学教授
主催:「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワーク
助成:公益財団法人 キリン福祉財団

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筆者のコメント 「生活保護アパート」等の火災再び
 居住福祉、社会福祉における居住の支援の必要性、人間にふさわしい居住環境とは。
 居住の貧困とは。生活困窮者、高齢者、障害者、生活保護受給者に安全で健康的な住まいを求めて。

共同通信2017/8/22 19:06
引用「秋田県横手市のアパート火災で、県警や地元消防は22日午後、現場の「かねや南町ハイツ」を重機で捜索し、住人とみられる1遺体を発見、死者は計4人となった。県警は、4人の身元や連絡が取れない残る1人の安否確認を急ぐとともに、出火原因を調べている。
 横手市などによると、管理人を除く住人は20~70代の24人で、このうち17人が精神科の病院に通院しながら社会復帰を目指して暮らしていた。また、12人は生活保護を受給していた。防火設備の不備なし」引用ここまで

<筆者のコメント>
 先ず、犠牲になられた方々のご冥福と、負傷されている方々のご回復を祈念します。
 今回の火災や、居住されていた人々の詳細はまだ、十分には分かっていない。解明が待たれる。

 筆者が言えることは、生活困窮者、生活保護受給者、高齢者の方々の住まいの火災が繰り返されてしまったということである。
 火災の事例をいくつか挙げたい。他にも犠牲者をだしてしまった火災はあるだろう。
 2009年、高齢者施設「たまゆら」(群馬県渋川市)の火災では、10人の入居中の高齢者がお亡くなりになった。
 2011年11月6日、新宿区大久保の木造二階建てアパートの火災で、5人の住民が亡くなった。そのアパートは、住民23名のうち19名が生活保護受給者であり、集住していた物件だったことが分かった。
 2015年5月17日未明の、川崎市の簡易宿泊所「吉田屋」と「よしの」の火災では11人が亡くなった。

*生活困窮者と火災、簡易宿泊所 
 かつて簡易宿泊所街にとって、木造の簡易宿泊所の火災は、延焼を招き、火災の犠牲者、生活の破壊は大きな生活問題だった。
 これについては後述する。
 つまり、生活困窮者、生活保護受給者にとって、火災が生命、健康、生活を脅かす問題として復活したといっても過言ではないだろう。

*居住福祉、住まいの支援
 誰でも、住まいは安全で、健康な生活が維持され、可能な限り快適であってほしい。
 社会福祉と関連する領域では、「居住福祉」という考え方がある。
 引用すると、居住福祉とは「人間にふさわしい居住が,いのちの安全や健康や福祉や教育やほんとうの豊かさや人間としての尊厳の基礎であり,安心して生きる社会の基礎である」(早川和男『居住福祉』1997)。
 人間らしい生活の基盤は、人間にふさわしい住まいからという考え方と言えるだろう。
 誰にとっても、暮らしや健康にとって、住まいは欠かせない。
 それは、食生活、周囲の環境、移動、孤立等も含めた総合的な人間にふさわしい居住のあり方が問われる。
 生活に困窮しても、高齢になっても、ハンディキャップを持ってもコミュニティで暮らすために、住まいの質と、居住の場におけるサポートのあり方が問われている。火災の予防、万が一の火災時の避難のためにも支援が必要と言える。
 また、居住の場を運営する事業者、支援を行う事業所に対する社会的支援も求められている。

*新たな居住の貧困 低所得者シェアハウス
 加えて、単身高齢者や障害者等の生活困窮者や生活保護受給者の住まいとして、これらの人々が集住する木造老朽化アパートや簡易宿泊所に加えて、若年生活困窮者が住む傾向があるのがネットカフェ(参考記事) やシェアハウスである。シェアハウスは快適でお洒落な物件と、住宅困窮者向けシェアハウス(参考記事)の格差が拡大し、注目していく必要があるだろう。

<報道から>
引用「
横手署などによると、アパートは築50年ほどで、部屋はすべて和室6畳。1階の13部屋には11人、2階の15部屋には14人が入居していて、亡くなるか連絡が取れていない5人は全員2階に住んでいた。
 火は隣接する空き家2軒と、市の子育て支援施設「わんぱく館」の計3軒に燃え広がり、約5時間後に消し止められた。
 アパートを管理する会社の役員は朝日新聞の取材に対し、アパートは食事提供がある下宿という位置づけだと説明。日曜祝日以外は朝食、夕食が出て、1カ月の家賃は食費込みで5万1840円だったと話した。
 同社の佐々木社長(48)によると、2年前に別のアパートで火災が起き、それ以降、室内では火気の使用を禁じ、消火訓練などをしてきたという。再び火災が起きたことについて「対策を練ってきたつもりだったが(死者が出て)大変残念だ」と話した」引用ここまで


 引用「「かねや南町ハイツ」を経営する佐々木社長は日常的にアパートを訪れ、住人と面識が深かった。気の合う住人同士で互いの部屋を行き来し、「穏やかな日常だった」と振り返った。
 佐々木社長によると、遺体で見つかった千田さん(58)はパソコンが得意で、インターネットで情報収集するなど知識豊富な人だった。佐藤さん(62)は自転車で遠出することが多く、県内に泊まりがけの旅行に出掛けるなど活動的だったという。
 山本さん(78)について、アパートの管理人の奥山さん(63)は「気が強いけれど親切な人。缶コーヒーをくれることもあった」としのんだ。当該物件の見取り図等」引用ここまで

 
<筆者の論文から 関屋2009>
*簡易宿泊所火災による“罹災保障”の要求のソーシャルアクション 横浜市寿町の地域福祉活動
 1968年5月25日、簡易宿泊所の祥雲荘、扇屋、ことぶき荘の三軒の簡易宿泊所が、火災により全半焼し、罹災者は204世帯、265人に及んだ。
 この火災をきっかけに「罹災者同盟」が発足した。横浜市寿生活館のケースワーカー等の支援者がその組織化、罹災保障要求のソーシャルアクションを支援した。
 およそ二ヵ月にわたって簡易宿泊所経営者と交渉し、罹災者1人につき2000円の見舞金と無料宿泊券5日分という条件で合意に至った。以降、寿町の簡易宿泊所で火災が発生した場合は、簡易宿泊所経営者の組合から罹災者に見舞金を支給するという慣行が継続された 。
 1960年以降では、寿町の簡易宿泊所火災は13件発生し、15人が死亡している。例えば、「長者荘」の火災では、延焼し5軒の簡易宿泊所が全焼、2人が死亡し、4人が重軽傷を負い、361人が罹災している。 

*当時の寿町地域の居住環境とは
 寿町に最初の簡易宿泊所「恵会館」が、1956(昭和31)年4月に建築申請されてから、寿町は簡易宿泊所街としての基礎が形成されていった。
 1963(昭和38)年末に、横浜市建築局が把握していた寿町地域の簡易宿泊所は81軒であった。
 当時の寿町の簡易宿泊所は「2階4層」の不法・違法建築もあり、また「ベッドハウス」形式の簡易宿泊所も存在していた。宿泊者数は、推測に頼るほかないが、宿泊所の収容能力から約8000人程度であった。
 この時期の寿町の住民生活に関連する特徴的な出来事として、1963年4月に、簡易宿泊所「丸井荘」で集団赤痢が発生し、1人が死亡、15人を隔離したことが挙げられる。簡易宿泊所に居住する義務教育未就学児童の問題とも合わせて、住民の生活と居住環境の問題が顕在化しつつあったと言えよう 。
 福祉行政による寿町支援施策として、その嚆矢となる、中民生安定所の夜間出張相談が、1962(昭和37)年5月から開始された 。また、民間による支援の先駆けとして、この出張相談に、地域の民生委員も協力している。
 翌1963(昭和38)年4月には飛鳥田横浜市長が就任し、革新市政となった。同年9月には「横浜市青少年相談センター」が扇町に開所された。公的な寿町支援施策の開始となった。

序章 
第1節 問題の所在
第2節 研究の目的と方法
第3節 論文の構成

第1章 民間支援活動の位置づけと支援に関する先行研究
第1節 支援の概念と寿町における民間支援活動の位置づけ
第2節 貧困領域における民間支援活動および支援者に関する先行研究
第3節 寿町における民間支援活動および支援者に関する先行研究 

第2章 開始期:子どもへの支援とセツルメント-寿町における支援活動の歴史的変遷と特徴-
第1節 支援活動の歴史的変遷と特徴-文献から- 
第2節 証言としてのインタビュー    
第3節 考察                

第3章 発展期:福祉事業化と神奈川県域への拡大
第1節 支援活動の歴史的変遷と特徴-文献から-     
第2節 証言としてのインタビュー                     
第3節 考察                                 

第4章 模索期:活動の多様化と新たな支援のあり方の模索
第1節 支援活動の歴史的変遷と特徴-文献から-     
第2節 証言としてのインタビュー            
第3節 考察                      

終章  考察 -支援者の存在意義と民間支援活動の展望-  

「寿町」 地域とは、横浜市中区の簡易宿泊所 が密集した「ドヤ街」 である。
 かつての横浜港で働く日雇労働者とその家族のドヤ街 の面影は無く、現在は、高齢者や障害者等の生活保護受給者が単身で集住する「福祉の町」である 。

<筆者の論文 抜粋 寿町地域の簡易宿泊所の居住福祉を考える>
「簡易宿泊所街・寿町における、生活保護受給者等を対象とする精神科デイケア

 -開始段階の実践に関する考察―」から抜粋

1 簡易宿泊所の住環境=3畳の和室、外出の障壁、トイレ問題
 寿町の簡易宿泊所の住環境と居住者の心身の健康への影響に関して述べる。
 簡易宿泊所は1泊2200円という料金が多く、個室である。多くは三畳の和室で、窓があり、ベランダが付いている場合もある。寿町には、山谷 や釜ヶ崎(あいりん地区) 等に見られる、2段ベッドの集団部屋で宿泊する「ベッドハウス」と称されるものは現存しない。
 近年、寿町の宿泊所のなかには、介護対応やバリアフリー等と称して、洋室の介護用ベッドが入れられる部屋や、やや広くなり四畳の部屋、寿町等で「帳場」と称されている管理人への呼出用コール、介護対応浴室等を設備した宿泊所も登場した。デイケア開設時の1999年の時点では、このような「バリアフリー」新型簡易宿泊所は登場していない。
 エアコンの設備がある宿泊所と無い宿泊所があるが、後者は熱中症の危険が増す。エレベーター設置の宿泊所もあるが、階段のみの老朽化した宿泊所も現存し、通常よりも階段が急な宿泊所もある。老朽化した宿泊所は、和室の入口には段差があり、採光や照明の不良により廊下が暗い。これらは、高齢者や身体障害者の外出、移動の障壁になり、転倒の危険を増している。居住する高齢・障害者が自室に閉じ篭りがちになる要因である。
 個室内には、キッチンやトイレは設備が無く、各階に共同のものがある。老朽化した宿泊所の共同トイレは、和式便器であり、高齢や障害のある居住者にとって使用し辛く、臭気も強くて清潔とは言い難いところもある。これらは、居住者をトイレから遠のかせる、つまり排泄を我慢させることにも繋がる。自室外にあることから、間に合わないこともあり、自室内での失禁、排泄を繰り返し、住環境の衛生面を悪化させる居住者も少なくない。また、尿瓶等を利用する居住者もいる。なお、トイレには暖房が無い為、冬期は特に、寒暖差からも、健康への悪影響があると思われる。
 寿町の簡易宿泊所は、コインシャワーとコインランドリーの設備を持つところが多く、当然、有料であり、入浴や洗濯をしたがらない居住者もいる。銭湯は、地域内と隣接地域にある。入浴や洗濯から遠ざかり、衛生上の問題もあって、南京虫等に悩まされる居住者も珍しくない。

2 簡易宿泊所居住者の食生活-インスタントラーメン、弁当、惣菜の孤食-
 寿町地域の簡易宿泊所の共同炊事場は、ガスコンロや流しの設備があるが、調理の度に自室から、鍋やフライパン、まな板、包丁、食材等を持参しなければならない。盗難を防ぐため、炊事場から離れることも出来ない。老朽化した宿泊所では、流しは水道のみであり、コンロも古く、使用し辛く、かつ衛生的とは言い難い。炊事場には冷暖房の設備も無い。
 略

3 簡易宿泊所街の人間関係-希薄・匿名性故の住み易さと孤立・孤独死の危険-
 続く

当ブログ筆者の論文 リンク

 207万人の読者の皆様へ
<当ブログ(社会福祉士受験支援講座 教員日記)は、2009年3月のサイト開設から、
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<当ブログ バックナンバー>
 2017年7月26日 朝日新聞朝刊 全国 「悩む職員の心のケア」(やまゆり園事件が残したもの:下)
 朝日新聞から取材を受け、障害者福祉施設等において支援、ケアを担う現場職員を支援する必要性を提言した。
 また、筆者の開発した「福祉施設職員のストレスケア研修」プログラムは、福祉施設の現場を支えたいという想いから開発し、施設職員のストレス対処、感情労働、セルフケアをサポートするために実施を続けていること等をコメントした。 

関屋光泰『職業訓練生たち-1年目職員が感じた介護&ストレス』
「介護人材Q&A 2015年2月号 介護職員「こころの健康管理」その施策と工夫」,産労総合研究所

ブログ筆者の論文 要約
 離職、職業訓練(求職者支援制度)を経て、介護施設へ就職をした元訓練生の介護職員対象のグループインタビュー、ヒアリング等から、彼ら彼女らの介護現場における離職等につながり得るストレス要因について考察したものである。

 介護留学生支援、外国出身の介護福祉士(在留資格「介護」の創設)の増員と並行して行うべきことがある。
 障害者福祉施設の支援員、高齢者福祉のケアワーカー、児童福祉施設の指導員や保育士等、現場の福祉施設職員への支援である。
 介護福祉、社会福祉領域の従事者の離職率の高さ、つまり福祉の現場から人が逃げていくかの様な状況を放置せず、改善を図らなければならない。介護士や支援員等、福祉施設職員の働く環境の問題等の課題がある。
 専門職キャリアの入口の支援だけではなく、職員の研修や個別の支援、メンタルヘルスへのサポートを拡充すべきと考える。
 <「全国社会福祉教育セミナー2016(主催 日本社会福祉教育学校連盟 日本社会福祉士養成校協会 日本精神保健福祉士養成校協会 於:淑徳大学)」における筆者の報告に、加筆したものである>



ファシリテーター養成講座 福祉のまちづくりを協働により推進する
ルーテル学院大学

引用「地域福祉ファシリテーターとは?
 地域の福祉課題や地域の中で支援を必要としている人を発見し、自らが持つ能力や人脈、社会資源を生かしながら、具体的な「新たな支え合い」活動を企画・実施する中核となる人々のことを指します。この講座では、講義だけでなく、体験的な演習やフィールドワークを盛り込み、講座修了後には、具体的な「新たな支え合い活動」が実際に展開されることを目標としています」引用ここまで


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 介護福祉士養成施設入学者の4人に1人は留学生か離職者(社会人経験者)。留学生は倍増。
 介護福祉士養成施設の定員充足率は45・7%、前年比1ポイント減。定員割れ、養成施設の廃止相次ぐ。

<筆者のコメント 課題を放置せず、福祉施設職員への支援の充実を>
 日本出身のケアワーカーや介護福祉士を目指す学生の減少が止まらないから、留学生を増やすことも一つの方向性ではあるだろう。
 福祉施設の現場の文化の多様性を更に豊かにして、福祉実践の力としていくことは意義あることだと思う。
 留学生と
外国出身のケアワーカーを受け入れるならば、各地の福祉施設、地域においてスムーズに定着し、活躍できるように言葉や文化の違いを乗り越えるための教育と支援の整備が求められている。
 筆者もかつての勤務先において社会福祉士、介護福祉士等を目指す留学生を、講義と個別のフォローにより、また学生のピアサポートの支援を通して、留学生支援を行ってきた。

 筆者も一人の教員として、今後も機会があるならば留学生支援、教育、国際交流を更に積極的に行っていきたい。

 介護留学生支援、外国出身の介護福祉士(在留資格「介護」の創設)の増員と並行して行うべきことがある。
 障害者福祉施設の支援員、高齢者福祉のケアワーカー、児童福祉施設の指導員や保育士等、現場の福祉施設職員への支援である。
 介護福祉、社会福祉領域の従事者の離職率の高さ、つまり福祉の現場から人が逃げていくかの様な状況を放置せず、改善を図らなければならない。介護士や支援員等、福祉施設職員の働く環境の問題、また利用者への適正な支援、利用者の人権問題、コンプライアンス等の課題がある。
 専門職キャリアの入口の支援だけではなく、職員の研修や個別の支援、メンタルヘルスへのサポートを拡充すべきと考える。
当ブログ バックナンバー 関連記事
福祉施設職員のストレスケア、メンタルヘルス、感情労働とは 筆者のコメントが新聞に掲載されました

 2017年7月26日 朝日新聞朝刊 全国 「悩む職員の心のケア」(やまゆり園事件が残したもの:下)

 離職者、他の職種からの福祉専門職への転職を支援し、社会人への専門職教育、リカレント教育も課題である。
 当ブログ バックナンバー 関連記事
 離職、職業訓練を経た介護職のストレス ブログ筆者の論文要約 離職者に開かれた福祉施設の仕

 関屋光泰『職業訓練生たち-1年目職員が感じた介護&ストレス』
「介護人材Q&A 2015年2月号 介護職員「こころの健康管理」その施策と工夫」,産労総合研究所

 「介護福祉士養成施設の定員充足率は45・7%、定員割れ」という、「人数」の問題は深刻である。
 しかし、筆者が現在勤務するルーテル学院大学は、もともと少人数教育であり、学生一人ひとりと教員が向き合い、関わり合うなかで、学生は主体的に学んでいる。
 人数は少なくても、障害者福祉や児童福祉、精神保健福祉、地域福祉、高齢者福祉等の現場を真っ直ぐに目指す学生が目立つ。
 目に見える「人数」の問題はもちろん重要ではあるが、社会福祉の現場にとって、一人ひとりの職員の内面が、見えないからこそ重要ではないだろうか。


介護福祉士養成校の半分が定員割れ 留学生は倍増
2017年08月07日 福祉新聞

ここから引用「今年4月入学の介護福祉士養成施設の定員充足率が前年と比べて1ポイント減の45・7%であることが、7月26日、日本介護福祉士養成施設協会のまとめで分かった。
 介養協によると、入学定員1万5891人に対する入学者は7258人。このうち学費の一部を雇用保険で補てんされる離職者訓練制度対象者が1307人、外国人留学生が591人に上った。入学者の4人に1人は社会人経験者か留学生という計算になる。
 留学生は昨年の257人から2倍超に増えた。昨年11月に改正出入国管理・難民認定法が成立したことにより、今年9月から在留資格に介護福祉士が追加されることが背景にある。
 介護福祉士を在留資格に位置付けることは、介養協がかねて要望していた。介養協は今後さらに外国人留学生が学びやすい環境を整え、入学者を増やしたい考えだ。
 今年4月1日現在、養成施設の数は373校、397学科。ここ数年は定員割れの学校・学科が多く、廃止が相次いでいる」引用ここまで

<ブログ筆者のコメント:学生と職員の不足を嘆くだけではなく、社会人学生を福祉専門職に> ここから
 「離職者訓練制度」等の給付金の制度があっても、各校の定員の半分にも満たないことに危機感を覚える。
 介護福祉士こそ高齢者福祉のケアの現場の要である。
しかし、後述の社会福祉士養成校の例の、80人の定員充足を8年間続けていた学科とは対称的である。

補足:社会人学生の福祉専門職への転職、感情労働の困難、リカレント教育等の課題とは
 筆者が8年間、専任教員を務めていた社会福祉士養成校等の、社会人の福祉専門職教育についての報告を次に掲載したい。
 この社会福祉士養成校において社会人学生は、(前の)職場におけるコミュニケーションやストレスの問題を抱えて、離職し、もしくは前向きにキャリアチェンジし、人間との関わる仕事を求めて社会福祉士を目指すという学生が目立っていた。
 福祉施設の現場は、利用者への支援、他の職員とのチームアプローチ等、コミュニケーションや自身のストレスを抱えやすい傾向もみられる。
 つまり、自分のコミュニケーションに課題があるから、これらの特徴のある福祉専門職を目指すというのは、実践のストレスを抱えこむ等の困難が予想されるキャリアチェンジとも言える。

 換言すると、社会人学生の「自分探し型キャリアチェンジ」とも言えるだろう。
 課題(人間関係、メンタルヘルス等)が多い学生、全くの他分野からの学生に対しては、通学課程の1年間という期間が十分な時間なのだろうか、まして通信課程のスクーリングの時間のみで実践的に学ぶことが出来るのか、議論が必要ではないかとも思う。この報告のときには専任教員という立場もあり、述べることは出来なかったが、1年間の通学には限界があるのではないかと感じる場合もあったからこそ、議論の必要性を述べておきたい。
 ポジティブな側面として、人間関係等が苦手だからこそ自己の成長を求めての福祉専門職キャリアへのチャレンジという捉え方もある。ある意味、どのような職種の職場も、成長の場、人間成長の道場でもあり、福祉専門職として人間としても磨かれ、成長していくという意味もあるだろう。
 これらの特徴を持つ社会人学生の、感情労働、人間関係が更に求められる福祉専門職へのチャレンジと、リカレント教育のあり方は、考え続ける必要がある。

 もちろん人材不足の課題がある社会福祉領域にとって、社会人学生は貴重な担い手である。職員不足の現状(参考 読売新聞記事)を考えるならば、社会人から更に志願者を募るべきであると思われる。
 多様な経歴、個性を持つ社会人学生が社会福祉の現場に加わり、専門職として成長していくことは、社会福祉全体としても意義がある。

<ここからは、ブログ筆者が昨年、第46回全国社会福祉教育セミナー2016 会場 淑徳大学 
 分科会「一般・短期養成施設や通信課程におけるソーシャルワーカー養成の現状と課題」(2016年10月30日)

 において、関屋光泰「社会福祉士養成校(通学1年 昼間部)におけるソーシャルワーク専門職養成」として報告させて頂いた内容の要旨である。


1 社会福祉領域への「転職」を目指す社会人学生とリカレント教育
 本論が触れる専門学校 社会福祉士養成学科とは、大卒者等を対象とする社会福祉士一般養成施設の1年制の通学課程昼間部の一つである。当該学科は、2004年度に設置された、定員80名の学科である。
 当該学科の学生は、大学において心理、教育、法学、国際分野、経済、社会学等の領域を学び、大学卒業後直ぐに当学科に進学する進路変更か、大学卒業後に社会福祉以外の職種や不安定なキャリア(フリーター)等を経て、当学科に進学する社会人学生の両者で多数を占める。
 当該学科の学生の就職先として、医療機関の医療ソーシャルワーカー等、高齢者福祉、社会福祉協議会、公務員福祉職が主なところであった。
 社会人学生は、社会福祉領域の経験や知識が皆無の状態からの社会福祉専門職への転職である。
 多様な生活歴、職歴等の社会経験による個人差があり、コミュニケーションや社会人基礎力等の学生間の格差は大きい。
 例えば、大学卒業後、中学校等の教員を経て、社会福祉士取得、スクールソーシャルワーカーを目指す学生や、一方、大卒後、フリーター等の不安定なキャリアを経た学生も少なくない。


 当該学科を含む社会福祉士養成校の主要な役割とは、社会福祉専門職の志願者を幅広く募り=入学前、専門職養成教育の実施と福祉領域への就職の促進=在学中、卒業後の継続教育・スーパービジョンとネットワーク構築等のフォローアップであると考えられる。
 これらの社会福祉士養成校の、卒業後の実践へと繋ぎ、媒介する総合的な専門職教育のあり方に関して述べていく。
 それは、専門職への入口であり、転職後も継続した自己研鑽、学習とその資源、ネットワークの媒介となるリカレント教育への提言である。単なる職業訓練に留まらない、社会福祉実践と連結した専門職教育とも言える。

2 社会福祉士養成校、社会人学生の社会福祉士への転職パターン
(1)大学(学部、大学院)卒業直後の転進-大学卒業⇒資格取得⇒就職
 例:心理学部、教育学部、法学部、国際分野、経済、社会学部等を卒業⇒本校に通学して社会福祉士取得⇒福祉職公務員等である。
大学院博士前期課程修了(修士)等(理系が目立つ、文系)、司法試験や公務員等を挑戦していた人も含む(少なくない)。
 大学院(他分野)、司法試験受験からの進路の転進、再チャレンジである。

(2)異業種からの転職=キャリアチェンジ
 大卒⇒ 一般企業への就職(例 システムエンジニア、アパレル、販売) ⇒ 退職 ⇒ 社会福祉士取得 ⇒ 社会福祉協議会等に転職である。
・フリーター(外食産業、販売)等。公務員を中途退職して入学する学生も。
・フリーターと、システムエンジニアが目立つ、専門職キャリアへの転職、正規雇用へのチャレンジである。

(3)専門性の拡充=スキルアップ
例:大卒⇒小・中学校の教員(非正規を含む)、塾等の教育・関連職、ケアワーカー、保育士 ⇒退職⇒ 社会福祉士取得 ⇒ スクールソーシャルワーカー等。
例:大卒⇒医療事務等医療機関職員・製薬企業社員 ⇒ 退職 ⇒ 医療ソーシャルワーカーに転職等である。
 例:大卒(福祉学部以外)⇒有料老人ホーム等介護職⇒退職⇒社会福祉士取得⇒高齢者福祉施設。
・高齢者福祉はケアワーカー、児童福祉は保育士、医療事務から医療ソーシャルワーカー等、キャリアの拡充が目立つ。

(4)キャリアの再構築-定年退職後のセカンドキャリア、女性のキャリア再構築
 大卒⇒企業勤務⇒「専業主婦」⇒社会福祉士取得⇒児童福祉領域に転職等である。
 定年退職等による、セカンドキャリアの再構築を含む。
・学生の子育てや家族介護との両立と、学校としての支援が課題となる。

*フリーターやニートから福祉専門職に
 これらに加えて、フリーター等の不安定なキャリアの社会人学生の正規職員キャリアの支援であり、職歴なし、ニートであった学生の社会参加、就労支援の側面が専門学校にはある。

 働きづらさ(働く上でのストレス、コミュニケーション、メンタルヘルス等の困難)、生きづらさからの引きこもり生活、「何もかもうまくいかない」等の当事者でもある。
 多様な社会人学生に対する、サポーティブな専門職養成のあり方が求められている。

3 入学の動機 当事者性と、人と関わる仕事への憧れ
 上記の専門性の拡充と正規雇用キャリアの再構築に加えて、次のような動機を持って入学に至る。
(1)「福祉の仕事」への憧れ 福祉専門職への転職の源流
 人生のどの段階で抱いたものかは個人差があるが、人間と関わり直接的に支える「福祉の仕事」への漠然とした憧れが、転職の検討段階で復活し、動機を構成している。
 多くは相談等の個別援助に魅力を感じ、福祉施設の運営管理、経営に関心を持つ学生も少ないながらも存在する。

(2)女性のキャリアの再構築 結婚・出産・育児等を経て専門職キャリアへの途中参入
 女性の場合、結婚(離婚)や出産、育児等による生活の変化に応じて、キャリアの再構築を図る。
 キャリアとライフプランの再構築の場合もある。
 専門性、専門職としてのやりがい、自己効用感、安定した正規雇用を求めての再出発である。

(3)広義の「当事者性」傾向-家族介護・育児の経験と人生の転換点
 きょうだいや祖父母等のハンディキャップを持つ家族のケアを親や自身が担った経験である=家族ケア・介助の当事者性。
 また、自身の心身の健康問題や事故による負傷の経験と、医療やリハビリテーション等を受けた被援助経験も含む。
 加えて、自身のハンディキャップ、メンタルヘルス、いじめや家族問題、前職におけるストレス、人間関係の問題からの転職等、健康、家族、社会生活上の困難を体験し、乗り越えてきた当事者の場合もある。
 これらが関連して、他の職種や領域から、福祉専門職を志願することになる。

*生きづらさの当事者から福祉専門職に
 様々な当事者性、マィノリティの側面を持つ人々が福祉専門職という進路に活路を見出している。
 社会福祉の領域には、様々な「生きづらさ」の当事者の参加をサポートする使命がある。
 根底にあるのは、当事者性から出発した、人間を支援する仕事への願望と、やりがい、自己効用感への希求が、社会福祉士への転職の意欲を生み出しているとも言えよう。
 痛みの連帯、自らの支えられた経験を専門職として、またコミュニティの一員としての支援の力にしていくことは、重要なテーマである


4-1 現場と繋がるソーシャルワーク教育、フィールドワークと専門職教育
 相談援助実習指導、演習において、筆者自身の地域における実践を活かした事例検討やディスカッションを実施し、現場と直結した福祉専門職教育を行ってきた。
 約20年間の地域精神医療、公的扶助領域におけるソーシャルワーカーとしての実践経験と、その実践知や事例、エピソード等を講義において活用し、学生の福祉実践力の養成を図ってきた。担当する講義において、専門職としての倫理や知識と、現場との往復を重視した実践的な教育を目指してきた。


 また、簡易宿泊所街「寿町」(横浜市中区)のフィールドワークとして、地域の医療機関や福祉施設の訪問プログラムを、地域福祉を学ぶフィールドワークとして2003年から実施してきた。
 地域福祉、地域精神医療の現場を学生が体験し、また簡易宿泊所や福祉機関・施設への訪問を実施し、地域生活支援等の現状と課題を体験から学ぶプログラムとして継続していた。

 加えて、児童福祉施設の見学会のプログラムも2014年6月から実施している。

4-2 ソーシャルワークの視点と思考を育てる実習・実習指導
 「相談援助実習指導」は、社会福祉士養成課程において、現場への配属実習の準備と事後の実習報告等の学習を行い、実習は学生とフィールドとの出会いの機会であり、学生の就職意欲や、その後の実践にも影響を与える。
 2015年度、筆者が担当する同科目は、前期、実習先の各領域とその実践の現状の解説や、事例を用いたアセスメントや支援計画立案の演習、面接のロールプレイ、グループワークの解説等を実施した。
 
<演習テーマ 反響の大きかったもの>
*ターミナル・緩和ケア
*アルコール・薬物依存症からの回復
*女性の貧困・DV問題
*子どもの貧困、養護問題
*リワーク支援
*福祉施設職員の燃え尽き、ストレスケア


 後期は、学生からの実習報告とその共有を中心として、発表、事例検討やグループディスカッションによって、学生のこれまでの生活歴や日常との地続きの問題としての、ソーシャルワークの今日的なテーマを考察した。

 これらに加えて、教員であり実践者でもある筆者の実践を、フィールドとの連結を図るために組み込んだ。主に、貧困に関連する精神疾患等の諸問題や、当事者の生と死、自尊感情、関わりが困難な事例など、グループワークや訪問におけるエピソードを授業に活かしている。

4-3 ソーシャルワークの視点と思考を育てる
①価値の源流を伝える。

 社会福祉の歴史の重視。

②価値観を揺るがす問いかけ。
  例 死生観、「自立」、多様性の尊重。
  
③視野、知識の幅を拡げる。
 ⇒参考文献の紹介、回覧

5 社会人学生の専門職教育の課題
(1)「社会人学生」間の格差が大きいこと。相互理解の困難。
 時に、学生の交流によって摩擦が生じることもある。「社会人経験」といっても、様々な企業、生活歴、学歴、地域の特性、個性、視野があり、格差が大きい。
 ハンディキャップを持つ学生への理解や配慮、寛容さが十分ではないこと、一方、他の学生への適応が難しいこともある。

(2)当事者性(広義の)を持つ学生の支援
 様々な当事者性(心身のハンディキャップ、メンタルヘルス、社会的マイノリティ、いじめの経験等)の自己理解(自己覚知)、自らの個性を受け容れた生き方が出来るか。
 福祉専門職への適性、周囲への適応、コミュニケーション等、社会参加に課題がある場合も。
 学校生活や実習に困難があり、学生相談等で支援する。

(3)社会人学生は何を学びたいのか、どのように教えるのか
 例 「資格試験に合格できればよい」専門職養成よりも資格試験受験対策を望む学生もいる。
 実際は、社会福祉士等のライセンスは専門職のスタートラインに過ぎず、専門性、実践の力量こそ求められるのだが。
 加えて今日、教育に求められているアクティブラーニングの活用であり、単なる「資格の学校」、職業訓練は社会的にも求められていない。

(4)社会人学生が一皮むける学びを
 学生間の格差が大きいが、価値観と視野の狭さ、他者への許容範囲が狭い社会人学生も散見される。
 更生保護領域に対して、その存在意義の理解が進まない等、課題がある。
 相談等の実践の担い手になったときに、自己の内面の障壁(偏見、不寛容)を自覚し、乗り越えることが出来るのか。
 社会人として出来上がった価値観と、福祉専門職(ソーシャルワーク)の価値との摩擦、せめぎ合いを自覚し、内省することから挑戦ははじまる。

*社会人経験よりも生活者目線が活かされる
 他産業の職業スキル、社会人の経験は活用できるのかという課題がある。
 これらを前向きに評価している、活用の具体的な方法を提示している文献は、稀ではないか。
 「生活者」としての視線は、活かされる(社会福祉士テキスト)。
 
・社会人学生による、社会福祉分野のNPO等の、社会的起業を期待したい。
 就労支援等の領域で、社会人経験が活かされることもあるだろう。経営の経験も活用できる。
・社会との媒介としての役割。地域生活支援において、生活者視点が活かされる。

(5)社会福祉の価値の内在化こそ必要 小手先のスキルよりも重要なもの
 社会人学生にとって、社会福祉士等の資格・ライセンスは、専門職としてのキャリアのスタートラインである。
 資格試験合格のみが重要だ、というのは正しくはない。
 資格取得の先の、専門職としてどのような実践を行うのかこそ重要である。
 実践の姿勢、基盤の構築のためソーシャルワーク関連科目において、学生に対してソーシャルワークの価値・倫理の内在化を図ってきた。
 倫理の今日的な課題や、生命倫理の領域を含めて、講義で扱う必要がある。福祉専門職の実践には、価値・倫理が宿っていなければならない。
 求められるのは、現実と価値との往復であり、価値に立脚しつつ現状から出発する、しなやかな実践のあり方である。
 社会福祉を巡る状況の複雑化、多元化に対して、また倫理的なジレンマにも対応するために、倫理・価値の内在化、それに基づく思考、柔軟性を持った調整が求められる。

(6)自分のフィールド、ミッションの探求-実習・就職支援の課題
 社会人を経て学ぶ途上にある学生にとって、視野の拡大がなければ、社会福祉専門職としての使命感を抱くことは不可能である。
 実習は、学生の視点、思考、姿勢といった従来の枠組みを問い直す機会でもある。特に、社会人学生にとっては必要である。
 異なる特質を持つ他者、とりわけマイノリティへの視点を、理解を拡大することが課題である。これらは、実習において、職員や利用者との直接的な関わりから教えられ、投げかけを与えられてこそ得られるものであろう。
 また、当事者に対する差別、格差等のマクロの問題の理解を深めることも求められる。これを促進するためには、社会福祉に関連する今日的なテーマを、講義の中でも扱う必要がある。
 実習に向けた細やかな指導と、個々の学生へのスーパービジョンに重きを置いた実習指導を、多様な社会人学生に対してサポーティブな姿勢で実施することも求められている。

<補足>
 福祉専門職として就職後にも継続した学び、スキルアップ、フォローのための研修が必要である。
 また、学びの場の新たなかたちとして、専門学校から専門職大学へ(専門職大学・専門職短期大学 文部科学省HP)も注視していきたい。

 以上は、筆者が報告させて頂いた。
第46回全国社会福祉教育セミナー2016 会場 淑徳大学 「ソーシャルワーク教育の新たな発展をめざして」
分科会第4 『一般・短期養成施設や通信課程におけるソーシャルワーカー養成の現状と課題』2016年10月30日

コーディネーター: 空閑浩人氏(同志社大学)
発題者: 山本由紀氏(上智社会福祉専門学校)
     明星明美氏(日本福祉大学福祉経営学部 通信教育)
     関屋光泰 (当ブログ筆者)
主催 日本社会福祉教育学校連盟 日本社会福祉士養成校協会 日本精神保健福祉士養成校協会

分科会報告 関屋光泰「社会福祉士養成校(通学1年 昼間部)におけるソーシャルワーク専門職養成」 抄録155頁から162頁


当ブログ筆者の論文
関屋 光泰「福祉施設職員のストレスケア サポーティブ研修プログラムの開発」
日本福祉教育専門学校 研究紀要第23巻1号 37頁から55頁 平成27年4月
抜粋「福祉施設において、有効な離職予防策を打ち出せないまま職員の人員不足を招くことや、燃えつき等によって充分に能力を発揮出来ない職員を生じることは、現場に更なる負担をかけ、過失や事故等に繋がる可能性に直結する。施設と個々の職員のストレス・マネジメントは、リスク・マネジメントでもあり、施設の運営管理にも大きく関わる課題である。
 良い福祉施設、良いサービスは、職員の心身の健康の維持と、実践と生活の拡充によって実を結ぶ。福祉施設においては、事業の根幹は人にある。だからこそ、着手が可能なところから、現場職員の支援策と、サポーティブな職場づくりを開始する必要がある」

福祉施設職員のメンタルヘルスの支援 職員のストレスマネジメントと施設のリスクマネジメント
当ブログ筆者の論文 関連業績一覧


当ブログ筆者の論文
「福祉専門職への転職と実践を支えるアクティブ・ラーニング」 『研究紀要』第22巻第1号,2014年


東京都福祉保健局(委託の研修事業)登録講師派遣事業 講師派遣を希望する事業所の方へ



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福祉人材確保対策 厚生労働省

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新聞に筆者のコメントが掲載されました「ルーテル学院大の関屋光泰 助教は、東京都内を中心に約60カ所の障害者施設などで職員向けのストレスケア研修を行ってきた。「忙しい時に利用者への言葉がきつくなり、そんな自分を責めてしまう」、研修の受講者からは、そんな悩みが多く寄せられる。<略>「自分が理想とする支援ができず、自己嫌悪に陥る職員も多い。職員のケアの必要性に目を向けるべきだ」と訴える。 悩む職員の心のケア」抜粋
(やまゆり園事件が残したもの:下)地域に開く、支え合い歩む
2017年7月26日 朝日新聞朝刊 全国
 朝日新聞から取材を受け、障害者等の福祉施設において支援、ケアを担う職員を支援する必要性を提言しました。
 また、筆者の開発した「福祉施設職員のストレスケア研修」プログラムは、福祉施設の現場を支えたいという想いから開発し、施設職員のストレス対処、感情労働、セルフケアをサポートするために実施を続けていること等をお話しました。
 関心をお持ちの方、ご連絡下さい。

<以下、記事に関連して。筆者の補足コメント> 
1 福祉施設職員のメンタルヘルス、慢性疲労の実際
 筆者が講師として研修で出会う障害者福祉施設や高齢者福祉施設等の職員の方々のうち多くは、利用者を全力で支援し、現場の様々な困難、人員不足等のなかでも、施設に踏みとどまっている。支援、ケアの実践のなかで、利用者の痛みに真摯に向き合い、専門職として寄り添いながら支援する上で、職員自身の慢性的な心身の疲労感、痛みを抱えていることも少なくなかった。
 しかし、職員が職務のストレスからメンタルヘルスや、身体的な不調を抱えても、職員への支援は十分とは言えない。ケア、支援する職員が心身の健康を失っても、支える人がいないと言っても過言ではない。
後述する。
 福祉施設は、人間が人間を支える場である。支える側=職員、支えられる側=利用者の双方があって成り立つ。出会い、関わり合い、認め合い、支え合う、活かし合う場である。

2 福祉施設職員の「いきなり退職」、その働き方等の問題
 多くの福祉施設に共通する問題とは、職員の突然の退職である。支援員、介護士等の職員自身のメンタルヘルスが密接に関わる「いきなり退職」は、現場を去る側には「逃げた」かのような退職の罪悪感を、残される職員には、退職職員の困難の抱え込みを気付かなかったこと、サポート出来なかったことの自責を、組織には職員不足、人材確保の困難をもたらす。
 当然ではあるが、「いきなり退職」はメンタルヘルスの問題のみならず、複合的な要因が顕在化したものであり、多様な側面がある。

3 メンタルヘルス休職と復職支援の課題 介護職等福祉施設職員
 研修実施先などにおいては、慢性疲労や、職務上の困難を抱える職員を、周囲がどのように支えていくべきかという課題が挙げられた。
 また、メンタルヘルス等の要因から、休職中の職員の復職の支援(リワーク)をどのように進めていくべきかという具体的な課題が目立った。福祉施設職員のリワークについては、後述する。

4 福祉施設職員のセルフケアを支援する研修 レジリアンスとは
 筆者が開発し講師として障害者福祉施設等で実施している「福祉施設職員のストレスケア研修」のポイントを述べたい。
 第一、福祉施設職員の燃えつきバーンアウト=総合的な問題
 福祉施設職員のストレス、燃えつきは総合的問題である。福祉職員の心身の健康、働き方、生き方の質が問われる側面もある。ストレスの緩和のためには、各自のメンタルヘルスのみならず、総合的な対応が求められる。
内省しながらの実践によって成長し、かつ自らの生の拡充を図る。
 第二、職員間の人間関係という最重要事項
 福祉施設の職員チームの人間関係は、職務のストレッサーとなり得るものであり、またストレスを緩和する要ともなる重要なものである。

 第三、福祉施設職員のレジリアンス
 ストレスを皆無にすること(ストレスフリー)は出来ないが、ストレスマネジメント、ストレスに対処し、復元、回復する力、レジリエンスを高めることは出来る。
 レジリアンスとは、困難においても適応する力、自然治癒力等の側面もある概念である。レジリアンスには、内省的な思考力と、感情のコントロール、弱さを隠さず助けを求める力、人間関係の維持、想像する力、柔軟性等も含まれる。
 第四、相互支援のつながりの職場へ、実践ストレスからの拠り所
 ストレスからの拠り所となるのは、職場の内外の相互支援のネットワークと、個別職員への支援である。実践知の共有や多様性を尊重する対話、実務とメンタル両方の相互支援の促進が課題である。
 これらにより、ストレスに職員個人、職員チーム、施設として対処し、実践を持続可能なものとしていく。
 つまり、福祉施設職員の、ストレスからの悪影響を緩和するストレス対処スキル、自己効用感の向上等の、セルフケアの支援を目指している。また、困難を抱え込み孤立する傾向がある職員の繋がり、孤立した声を繋ぐ研修でもある。

5 福祉施設職員のストレスケア研修内容、プログラム 燃えつきとは
筆者の実施するストレスケア研修の具体的な内容
を挙げる。
⑴福祉施設職員のメンタルヘルス、燃えつきバーンアウトとは。
 福祉施設職員の燃えつきは総合的問題である。改善のためには、各自のメンタルヘルスのみならず、総合的な対応(心理、健康、社会等)が求められる。
 マスラックらは,バーンアウトを3つの因子に分けて捉えることを提案した。
 ①情緒的疲弊、②脱人格化、③個人的達成感の低下
⑵‌ストレスから復元する力であるレジリアンスの重要性。
⑶実践ストレスのセルフケアのプロセスの概要。
⑷ストレッサーの自己分析の方法。
⑸‌援助者のエモーショナル・リテラシーの向上と、ストレス場面への対処の方法。

⑹援助者のストレングスと自己への受容的語りかけ。
⑺リフレーミングとアサーティブの方法。
 リフレーミングは、視点、捉え方の転換・再構成
 ①人間であることを許す。あるがままの自他を受容する。
 ②状況の再構築。経験の意味を落ち着いて考える。
 ③広い視野で捉える。柔軟に考える。
⑻自省的フィードバックと実務上の対策。
⑼職場の総合的ストレス・マネジメントの推進。
⑽‌燃えつきのストッパー、職員間の人間関係の二つの側面。
⑾‌援助者のカタルシスと語りの場、「くぐり抜け体験」の共有化、意味づけによる困難の克服。

⑿‌相互支援のファシリテーション、リーダーによるファシリテーションの重要性。
⒀‌協同による実践と、「疲労リミッター」、「弱さの情報公開」。
⒁‌新たな働き方、ワーク・ライフ・バランスの確立、自然体で働くということ。


6 福祉施設職員のメンタルヘルス チェック項目 抜粋
 筆者が開発した福祉施設職員のストレスケア研修において、ストレスの自覚、ストレス理解を促すチェックリスト、質問項目がある。筆者自身の20年間程のソーシャルワーク実践における困難やストレスの経験や、社会福祉や介護、看護、教育等、関連領域の専門職のストレスケア、燃えつき(バーンアウト)の文献・論文、また研修受講者のコメント等を参考にして、筆者が作成したオリジナルなものである。
 ケア関連のチェック項目から一部を紹介する。
・ゆとりが無いときに、呼び止める利用者に対して「ちょっと待って」「後でね」等と言ってしまう。
・忙しいと利用者に対する言葉がきつくなる。
・援助者(介護士、支援員、ケアマネージャー、ソーシャルワーカー等)の役割の矛盾、仕事の曖昧さがある。
・自らの熱意と、ケア・支援・相談の仕事の達成感との間にギャップがある。
・理想のケアや使命感と、今の仕事の現実との間にギャップがある、本物のケアではない。
・他の専門職(例:看護師)との間で利用者の支援について、方針が食い違う。
・職場のなかで、率直に相談したり、困難を打ち明けることが出来る同僚や先輩が誰もいない。
・利用者等から、乱暴な言葉を受ける、大声で怒られる。
・自らが、十分には利用者の気持ちの支えになっていないのではないかと感じる。
・親しくしていた利用者が亡くなることがある。自分を責めてしまう。


7 福祉施設職員の感情労働 介護職等の情緒的な疲労
 職員に共通する困難として、福祉施設職員としての支援、ケアの実践が「感情労働」の側面を持つことが、一つの要因である。
 感情労働とは、自分の深層もしくは表層の感情をコントロールし、利用者に適応した態度と言葉、表情、振舞い、配慮等で対応することにより、報酬を得る労働のことである。

 ホックシールドによれば「この労働を行う人は、自分の感情を誘発したり抑圧したりしながら、相手のなかに適切な精神状態をつくり出すために、自分の外見を維持しなければならない。この種の労働は精神と感情の協調を要請し、ひいては、人格にとって深くかつ必須のものとして私たちが重んじている自己の源泉もしばしば使いこむ」。
 例えば、利用者の態度や感情が怒りを含めたどのようなものであっても、職員側はあたたかさ、受容的な態度と対応、配慮をするための、自身の感情の統制である。職員側は、常に情緒的な安定を維持することがその基盤にある。
 しかし、職員も感情を持つ人間であり、自らの感情を統制し、時に操作、規制することは、困難があり、疲労が蓄積されていく。加えて、職務の忙しさによって時間と精神的なゆとりが減少すると、感情労働の切り詰めや、わりきりが行わざるを得ない。支援、ケアの実務にはスケジュールが過密になる、人員不足の場合の、悪循環である。
 総じて、福祉施設職員を含む社会福祉、介護、看護等の対人援助領域全般が、感情労働としての側面も持つ。深層演技は、職員の情緒への負担、疲労の蓄積に繋がり、その限界から情緒が摩滅するならば、実践の質に影響が生じる。
 求められているのは、感情労働の疲労等を表現する場であり、職員チームとして支え合うことである。


8 介護職等のストレスマネジメント、働き方の課題とは
 筆者の「福祉施設職員のストレスケア研修」は、東京都福祉保健局の委託を受け、「事業所に対する育成⽀援事業 登録講師派遣事業」として都内の施設で実施した。この事業は、筆者を含む大学等の教員を、小・中規模の福祉施設の要望に応じて派遣し、個々の施設の課題に合わせ研修を実施するものであり、東京都社会福祉協議会が東京都から委託を受けて実施している。
この東京都委託の研修以外の福祉施設研修を合わせて、これまでに60施設で研修を実施してきた。
 筆者が、この研修を開発し、実施する理由は、障害者福祉施設の支援員や高齢者福祉施設の介護職員が提供するケアが更に質が向上し、利用者の生きること、尊厳を支える、人間的な支援が持続出来ることを目指している。また、職務の困難を抱え込む傾向の人が多い福祉施設職員を支えたい、より良い働き方、生き方の拡充を促進するためである。

9 相互支援の職場・職員集団へ=ストレスからの拠り所を持つ
 個々の職員の心身の慢性疲労、メンタルヘルスの不調は、支援の実践に影響するという側面もある。
 実践上の困難のなかでも感情を表現し合うこと、職場内の相互支援によって、個々の職員の自立した実践が成り立つとも言えよう。利用者の人々も職員集団も共に過ごす福祉施設においては、相互に影響を与え合い、双方と施設全体が成長を遂げる可能性がある。
 メイヤロフによれば、ケアというものは、対象者の人間的な成長のためのものであり、ケアの提供者もケアの実践を通じて成長することが出来る。そしてケア提供者は、対象者から必要とされることによって、世界のなかでその場所に自らの居場所を獲得する。

介護職員等の人間関係はなぜ難しいのか
 なぜ、福祉施設など対人援助領域は、職員間の人間関係の問題が生じるのか。ストレッサーになるのか。
 支援、ケアの職務上の無力感、利用者への否定的な感情は、職員の人間関係に転嫁される。
 つまり問題の置き換えであり、実践の現実的な問題から、職員の人間関係の問題、葛藤へ置き換えている。
 しかし、職場の人間関係は、ストレッサーともなり、またストレス緩和の要ともなる。
 良い職員集団は、相互支援を行う。同僚を支えるという視点、姿勢が求められる。
 職員のインフォーマルグループの関係性が、職員の働きやすさ、チームアプローチ、サービスの質に直結する。
 ソーシャルサポート=繋がりによる支えは、社会的・心理的葛藤の心身への悪影響を緩和する。
 仲間による支援=フェローシップが、職員集団に切実に求められている。


介護職等、福祉施設職員のサポートを 介護職リワークの必要性
今後も筆者は、福祉施設やその職員の方々、現場からのフィードバックを得ながら、福祉施設職員のメンタルヘルスと実践を支えるプログラムを改善していきたい。
 当然ではあるが研修のみでは限界があり、福祉施設職員対象の個別相談やスーパービジョン、組織と職員に対する継続的なコンサルテーション、メンタルヘルス休職職員対象のリワークのグループプログラム、継続した学びの場なども必要とされている。


福祉施設職員の支援、メンタルヘルス等のサポートの現状
1.地方自治体の研修事業(社会福祉協議会等民間団体に委託し実施)

 研修による職員支援、得にスキルアップは、現在の対策の一つと言える。
・筆者の研修プログラムも、東京都の福祉保健局が、東京都社会福祉協議会に委託した「登録講師派遣事業」の一つの研修メニューとして実施している。
 東京都福祉保健局、東京都社会福祉協議会・福祉人材センターの事業は、先駆的なものといえる。


2.地方自治体の相談等支援事業(後述)
 一部の実施にとどまり、東京都が民間(東京都社会福祉協議会 東京都福祉人材センター)に委託して実施。
 また、地方自治体が「潜在介護職員復職支援事業」埼玉県等を、民間(人材派遣事業者など)に委託して実施している。

<民間の対策>
3.個々の福祉施設・社会福祉法人による研修等の対策

 施設・法人がそれぞれ実施する職員の支援、スキルアップの研修も主要な対策の一つである。施設・法人が自前でグループワーク等による研修を実施するか、研修講師(団体)に依頼して実施している。

*EAPへのメンタルヘルス支援の委託
・一部の施設は、外部の団体にEAP(Employee Assistance Program)従業員支援プログラムを委託し、職員のメンタルヘルス支援を実施している。
 内容は、EAPのカウンセラーによる、リフレーミング等を用いた相談を、希望者に実施するとのことである。

4.専門職団体(介護福祉士会など)、社団法人、ネットワーク等の民間の研修
・職場外における研修。

・総じて、支援員、介護士等の福祉施設職員への支援は、入り口は手厚いが、入職後の支援には課題があるといえる。
 つまり、福祉施設職員の志願者を募るための介護職員の仕事の広報、就職説明会、インターンシップ(例 「フクシゴトフェス @東京 福祉をもっと、好きになれ」、専門職養成の支援(ヘルパー資格の無料講座 例:東京都の「介護職員初任者研修資格取得支援事業」、介護福祉士養成等の支援給付金 例:東京都の「介護福祉士等修学資金貸与事業」)など、福祉キャリアの入り口は手厚い。
 しかし、入職後は地方自治体が民間に委託して実施しているスキルアップのための研修が主要なものである。メンタルヘルス支援は、一部にとどまる。
 福祉施設、社会福祉法人がそれぞれに研修を実施、また職場内でメンタルヘルスを自前でサポートに努めている。
 介護職等の福祉施設職員とその働き方への、更なる総合的支援が必要とされている。



福祉施設職員のための、こころの電話相談窓口 以下、引用
<東京都社会福祉協議会 東京都福祉人材センターHP 引用>

引用「福祉の仕事に関する悩みを相談する
仕事のコト、将来のコト、その他福祉の仕事に関する悩みを相談したい
相談無料です。
福祉のしごとに詳しい専門の相談員がご相談をお聞きします。
会って相談していただくこともできます。
○相談場所
東京都福祉人材センター千代田区飯田橋3-10-3
東京しごとセンター7階(飯田橋駅徒歩7分)
予約なしでもご相談いただけます。ただし、予約の方優先なので、お待ちいただくことがあります。

こころのモヤモヤはなしてみてください
福祉職場で働くあなたのための
こころスッキリ相談 フリーダイヤル0120-981-134

•電話相談・面接相談 毎日9時~22時、面接予約受付 平日9時~21時、土曜日9時~16時
•相談無料です(お一人様年間5回まで。6回目以降は有料)。
•臨床心理士・産業カウンセラー等がご相談をお聞きします。
•外部機関に委託して実施しています」引用ここまで
東京都社会福祉協議会 東京都福祉人材センター


当ブログ筆者の論文
関屋 光泰「福祉施設職員のストレスケア サポーティブ研修プログラムの開発」
日本福祉教育専門学校 研究紀要第23巻1号 37頁から55頁 平成27年4月

抜粋「福祉施設において、有効な離職予防策を打ち出せないまま職員の人員不足を招くことや、燃えつき等によって充分に能力を発揮出来ない職員を生じることは、現場に更なる負担をかけ、過失や事故等に繋がる可能性に直結する。施設と個々の職員のストレス・マネジメントは、リスク・マネジメントでもあり、施設の運営管理にも大きく関わる課題である。
 良い福祉施設、良いサービスは、職員の心身の健康の維持と、実践と生活の拡充によって実を結ぶ。福祉施設においては、事業の根幹は人にある。だからこそ、着手が可能なところから、現場職員の支援策と、サポーティブな職場づくりを開始する必要がある

福祉施設職員のメンタルヘルスの支援 職員のストレスマネジメントと施設のリスクマネジメント
当ブログ筆者の論文 関連業績一覧


<当ブログ筆者の論文>
関屋光泰「福祉施設職員のメンタルヘルスとリワークの支援」
日本福祉教育専門学校 研究紀要 55頁から73頁


『職業訓練生たち-1年目職員が感じた介護&ストレス』
「介護人材Q&A 2015年2月号」,産労総合研究所

<ブログ記事 バックナンバー>
当ブログ記事バックナンバー 福祉施設職員研修


当ブログ筆者執筆
精神保健福祉援助演習(専門)第2版
精神保健福祉士シリーズ 10
福祉臨床シリーズ編集委員会 編

ISBN978-4-335-61117-9
発行日 2016/02/22 弘文堂

第8章 地域における精神保健問題(依存症と生活困窮)


ファシリテーター養成講座 福祉のまちづくりを協働して推進する
ルーテル学院大学



(やまゆり園事件が残したもの:上)
差別・障害「私は伝えていきたい」やまゆり園事件1年
2017年7月24日 朝日新聞

引用「障害者施設「津久井やまゆり園」(相模原市)で19人の入所者の命が奪われた事件から、まもなく1年を迎える。事件とどう向き合い、その教訓をどのように伝えていくのか。模索している人たちを訪ねた」引用ここまで

19のいのち NHK 「19のいのち」をたどって

福祉人材確保対策 厚生労働省

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「降ろし忘れ 障害男性、熱中症死 送迎車内に6時間半」
毎日新聞2017年7月13日 21時24分

 
「障害者施設の送迎車内で男性死亡 降ろし忘れで熱中症か」 朝日新聞

東京新聞 記事

 上尾市の障害者支援施設(NPO法人 コスモス・アース)における利用者の方の熱中症死は、本当に心が痛む。
 人間のいのちを支えることを使命とする福祉施設において、、このようないのちが軽く扱われてしまう事件が起きてしまうことは残念でならない。
 しかし、この事件には、いくつか気にかかる点がある。再発防止のために解明が待たれる。

 社会福祉の倫理の最重要なものは、人間の尊重である。人間は,人間であること自体で価値があり、社会福祉は人間を平等に尊重する。
 人間のいのちと権利を尊重すること、護ることが、社会福祉実践の使命である。特に、障害者福祉分野は、当事者組織の活動の歴史もあって、権利の保障、ノーマライゼーションが獲得されてきた。
 これらの理念は、福祉施設職員の標準であるはずである。
「社会福祉士の倫理綱領」抜粋
・前文
「われわれ社会福祉士は、すべての人が人間としての尊厳を有し、価値ある存在であり、平等であることを深く認識する。
 価値と原則
「社会福祉士は、すべての人間を、出自、人種、性別、年齢、身体的精神的状況、宗教的文化的背景、社会的地位、経済状況等の違いにかかわらず、かけがえのない存在として尊重する」

世界人権宣言第1条
「すべての人間は、生れながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。人間は、理性と良心とを授けられており、互いに同胞の精神をもって行動しなければならない。」

 しかし、今回も障害者への虐待、不祥事が繰り返されてしまった。
 利用者本位、ピープル・ファーストであるべき福祉施設において、いのちが軽く扱われてしまった。
 過去に福祉施設で起きてしまった不祥事の多くがそうであるように、意図的なものではなく、ミスなのかもしれない。福祉施設職員のなかで、悪意を持って、意図的にハラスメント、虐待など加害行為を起こす人は稀である。ミスとしての倫理違反や、判断ミスや失敗も起こり得る。職員のバーンアウト、慢性疲労等の状態は、適切な実践を損なう要因ともなる。しかし、かけがえのないいのちを失い、権利を侵害した深刻な結果を招いた。

1 「置き去り」の原因は何か
 車内置き去り、閉じ込めが意図的なものではなく、現場の職員のミスではないかと思われるが、原因の究明が待たれる。もしかしたら慢性的な職員の不足や、組織としてのコンプライアンスの問題があったのかということも疑われるが、いくつかの要因が複合しているのだろう。

 コスモス・アース通信 第25号によれば「コスモス・アースの利用者 平成26年4月開設当初5名の利用者で開始した(中略) 27年度の平均利用率(開設日の実利用者数)は17.6人。平成28年4月新たに10名と契約」
 つまり、17、18人のなかの一人が送迎車(5人のなかの一人)から出てこないのに、半日程も職員が気がつかない、原因は何かということだ。
 生活介護施設であるから、施設における食事、移動、活動等、個別に支援しているるのに、不在を気づかない、また確認しないのはなぜか。
 東京新聞は「施設を運営するNPO法人の大塚健司理事長(75)によると、ワゴン車に乗っていた施設利用者は死亡した男性を含め五人。本来は降車時に複数の職員で点呼するが、他の利用者に気を取られるなどしたため、今回は怠っていた。昼食で利用者が一堂に集まったときも、男性の不在に気づかなかったという(略)施設では、通常、朝夕の送迎時の点呼と全員で食事を取る昼食時の三回、利用者の人数を確認できる機会があった。しかし、施設側は男性が送迎用ワゴン車から確実に降りたかどうかも確認せず、その後も不在に気づかなかった」
 「他の利用者に気を取られるなどしたため、今回は(点呼を)怠っていた」のは、職員の専門性、経験、チームワークに問題があったのか。
 個別の生活介護を行っているのに、利用者の不在に半日も気づかない。職員不足が常態化していたのか、職員数の問題から派遣や非正規職員が実際の支援を行っていて、申し送り等が行われていなかったのか。

2 活かされていない理念
 福祉施設にとって倫理を実践のなかで実行すること、理念に基づいた支援は重要なテーマであるが、下記のコスモス・アースが語る理念は、活かされていたのか気になる。
 福祉施設にとって事業の理念、倫理は樹の根なのである。。
 「NPO法人コスモス・アースは、「自然環境を守り、障害者があたりまえに暮らせる地域づくり」をテーマに活動を続けている。障害者がコロニーとして、囲い込まれて生活するのでなく地域社会で「壁」を造らずに生活する、物理的な壁だけでなく心の壁もなくしていこうとのことである。
 (略)
 相模原の事件を契機に厚生労働省を始め行政が「防犯カメラの設置」を叫び、地元警察や利用者の親から外部者への対応を聞かれる羽目になった。刺股の用意があるか、また、新聞等で訓練の様子が報じられる始末である。
 地域社会との壁をなくそうとしてきたことにたいして、「壁」を創れ、人間社会の根底には差別があり、障害者を守るためには監視が必要とのことなのか、単なる行政の保身的な発想で膨大な税金を補助金として使い防犯カメラ業界をもうけさせるだけなのか、年頭に当たり複雑な思いである。(大塚)」コスモス・アース通信 第27号

*社会福祉の価値と倫理、専門性とは
 社会福祉専門職の専門性を構成する基本的要素とは、
①専門職の価値と倫理=実践という大樹の「根」
・価値=善い、良いもの。何がよいか、望ましいかを示すものであり、実現を期待するもの。
・倫理とは、価値、理念から導かれる、専門職としての行動の指針と規範である。
②知識=専門的知識、
③専門的な技術・技能の三つが専門性である。これらの調和が保たれなければならない。

*社会福祉専門職には、なぜ倫理が必要なのか=何のため、何を目指す実践なのか
・介護・福祉専門職には、職業倫理が必要とされる。職業倫理とは、ある職業に就いている個人や集団が、職業としての責務を果たすために、自らの行為をコントロールする基準・規範のこと。
・あるべき姿、専門職と組織の成長の方向を示すもの。
 自らを問い直す、内省を伴う実践へ。

 多くの民間福祉施設において、慢性的な人員不足に陥り、過密な職務スケジュール、ゆとりの無い業務となっている。
 今日、福祉は設と職員にとって、正念場を迎えていると言えよう。職員が突然、辞めてしまうことは、珍しいことではない。
 しかし、当然ではあるが、職員の多くは、福祉施設の現場に留まり実践を継続している。
 福祉施設職員のストレスマネジメントは、施設のリスクマネジメントに直結する。
 人間が人間を支援している福祉施設にとって、一人ひとりの職員は要である。福祉は人である。


 利用者も職員も長い年月を共に過ごす福祉施設においては、相互に影響を与え合い、双方と施設全体が変化し成長を遂げる可能性がある。
 メイヤロフ(Mayeroff)によれば、ケアというものは、対象者の人間的な成長のためのものであり、ケアの提供者もケアの実践を通じて成長することが出来る。そしてケア提供者は、対象者から必要とされることによって、世界のなかでその場所に自らの居場所を獲得する。このケアとは広義の支援を指し、場所とは施設等を指すと考えられる。

*利用者本位
 ノーマライゼーションと、利用者の自己決定の実現を目指す。利用者と職員が対等な関係にたち,利用者の立場を第一に考える。
・社会福祉は本来、利用者主体という基盤のもとに拠って立っている。

当ブログ筆者の論文
当ブログ筆者の論文 「福祉施設職員のストレスケア サポーティブ研修プログラムの開発」
日本福祉教育専門学校 研究紀要第23巻1号 37頁から55頁 平成27年4月

抜粋「福祉施設において、有効な離職予防策を打ち出せないまま職員の人員不足を招くことや、燃えつき等によって充分に能力を発揮出来ない職員を生じることは、現場に更なる負担をかけ、過失や事故等に繋がる可能性に直結する。施設と個々の職員のストレス・マネジメントは、リスク・マネジメントでもあり、施設の運営管理にも大きく関わる課題である。
 良い福祉施設、良いサービスは、職員の心身の健康の維持と、実践と生活の拡充によって実を結ぶ。福祉施設においては、事業の根幹は人にある。だからこそ、着手が可能なところから、現場職員の支援策と、サポーティブな職場づくりを開始する必要がある」

福祉施設職員のメンタルヘルスの支援 職員のストレスマネジメントと施設のリスクマネジメント
当ブログ筆者の論文 関連業績一覧


 繰り返される福祉施設の問題の再発予防のため、この上尾の事件の解明が待たれる。
 毎日新聞「10年7月には千葉県木更津市の高齢者福祉施設で、利用者の女性(当時81歳)が炎天下の車内に約8時間置き去りにされて死亡した。女性は体が不自由で外に出られなかったとみられる」


<続報 新聞記事等>
<上尾男性放置死>忙しく運転手1人で降車確認 食事残るも確認せず
2017年7月14日(金)埼玉新聞

引用「県は14日、施設の立ち入り調査を実施。職員から事情を聴き、事実確認を行った。それによると、施設では利用者が送迎車を降りる際、運転手と職員が利用者の確認をしていたが、事故当日は実習生の受け入れなどで忙しく、運転手が1人で行っていた。また、昼食時に手付かずで残った男性の食事を見て職員の1人が不在に気付いたものの、遅刻などのケースもあるため確認を怠り、職員間で情報共有もされなかった。施設の大塚健司管理者(75)は13日、報道陣の取材に「職員の確認行為、連携がうまくいかず、機能しなかった」。

<上尾男性放置死>男性発見まで5回出欠確認、欠席扱いならず見逃す
2017年7月15日(土)埼玉新聞

引用「県警は15日、業務上過失致死の疑いで、施設を家宅捜索し、男性が車内に放置された経緯について捜査を進める」

<上尾男性放置死>男性の通夜、知人ら怒り「ずさん、考えられない」
2017年7月16日(日)埼玉新聞

引用「上尾市の障害者支援施設「コスモス・アース」で男性利用者(19)が車内に放置され熱中症とみられる症状で死亡した事故で、男性の通夜が16日夕、上尾市内の斎場でしめやかに営まれ、親族や友人らが早すぎる別れを惜しんだ。男性の母親は憔悴しきった様子で、「本当のことが知りたい」と話したという。知人女性は「体の大きな男性を車から降ろし忘れるなんて考えられない。いないことに気付いた職員が男性を捜さないのもずさん」と怒りをあらわにした」

障害者施設の送迎車に放置、熱中症で死亡男性の告別式
TBSニュース 2017年7月17日

引用「男性の告別式は17日午前11時前から上尾市の斎場で営まれました。男性の親族は、JNNの取材に「とにかくかわいい子でした。どうして6時間も取り残され苦しまなければならなかったのか、真実を知りたいです」などと話しました。警察は業務上過失致死の疑いもあるとみて、施設の管理体制などを調べています」引用ここまで

<上尾男性放置死>あり得ない…施設に批判の声 浮かぶずさんな管理
2017年7月19日(水)埼玉新聞

引用「事故が障害者の親たちに与えた衝撃は大きく、男性の通夜に参列した保護者らは「確認の点呼を取らないなんてあり得ない」「男性の面倒を見る担当者はいなかったのか」と施設を批判した」引用ここまで

<上尾男性放置死>ひとごとでない…施設の1日に密着 人手不足の今
2017年7月20日(木)埼玉新聞


平成27年度における埼玉県内の障害者虐待への対応状況について
埼玉県HP

部局名:福祉部
課所名:障害者支援課
担当名:総務・市町村支援担当
引用「障害者福祉施設従事者等による障害者虐待への対応状況等について
 ○ 県内の市町村等で受け付けた障害者福祉施設従事者等による障害者虐待に関する相談、通報件数は、平成26年度より2件減り、47件でした。
 ○ 相談、通報があった47件のうち、市町村が虐待と認定した件数は、平成26年度より5件増え、14件でした。
 ・ 虐待行為の類型(※)は、身体的虐待7件、心理的虐待6件、性的虐待5件でした。
 ・ 虐待を受けた障害者(※)は、男性16人、女性9人でした。障害の種別(※)では、知的障害25人、精神障害1人でした。
 ・ 虐待を受けた障害者の年齢は、30歳代7人、40歳代6人、20歳代4人の順でした。
・ 県及び市町村では施設等に対し指導を行い、改善計画の提出など再発防止の徹底を図りました。
 (※)認定件数に比して多いのは、1件につき複数の虐待が行われたため」引用ここまで

【相模原市障害者施設殺傷事件】 障害者団体等の声明 ハートネットTV
全国手をつなぐ育成連合会 神奈川県立津久井やまゆり園での事件について(声明文)等

<情報提供>
「ともに生きる社会」を考える 7.26神奈川集会

 障害のある19名が亡くなった、津久井やまゆり園事件から半年後の、平成29年1月26日に、『津久井やまゆり園事件を考える』1.26神奈川集会を横浜で開催し、障害者や支援者等300名以上が集まり、亡くなった方々の追悼をするとともに、障害者が安心して地域で暮らすことのできる社会を作るためのアピール文を神奈川県に届けました。そして、事件から1年を迎える平成29年7月26日に、改めて亡くなった方々を追悼し、「ともに生きる社会」を考え、実現するための神奈川集会を開催いたします。
■日時:平成29年7月26日(水)13:00~16:30(受付開始 12:00~)
■会場:男女共同参画センター横浜(フォーラム)

<追記 紹介>
「ともに生きる社会を考える」7.26神奈川集会アピール
 だれもがその人らしく暮らすことのできる地域社会の実現にむけて

引用・抜粋「「障害者なんていなくなればいい」「障害者は不幸を産み出すことしかできない」という考え方(優生思想)をいだいた元職員により、障害のある人19名の命がうばわれ、27名が傷つけられた津久井やまゆり園事件から一年がたちました。
 この一年、なぜこのような事件が起きてしまったのか、津久井やまゆり園をどのような形でつくりなおす必要があるのか、二度とこのような事件を起こさないためには、どのような取り組みが必要なのかを考えてきた一年でした。 略
 障害のある人たちが自分の暮らし方を、自分で選べる状況になってはじめて、「ともに生きる社会」になったと言えます。神奈川県をあげてそうした取り組みをすすめることこそが、あの恐ろしい事件で奪われ、傷つけられた命を大切にすることにつながるのではないでしょうか。
 日本は2014年に「障害者権利条約」をむすびました。「障害者権利条約」というのは、障害のある人たちの権利を守ることについて世界で決めている国際条約です。その人が望めば、自立し、社会に参加する権利があることを示したものです。
 その条約の中には、障害のある人一人ひとりが、誰と、どこで、どのように暮らすかを選択することが権利として認められていること、その選択を実現するために必要なサービスを受けられることが書かれています 略 」引用ここまで

「障害者いらない」取り消して=被害施設家族会長―相模原殺傷から1年
時事通信社 2017年7月22日

引用「「障害者はいらない」とした元職員植松被告(27)=殺人罪などで起訴=の発言に対し、「言葉を取り消してほしい」と強く訴えた。事件を契機に、「共生社会の実現ということに、自分たちがどう関わっていくのか」を考えるようになった」引用ここまで

やまゆり園殺傷事件で追悼集会「十九の御霊よ安らかに」
2017年7月22日 朝日新聞

引用「同園の家族会などは22日、建て替えのための仮移転先「津久井やまゆり園芹が谷園舎」(横浜市港南区)の体育館で、亡くなった19人を追悼する集会を開いた。
 入倉かおる園長は「一人ひとりの人生が確かにあの地にあって、豊かに暮らしていたことを語り合いたい」などと涙ながらに話したという」引用ここまで

(やまゆり園事件が残したもの:上)
差別・障害「私は伝えていきたい」やまゆり園事件1年
2017年7月24日 朝日新聞

引用「障害者施設「津久井やまゆり園」(相模原市)で19人の入所者の命が奪われた事件から、まもなく1年を迎える。事件とどう向き合い、その教訓をどのように伝えていくのか。模索している人たちを訪ねた」引用ここまで

障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律について

障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律

平成27年度 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査結果
 厚生労働省

施設職員による障害者、高齢者虐待 過去の重大事件
87歳を投げ落とし殺害容疑、元職員逮捕 川崎3人死亡
2016年2月16日01時24分朝日新聞

引用「県警によると、今井容疑者は2014年11月3日午後11時ごろから4日午前1時50分ごろにかけ、川崎市幸区幸町2丁目の老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」で、入所者の男性(当時87)を4階ベランダから投げ落として、殺害した疑いがある。男性は胸を強く打ち、内臓破裂で死亡した。川崎市消防などによると、14年11月にこの男性が転落した以外にも、12月上旬には女性(当時86)が4階から、同月下旬には女性(当時96)が6階からそれぞれ転落していた。消防が市内の病院に救急搬送したが、死亡が確認された」引用ここまで

 組織としてのコンプライアンスの問題 過去の事件
 群馬県の「たまゆら火災事件」など。
 日本経済新聞 たまゆら元理事長に有罪 老人施設火災10人死亡 前橋地裁判決
 
 神奈川のNPO PWLも、コンプライアンスなどが社会問題になり、事業は別法人に継承された。
 神奈川新聞「公的事業から撤退 横浜・NPO法人「PWL」、別法人が障害者支援継承」

引用「警視庁は2月26日、東京都板橋区内の介護付き有料老人ホーム「レストヴィラ赤塚」において2012年2月、入所者の女性(当時74歳)が入浴中に溺死した事故について、必要な介助を怠ったなどとして、レストヴィラ赤塚ホームの当時の施設長(46)とケアマネジャー・介護士ら男女職員4人を業務上過失致死容疑で東京地方検察庁あてに書類送検した。
 書類送検されたのは、いずれも当時「レストヴィラ赤塚」の女性施設長(46)と男性ケアマネジャー(37)・男性職員(46)・女性職員(30)――の計4人。このホーム施設は、居酒屋チェーンなどを全国展開する外食大手「ワタミ」(当時は渡辺美樹氏=現・参議院議員=が会長)のグループ会社「ワタミの介護」が運営していた。施設長ら2人は容疑を全面的に認め、ほかの2人もおおすじで認めているという。
 入浴死亡事故は2012年2月16日に発生。74歳の入所女性は午後2時15分ごろから入浴し、午後3時40分ごろにホーム施設内の風呂場内でうつぶせの心肺停止状態でみつかり、緊急搬送先の病院で死亡が確認された。司法解剖の結果によると、その死因は水死だった。
 介護保険法に基づく施設サービス計画書では「本人の様子を見ながら必要であれば洗身、洗髪を行なう」などと規定されているが、今回のホーム職員は入浴中に一度も74歳女性の様子を確認しなかったとされる。
 今回の送検容疑としては、74歳女性を入浴させた際に介護職員が81分間、事故が起きないよう付き添ったり見守ったりするなどの適切な安全管理対策を講じることを怠って、入所者女性を81分間にわたり1人で入浴させて放置さえしなければ、浴槽内での水死には至らなかった疑いがあるというもの。女性は2009年に運動障害を起こすパーキンソン病と診断されていた。
 自宅での介護が困難ということで、2010年12月にレストヴィラ赤塚ホームに入所。一昨年1月末ごろからの約1年2ヵ月のあいだに転倒事故を46回も繰り返していた記録が残っていることも判明している。
 女性遺族らによると、施設側は当初、遺族側に対し「目を離したのは10分間だけで、浴室のなかで心肺停止で発見された。病死の可能性が高い」などと説明していた。しかし、警視庁がホーム施設内の防犯カメラを解析したところ、付き添い担当の介護職員は事故当時ずっと浴室から離れており、遺族側への説明が虚偽だったことが判明。女性が1人で長く入浴すれば溺れる危険があることを当時の職員らは予見可能だったと判断し、今回の刑事事件立件化へとつながったもよう。施設ホーム側はその後、「ほかにも入浴者などがおり、とても手が回らなかった」などと遺族らに釈明したとされる」引用ここまで

<関連記事>
睡眠薬を過剰投与 諏訪市、社会福祉法人を指導
2017年6月18日 中日新聞

引用「諏訪市の社会福祉法人「こころ」が運営する特定施設入居者生活介護事業所で、入所者に医師が処方した分量を超えて睡眠薬を服用させる身体的虐待が認められたとし、市が法人に対して改善計画書の提出を指示したことが分かった。
 市は一月に通報を受け、高齢者虐待防止法に基づき聞き取り調査などを実施。睡眠薬の過剰投与は身体拘束に当たるとし、虐待と認定した」

引用「岐阜県高山市の介護老人保健施設「それいゆ」に入所していた高齢の男女3人が7月末から相次いで死亡していたことが18日、分かった。別の入所者2人もけがをしているといい、県は17、18両日に介護保険法などに基づき立ち入り調査を実施した。県警は事件、事故の両面で施設関係者らから事情を聴いている」引用ここまで


ファシリテーター養成講座 福祉のまちづくりを協働して推進する
ルーテル学院大学

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<子どもと家族の生活困窮、貧困家庭の教育支援関連 情報提供>
「子どもの貧困 貧困の連鎖をどう断ち切ればよいのか その現状と課題」シンポジウム 7月14日
引用「 知っていますか?子どもの貧困とその連鎖」
 日本の子供の貧困率は、OECD(経済協力開発機構)加盟諸国と比較して、高い水準にあります。子ども期の貧困は、大人になってからも不利益をもたらし、さらには次世代に貧困が受け継がれる原因にもなっています。
 この「貧困の連鎖」を断ち切るためには、子どもの貧困に関する現状と課題を広く,正確に共有する必要があります。
 子どもの貧困を多様なデータから可視化した首都大学東京教授の阿部彩先生をお招きして、「貧困の連鎖」を断ち切るために、我々は何を知り、何をしなければならないのかについて、ご講演いただきます」
日時:2017年7月14日(金) 18:30~20:30(18:15より受付開始)
場所:専修大学神田キャンパス1号館 1階 105教室(東京都千代田区神田神保町3-8)
講師:阿部 彩 氏(首都大学東京教授)

 首都大学東京都市教養学部人文・社会系教授、同大子ども・若者貧困研究センター長。
「生活保護の経済分析」(共著、東京大学出版会、2008年) にて第51回日経・経済図書文化賞を受賞。
※参加費無料、申込不要

【主催】公益社団法人自由人権協会(JCLU)


【7/16(日)10:00~説明会】高校受験をサポートする[タダゼミ]あだち学生ボランティア募集!
 キッズドア

引用「塾に通えない中3生のための
 無料の都立高校入試対策講座[タダゼミ]あだち
 2017年度学生メンバー募集ボランティア説明会


 あなたの高校受験の経験を活かして
 中学生の受験勉強に力を貸してください!

タダゼミってなに?
 大学生ボランティアによる中学3年生向けの無料学習支援です。経済的理由で塾に通うことができない中学生に対して、都立入試合格に向けた指導を行っています


タダゼミならではの特徴とは?
 タダゼミでは、生徒の隣で個別にフォローをしながら授業を進めています。仲間と切磋琢磨できるという集団授業のメリットと、生徒ひとりひとりに合わせたフォローができるという個別授業のメリットの両方を兼ね備えた新たな形の指導を行っています。多くのボランティアのご協力により、このようなきめの細かい丁寧な指導体系が可能となっています!   

◆開催日時
7/16 10:00~11:00
 
◆会場
足立区生涯学習センタ

◆住所
足立区千住5-13-5
東京メトロ日比谷線・千代田線 北千住駅下車 西口徒歩12分


なくそう!子どもの貧困 全国ネットワーク
なくそう!子どもの貧困 全国ネットワーク Facebook



Reライフ 子どもの貧困シンポジウム
【日時】2017年7月14日(金)18:00~19:30

【場所】富岡八幡宮 婚儀殿
〒135-0047 東京都江東区富岡 1-20-3
【参加費】無料
【申込先】info@relife-soudan.com
  件名を7月14日(金)シンポジウム申込としていただき、
  文中にお名前・会社名・参加人数・連絡先アドレス・お電話番号
  をご記載ください。

【プログラム】
●講演:「子どもの貧困の現状について」 
 特定非営利活動法人キッズドア理事長 渡辺由美子

●パネルディスカッション:
「冠婚葬祭業社が子どもたちにできること」

株式会社アーバンフューネスコーポレーション 
 代表取締役社長兼CEO 中川貴之氏
  株式会社チャプター・ツー代表取締役 三村麻子氏
特定非営利活動法人キッズドア理事長 渡辺由美子

●質疑応答

●Reライフ子どもてらす「ワンコイン500円 想いのしずく」プロジェクトの説明
引用「冠婚葬祭の儀式をつかさどる業者の皆様が、未来を創っていく、すべての子どもたちが、将来や未来に希望が持てる社会を実現できるように…社会貢献を果たすことの重要性を考えます。
 地域の未来に貢献したい、子どもたちへの支援に寄与したい、という想いを持つ冠婚葬祭事業社さま達との出会いがあり、社会貢献活動の一つとして冠婚葬祭事業社様が施工ごとに「ワンコイン500円」を子ども支援に寄付していただく『ワンコイン500円 想いのしずく』プロジェクトをこれからスタートいたします」


7/29(土)説明会【2017 夏の短期ボランティア大募集!】足立区・中央区・目黒区・港区
夏の短期ボランティア募集!

@足立区・中央区・目黒区・港区
「夏」×「教育格差解消」
夏にしかできないボランティアに参加してみませんか?

【応募対象者】
4年制大学生・短期大学生・専門学校生・高等専門学校生・大学院生・社会人
※タダゼミあだちは学生のみの募集です。ご了承ください。

【交通費】
上限1,000円まで支給

★短期ボランティアに興味のある方は、まずはお気軽にボランティア登録説明会へお越しください!

【日時】7月29日(土)14:00~16:00
【会場】キッズドア・ラーニングラボTOKYO
【住所】〒104-0033 東京都中央区新川2-1-11八重洲第一パークビル7階
【アクセス】日比谷線「八丁堀」駅 A4出口より徒歩2分
      日比谷線・東西線「茅場町」駅 1番出口より徒歩4分
夏、子どもたちの「できる」を増やすボランティアがここにあります


今回、足立区・中央区・目黒区・港区で開催する
夏期講習のお手伝いをしてくれる学習支援ボランティアスタッフの募集を行います!

夏の予定を探しているみなさん、一緒に夏期講習を盛り上げてくれませんか?

 NPO法人キッズドアとは?
キッズドアは2007年より、「すべての子どもが夢と希望のもてる社会」の実現に向けて活動しています。
活動内容は主に、子どもの貧困・教育格差の問題解決のカギとなる「無料の学習支援事業」です。
学習支援の対象者は、生活困窮家庭の児童・ひとり親家庭の児童・児童養護施設で暮らす児童・母子生活支援施設で暮らす児童・都立高校に通う生徒たちと様々です」

【アドボカシーカフェ】『経済開発と格差 日本のミャンマー支援と現地の人々』(9/21)
主催: 認定NPO法人まちぽっと ソーシャル・ジャスティス基金(SJF)

引用「私たちが、ミャンマーの人たちの生活に直結した切実な想いに配慮し、格差を生まない開発を実現していくポイントは何でしょうか。
 異なる立場の利害関係者間に「対話」を生み出すことで、開発の負の影響を受けているミャンマー住民の支援を行う日本のNGOの経験をうかがい、ビジネスで人権や環境に配慮する意義と課題を見つめます。企業と開発地の住民と私たちがどう関係性を構築していけばよいのか、グローバルな経済の動きと足元の暮らしの関係を一緒に考えましょう」


日本こども虐待防止学会第23回学術集会ちば大会 キックオフイベント
シンポジウム  「こどもの笑顔のために、各機関ができること」

日時:2017年7月30日(日)13:30〜16:30
場所:幕張メッセ国際会議場 3F会議室
 医療機関    国保旭中央病院小児科部長 仙田 昌義     
 母子保健    千葉市美浜保健福祉センター健康課課長(保健師) 岡田 明子
 教育機関    千葉県スクールソーシャルワーカー 田中 真紀
 民間団体    CAPグループ千葉連絡協議会 小貫 松江
 児童相談所   市川児童相談所所長 渡邉 直
 市町村     浦安市こども家庭支援センター 竹内 勇介
 児童養護施設  生活クラブ風の村はぐくみの杜君津施設長 高橋 克己
 民間支援機関  子どもセンター帆希理事 内田 徳子 

主催:日本子ども虐待防止学会第 23 回学術集会ちば大会実行委員会 
 千葉県内で活動する「虐待等不適切な対応を受けたこどもに対し健やかに成長することを願い活動している関係機関」
の方々から、「虐待に対て何をやっているの?」という現状や、課題の報告をしていただきます。

<情報提供ここまで>
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平成28年 国民生活基礎調査の概況

 2017年6月27日、厚生労働省は、「平成28年度 国民生活基礎調査の結果」に基づき、貧困率を発表した(2015年時点)。
 子どもの貧困率は、前回調査の16.3%(2012年時点)と比べ、2.4ポイント低下し、13.9%となった。

子どもの貧困7人に1人 12年ぶり改善、なお高水準
2017/6/27 11:406/27 共同通信より

引用「厚生労働省が27日発表した2016年国民生活基礎調査で、「子どもの貧困率」は15年時点で13.9%(7人に1人)だった。3年おきに調査しており、過去最悪だった前回から2.4ポイント下がった。改善は12年ぶり。
 ただ先進国の中では依然として高めの水準。特にシングルマザーなどひとり親を取り巻く状況は厳しく、引き続き対策が求められそうだ。
 子どもの貧困率は、平均的な所得の半分に満たない家庭で暮らす18歳未満の割合を示す」引用ここまで


参考資料
なくそう!子どもの貧困 全国ネットワーク
なくそう!子どもの貧困 全国ネットワーク Facebook


子ども若者応援セミナー2017
映画「さとにきたらええやん」上映会&監督トーク&交流会

引用「大阪市西成区釜ヶ崎。“日雇い労働者の街”と呼ばれてきたこの地で38年にわたり取り組みを続ける「こどもの里」。
 “さと”と呼ばれるこの場所は、障がいの有無や国籍の違いに関わらず、0歳からおおむね20歳までの子どもが無料で利用することができます。学校帰りに遊びに来る子、一時的に宿泊する子、様々な事情から親元を離れている子、そして親や大人たちも休息できる場として、それぞれの家庭の事情に寄り添いながら、地域の貴重な集い場として在り続けてきました。
 人情が色濃く残る街の人々の奮闘を描く、涙と笑いあふれるドキュメンタリー」引用ここまで

日時:2017年7月2日(日)
 13:30開場 14:00上映開始
 16:00 監督トーク
 16:30 参加者交流会(17:30終了予定)
参加費:500円(資料代)
定員:200名(先着順)
場所:スクエア荏原イベントホール(↓地図参照)
子ども若者応援ネットワーク

映画『さとにきたらええやん』公式サイト

映画「さとにきたらええやん」自主上映会スケジュール
2017年7月4日(火)/東京都渋谷区聖心女子大学大学院社会文化学専攻イベント(会場:聖心女子大学4号館3階、ブリット記念ホール

2017年7月7日(金)/兵庫県西宮市精神障害者フォーラム2017『さとにきたらええやん』上映会(仮)(会場:フレンテホール) 

引用「大阪市西成区にある、日雇い労働者らが集う国内最大規模の街。「あいりん地区」とも呼ばれ、労働者向けの簡易宿泊所(ドヤ)が軒を連ねている。
高度経済成長期にはたびたび労働者たちによる暴動(実際は差別に対する抗議行動)が発生する等、治安の悪いイメージがあった釜ヶ崎。長年、土木・建設現場に働き手を送り出してきたが、昨今では労働者の高齢化、不況による求人の激減、路上生活者や生活保護受給にまつわる問題など、さまざまな課題が山積みとなっている。しかし、地域に多数あるNPO団体や宗教団体による炊き出し等が頻繁に行われるなど、地域のネットワークが今現在も色濃く残る街でもある」引用ここまで


<子どもの貧困対策 全国キャラバンin千葉 開催概要>
公益財団法人 あすのば HPより 

引用「日時●2017年7月2日(日)
第一部10時〜12時10分 第二部13時10分〜16時
会場●千葉市文化センター 5階セミナー室 アクセスはこちら
主催:公益財団法人 あすのば
後援:内閣府、千葉市、千葉県社会福祉協議会、千葉県社会福祉士会、ちばこどもおうえんだん
協力:市川てらこや、てらこやちば
助成:公益財団法人 キリン福祉財団

プログラム
▼第一部(全体会)10時00分~12時30分
主催者挨拶(小河光治・あすのば代表理事)
パネルディスカッション『地域で子どもを支えるために、いま必要なこと』
飯田拓郎 氏(てらこやちば学生代表・千葉大学3年)
仙田昌義 氏(総合病院旭中央病院小児科医)
田中千鶴子 氏(松戸市スクールソーシャルワーカー)
県内の若者
コーディネーター・村尾政樹(あすのば事務局長)
【50音順】

▼第二部(意見交換会)13時10分~16時00分
来賓挨拶(千葉市長 熊谷俊人 氏)
第一部ふりかえり/後援団体によるリレートーク/
学生企画・グループワーク『世代を越えて考える子どもの貧困対策』/意見交換など
参加費 無料/定員  120人

引用「さらに多くの方々が子どもの貧困対策への理解を深め、より充実した民間や自治体の支援体制を構築するきっかけと場づくりを通したつながりをつくることで、全国各地の子どもの貧困対策の推進に寄与することを目的として昨年度から行っている全国キャラバン。今年度は千葉県からスタートします。
今回、より地域の方々と一緒に進めること、行政・民間団体・大学生など多様なステークホルダーを巻き込み、繋がりをさらに深めるきっかけとなれるように、という想いを込め進めてきました」 引用ここまで

引用「飯田拓郎・てらこやちば学生代表・千葉大学3年、仙田昌義・旭中央病院小児科医、田中千鶴子・松戸市スクールソーシャルワーカー、そして県内出身の若者として花澤昴乃・慶應義塾大学2年と友人1名が登壇し、パネルディスカッション『地域で子どもを支えるために、いま必要なこと』が行われました。
 県内の若者からは、これまで感じてきた困りごとや想いについて、
「子どもである自分が家事をすることが当たり前だと思っていたが、周りの友人からそれはおかしいと言われたことで、全て辛くなってしまった。」
「当たり前だと思っていた家庭環境に対して、自分が寂しい・辛いと想っていたことに気づいたことで、本当の自分の気持ちと向き合わなければいけなくなり、さらに苦しくなってしまった。」
「家の状況を見られたくないから、人には来て欲しくない。」とありのままの想いが語られました。
 また支援者の立場からは、「虐待のあるほとんどの家庭では、経済的貧困の問題が絡んでいる」
「困りごとが見えていない子に対して、一緒に整理し、解決していくことが大切。」
「小中学校の強みはどんな子でも来てくれること。それが貧困対策でも学校がプラットホームと言われている理由。学校に福祉がしっかりと入り込んでやっていかなければいけない。」
 「子どもたちと同じ目線で接することが大切。学校や家庭で発揮できない、自分らしさを出せる居場所があることが、その子の将来にかかわってくるのではないか。」と意見が交わされました」引用ここまで


【カナエール2017夢スピーチコンテスト東京会場】
◆日時:2017年7月8日(土)13:00~16:30(12:30開場)
◆会場:ニッショーホール 東京都港区虎ノ門2丁目9−16
 児童養護施設からの進学を支援する奨学金支援プログラム「カナエール」
 カナエール 夢スピーチコンテスト 2017は東京、横浜、福岡の3都市で開催されます。
 「「カナエール」は児童養護施設を退所した後、専門学校や大学等へ進学する子どもたちを支援する奨学金支援プログラムです。なんらかの事情で親と生活できず、児童養護施設で生活した子どもたちの大学等の進学率は23%(全国平均77%)※1。また、進学できても学業とアルバイトの両立は厳しく、経済的理由等により中退してしまう割合は25%と、全国平均の3倍近くにもなります ※2。
※1 厚生労働省「社会的養護の現状について」2015年調べ
※2 NPO法人ブリッジフォースマイル2016年調べ」
 NPO法人ブリッジフォースマイル


当ブログ筆者の論文
当ブログ筆者の論文 「福祉施設職員のストレスケア サポーティブ研修プログラムの開発」
日本福祉教育専門学校 研究紀要第23巻1号 37頁から55頁 平成27年4月

抜粋「それぞれの福祉施設と個々の職員の困難やストレスは異なり、組織として実施している対策や、これからの課題、改善策も異なる。
 対策の一つである職員の相互支援の具体的な方法にとは、語り合いを促進する多様な硬軟の機会をつくることである。チームリーダー、主任による、職員がストレスを表現できる雰囲気や、疲労が蓄積している職員への個別ケアの促進等が求められている。つまり、職場における協同の深化の促進によるサポーティブな職場づくりが重要な課題である。
 福祉施設において、有効な離職予防策を打ち出せないまま職員の人員不足を招くことや、燃えつき等によって充分に能力を発揮出来ない職員を生じることは、現場に更なる負担をかけ、過失や事故等に繋がる可能性に直結する。施設と個々の職員のストレス・マネジメントは、リスク・マネジメントでもあり、施設の運営管理にも大きく関わる課題である。
 良い福祉施設、良いサービスは、職員の心身の健康の維持と、実践と生活の拡充によって実を結ぶ。福祉施設においては、事業の根幹は人にある。だからこそ、着手が可能なところから、現場職員の支援策と、サポーティブな職場づくりを開始する必要がある。
 これらは単なるストレス対策のみならず、施設と職員の成長も目指すものである」


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<ブログ筆者のメモ> 子育て支援の課題 孤立解消、アウトリーチ、サポーティブなオープンスペース
 親と子どものカプセルのなかでの孤立した子育てから、地域社会やアソシエーションによる子育てのサポーティブな環境へ。子育て支援喫茶も有効な手法の一つなのだろう。
 子育て中の家族も、居場所と家族以外の「助っ人」、頼れるインフォーマルな人的資源を必要としている。他者との繋がり、従来の家族や近隣の互助が希薄化の傾向もあるなかで、コミュニティワークによるサポートネットワークの構築が求められている。
 家族のなかだけで無理、我慢を重ねること、子育ての困難、悩みが家庭、「親の責任」ということばに封じ込められること。やがて社会を未来を託す子どもを中心としたサポーティブな関係性が、もっと開かれて良いのではないだろうか。子どもは社会の宝であり、待ち望む未来そのもであって、社会で共に育てたい。続く少子化とコミュニテイの再形成への模索ともいえる。サポーティブな関係性の拡大は、どのようにして実現していくのか。オープンなスペース、居場所も一つであり、アウトリーチ、訪問活動というソーシャルワークのお家芸も出番である。
 また、フォーマルな子育てサポート、保育の要となる保育士の、働きやすい環境、待遇などの改善が進まなければ、待機児童問題も、少子化傾向も良い方向に進むことは困難であろう。3歳未満の子どもの保育が(待機児童、保育園ミスマッチ)が大きな課題であることが分かる。

(コメントここまで)

 ようこそ赤ちゃん安心子育て応援事業
 母子保健コーディネーター
吉野ケ里町 福祉フェスタにぎわう 学用品の「おゆずり会」
2017/04/25 06:04 【佐賀新聞】 から引用

 引用「住民の健康増進につなげてもらおうと23日、吉野ケ里町のきらら館で健康福祉フェスタが開かれた。町社協や女性会がバザー出店し、薬剤師や歯科医師などの専門家による相談会が設けられた。
 血管年齢や体成分の測定コーナーのほか、広場で実施された小中学校の制服や学用品の「おゆずり会」も好評だった。同館の子育て支援喫茶「ノイエ」の母親たちが手作りの写真立てをつくるワークショップを企画した」引用ここまで

山形県内、4年ぶりに待機児童 天童などで計67人、3歳未満想定超える
2017/04/25 10:02 【山形新聞】から引用

 引用「山形県は24日、4月1日現在の県内の待機児童数が67人に上ったと発表した。県内では過去3年間ゼロで推移してきたが、再び待機児童の問題が浮かび上がった。最多は天童市の36人で、次いで東根市27人、山形市4人。いずれも3歳未満児。
 須藤勇司県子育て推進部次長らが、県の速報値として公表した。
 同課によれば、年齢内訳はゼロ歳児10人、1歳児55人、2歳児2人。3市の利用申し込みは16年度比で山形市が322人、天童市は153人、東根市は163人が、それぞれ増加。この3市だけで計638人が増え、県全体の増加分の95%超を占める。
 山形市の担当者は「育休明けの保育需要の高まりを背景に、市中心部に希望が集中している」と課題に挙げる。定員に空きがある施設もあるが、復職先との距離などから「ミスマッチが生じている」。
 国の基準は年齢が低いほど保育士を手厚く配置しなければならず、施設側は3歳未満児を年度途中で受け入れにくい状況がある。県は年度途中の入所需要に対応し、保育士経費の助成などを行っているが、3歳未満児への対応はさらに重要性を増しそうだ」引用ここまで

横須賀でシングルマザーの居場所開設 家庭の悩み語り合って
2017/04/10 18:00 【神奈川新聞】から引用

引用「シングルマザーが集って家庭内の悩みを語り合う居場所が、横須賀市富士見町にオープンする。心理福祉相談室を開くカウンセラーの北村光二さん(53)が運営。「一瞬でも目の前の苦しみから抜けて、休んでもらえる場にしたい」と話している。北村さんは5年ほど前から、市内でドメスティックバイオレンス(DV)被害者」引用ここまで

ようこそ赤ちゃん!強く豊かに育って 市の子育て応援事業スタート
2017/05/06 13:57 【山形新聞】から引用

 引用「米沢市は子育て支援の一環として、子どもが生まれた家庭に米沢織のオリジナルマザーズバッグを贈る「ようこそ赤ちゃん応援事業」を始めた。
マザーズバッグの製造は米沢織物工業協同組合(近藤哲夫理事長)の協力を受けた。織元4社の洋服地を活用。開始当初は4種のバッグを用意する。小花柄やボーダー、無地などモダンなデザインに仕上がった。
 形状は子どもを持つ職員の声を聞き、実際に荷物を入れて試行錯誤して決めた。
 対象は今年4月2日以降に子どもが生まれた家庭で、母子保健コーディネーターが新生児訪問時に配布する。2種を持参し、好みの柄を選んでもらう。事業費は168万円で、半分は県の「ようこそ赤ちゃん安心子育て応援事業」の補助を活用する。市健康課の担当者は「みんなで応援しているという気持ちを伝えたい。長く使ってもらえたらうれしい」と話している」引用ここまで

子ども・子育て支援新制度 内閣府

<参考>
「ホームスタート・わくわく」活動報告会
 豊島区内で、ホームスタートという乳幼児のいる家庭への訪問事業が始まりました。その概要について、ホームスタート・ジャパンの山田幸恵さんにお話を聞きます。区内でどんな効果がでているのか、スタッフから報告をいたします。
日時:6月18日(日)
時間:10時~12時
開場:IKE Biz(としま産業振興プラザ)6階多目的ホール(定員80人)

6/27(火)ホームスタート事業説明会(東京都世田谷区)
 東京都世田谷区玉川地域で、ホームスタート・ナオミによる「家庭訪問型子育て支援 ホームスタート」が今秋から始まります。

ホームスタート・ジャパンHPから引用
ホームスタートとは、未就学児が1人でもいる家庭に、研修を受けた地域の子育て経験者が訪問する「家庭訪問型子育て支援ボランティア」です。
 週に一度、2時間程度、定期的に約2~3ケ月間訪問し、滞在中は友人のように寄り添いながら「傾聴」(気持ちを受け止めながら話を聴く)や「協働」(育児家事や外出を一緒にする)等の活動をします。
 「外出しづらい」「頼れる人が身近にいない」、そんな子育て家族をボランティアのホームビジターが訪問し、親子と共に過ごすことで子育て中の親の心を支えます。時には子どもと一緒に公園や子育てひろばに外出する等、地域の子育て支援や人々とつながるきっかけづくりも応援します。


住民参加型 +「質」を担保できる訪問支援=ホームスタート
 イギリスで約40年前に始まったホームスタートには、地域の子育て経験者(非専門家)でも、安心安全に訪問支援に参加できる「しくみ」があります。保健師等の地域の専門家と協働しながら、ピア・サポーター(当事者)によるボランティア活動ならではの寄り添う支援に焦点をあてることで、多様な親のニーズに応える高い効果を挙げています。NPO等と行政との新しい協働のカタチが、ホームスタートです。
 子育て経験のある地域住民がホームビジターとなることで、訪問支援のすそ野が拡がり、地域の子育て力を底上げします。そして、訪問支援を利用した親自身がホームビジターとして支援者になってゆく循環も生まれています。地域全体で子どもの育ちと子育てを支え合える未来志向のまちづくりにつながる活動です。

活動の質を担保するホームスタートのしくみ
ホームスタートの包括的なしくみの特徴としては主に以下の点があります。
 利用家庭とボランティアを守るオーガナイザーの役割
「オーガナイザー」とは、訪問家庭への支援内容を調整し、ボランティアのホームビジターを養成・サポートする支援スタッフのことです。各地域に1~3名のオーガナイザーが在籍しています。地域の関係機関との連携を図るなど、ホームスタート活動の要となる役割を担います。
 ニーズ・アセスメントから最終評価までのケース・マネジメント・システム
 多様なニーズを把握し適切な支援内容を見立てるアセスメント、支援の効果を途中確認するモニタリング、支援内容をふり返る最終評価など、各訪問家庭のニーズを確認するケース・マネジメント・システムが確立しています。全ニーズの平均で約9割が充足する高い効果を得ています。
 人材養成プログラムと下支えの組織体制
 ホームビジターを養成する講座は、8日間のべ40時間の研修プログラムとして確立しており、全国共通のシラバスに基づいて提供されています。また、ホームビジターを支えるオーガナイザーをバックサポートする各地運営委員会や全国ネットワーク組織等、ボランティアのホームビジターが安心安全に活動しながら支援の質を高める体制づくりも重視しています。
 ホームスタートでは、こうした様々な工夫を包括的に活用することで、訪問家庭の高いニーズ充足度と地域ボランティアのやりがいを生みだしています。


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